(第7章)保護か?抹殺か?

(第7章)保護か?抹殺か?

すると浩子の言葉につられて
「一体??自衛隊地球防衛軍、CCIは何をやっているんだ!!あんなに恐ろしく
て凶暴で醜悪なモンスターを何で危険な存在だと分かっていながら早く退治しな
いんですか??それに怪獣達が今まで破壊した街一つを立て直すのと怪獣退治の
軍事費に税金がいくらかかっていると思っているんですか??戦車の1発2発で
倒せなんじゃこの先心配だよ!!」
さらに青い席からも「そうだ!!そうだ!!」と声が上がった。
それに対して小美人が「武力で抑えるだけでは何も解決しません!!」
と言った途端に体長21cmの小美人2人に178cmの
普通の人間の浩子が食って掛かった。
「そんな問題じゃないでしょ!!今はそんな事を考えるよりも
怪獣を殺す方法を考えるべきよ!!」
と怒鳴った。小美人は怯まず「もっと冷静になってください!!確かに凶暴な
怪獣もいますが殆どそうなった原因はあなた達にあるでしょ!!あなた達の傲慢
な欲が彼らをそこまで駆り立てたのではないですか!!違いますか!?」
小美人がそこまで怒った姿を、人類で初めて小美人にあった中條ですら見たこと
はなかった。
東京仮設研究所で尾崎と覇王と美雪が見ている24時間テレビでは、
黄色の席に座っていたインファント島の代表として招かれた長老らしき老人が怒ったように
「たわけた事を!!今まで先進国がやった過ちを!!悪魔の火と言う核実験とやらを行ってきた!!
唯物主義の者共は神の事を忘れておる……先進国が行った過ちを正す為に今、
この怪獣達は平和の使者として来とるのじゃ……もちろんゴジラもじゃ……」
すると浩子が
「そんなファンタジーを見てる暇があったら!!早く何でさっさとゴジラを倒さ
ないんですか?!」とすごんだ。
長老は
「馬鹿者!!モスラは無駄な殺生はしない!!」と逆にすごんだ。
一瞬の沈黙の後、司会者は少しオロオロした様にマイクを向けて
「ものすごくテンションが上がっていますが……ではこちらの赤い席のCCIの内閣
官房副長官でいらっしゃる野中元さんはどういうお考えでしょうか?」
と質問した。
野中は「私も浩子さんと同意見です。中條さんが言う様にもし私が同じ立場なら
私は市民を守るために迷わず怪獣と戦います!!」
と冷静に言った。
すると中條は
「どうやってマッハ4で飛行する巨大な怪獣と戦うんですか!!それにただ悪意
は無く小美人を守りたいだけの罪の無い怪獣を倒すのが正しいことですか?」
と声を荒げた。黄色の席からインファント島の長老が
「愚かな事を……先進国の考えには失望したわ!!地球の生命を守り、常に全体
の調和を司る役割のモスラを倒して自ら自滅しようとしている!!」
CCIの野中は
「何!!罪の無いだと!!実際町を破壊して。それが罪では無いか!?それでは
君達に聞く。ゴジラモスラに家を破壊されて住む場所を失った家族や、両親や
友を失った家族の絶望や悲しみはどうなる!!」
とすごんだ。
小美人は「確かに残された人々の絶望や悲しみは測り知れません!!しかしゴジ
ラも同じ気持ちです!!ゴジラも済む場所を失い、そして……同族と離れ離れに
なった絶望や悲しみのあまり人間達を憎悪して町を破壊しています!!けれどあなた達と同じように
その苦しみに……必死に……耐えて…戦ってます!!どうなるか?私達には……
分かりませんが……どうか分かって……上げてください!!」
と号泣しながら声がかすれるまで言い切った。
周りはシーンとなった。
司会者が「では!!ここでCMです!!」
と言った。
覇王は「素晴らしい!!」と言った。
美雪はハンカチで目頭を抑えながら泣いていた。
覇王は「人は……悲しかったり……感動すると目から涙という水を流すのか?…
…俺も同じように泣いているのか?」
と自分が流した涙を見つめながら静かにつぶやいた。
この24時間テレビの視聴率は過去最高で日本中の人々全て
大人や子供、中高年や大学生と幅広い年齢の人達が見ていた。
CMの後、司会が
「では!!地球防衛軍司令官の波川玲子さんと特殊生物自衛隊の神内直充さん、
Gフォースの隊長の佐々木拓也さん、Gグラスパーの隊長の辻森桐子さんにも意見を
聞いて見ましょうか?」
とマイクを向けるところから再び番組が映し出された。
そして司会は
「その前にFAXや電話、掲示板に書き込まれた視聴者の意聴者の意見をまとめますと……」
と言うとボードを取り出した。
覇王は突然テレビを消した。
美雪は「ちょっと!!今見てたでしょ!!」
覇王は「もう飽きた!!」
と言いながらソファーに寝転んで「仮眠するぞ!!」
と眠ってしまった。
美雪は「もう!!」と言うとテレビを付け直した。
尾崎はすでに地球防衛軍の本部に戻っていた。
覇王は夢を見た。
それはとぎれとぎれの映像だった。
しばらく真っ暗な暗闇にいたがその後に

(月)
それはちょうど満月の様だった。
(強力なフラッシュ)
これは何だろうか?
(アジア人らしい人々が逃げ惑っている)
一体!?なぜ逃げているんだ??何が起こっている??
(大爆発)
これは一体??誰が??何故??ここはどこだ
……人々は一体何者だ!!
これは何だ??分から無い……知らない……知らない…
(巨大な翼が開く)
(月にクレーターが出来る)
覇王はソファーからガバッと起き上った。
美雪がビクッとして振り返った。
「どうしたの?」
「何なんだ!!今の映像は!?」
美雪は「夢でも見たの?」
すると覇王は「夢って何だ?」
と聞き返した。
美雪は「浅い眠りの時に無意識に脳の中で記憶が蘇るのよ!!」
と少し自慢するように言った。
しかし覇王は自慢そうな美雪の顔を無視して「何が蘇る?」と真面目な顔で言っ
たので美雪はがっかりしたように
「知らないわよ……あんたの事何なんて……」
と大あくびしながら言った。

(第8章に続く)