(第6章)黒い龍と黄金の龍

(第6章)黒い龍と黄金の龍

インファント島の洞窟には覇王が警察署で書いた黒い竜が壁画に描かれていた。
その黒い竜の両方に幼虫と成虫のモスラの絵が描かれている。
覇王が「これは…俺が描いた…」
と壁画に歩みよって右手を触れたとたんに脳裏に悲鳴と叫びが響いた。
彼はビクッとあとずさりし「なんなんだこれは!!」
と言った。
美雪が「どうしたの?大丈夫?」と聞いた。
覇王は「いや…なんでもない…」と言い返した。。
しばらくして小美人から、次の話があった。
闇の森の神のバガンが4体のモスラによって封印された話。
46億年前に地球が誕生した頃に、緑のエネルギーを吸収して惑星を不毛の地に変えてしまうデスギドラというギドラ族が、他のギドラ族を集めて地球に総攻撃を仕掛けたので、
4匹のモスラにより、空から地上と落とされ、封印された話。
その戦いの後に妖精達は小美人とコスモス、エリアスというそれぞれの一族に分化した話。
小美人のモスラが「大天使ガブリエル」
エリアス族のモスラが「大天使ミカエル」
コスモス族のモスラが「大天使ラファエル」
そして人間達がバトラと呼んでいる黒いモスラは「大天使ウリエル」、デスギドラは「魔王サタン」に、3つ首の黄金の美しいキングギドラ達は「ディアボロスあるいはルシファー」
に例えられた話。
そしてその出来事は妖精エリアス族の末裔達から人間に伝えられて、その後、[天使と悪魔の戦い]あるいは「ミカエルと黒い竜」として現代まで伝えられている話。
尾崎と小美人、覇王が感じた謎の激しい殺気を何故かゴードン大佐と美雪は全く感じなかったと言う。
この殺気の正体は?!

インファント島で小美人から聞いた「闇の森の神バガン
について小美人や尾崎、覇王、ゴードン大佐の4人は図書館でバガンについて調べ始めた。
すると中国の詩書『文選』の中に漢文で
「其の穢れを負いて深きに臨み誓いを虚しくして祈りを愆がごときは則ち海童道
をさえぎ、馬銜道に当たる事有り」と書かれているのを発見した。
しかしゴードン大佐や美雪はその文章の意味が難しく困っていた。
覇王も読もうとしたが良く分からず
美雪が「舜って?」という質問に対し覇王は
「いちいち説明するのは後回しだ!!」と答えた。
しかし美雪は「それじゃ!!何の事だかさっぱり分からないじゃない!!」
と怒鳴った。
覇王は「いちいちうるさい女だな!!」
とうっとおしそうに言った。
美雪が「うるさいって何よ!?」
と言い返した。
覇王は美雪の声をかき消すように大声で
「『う』が治水を行い?水路を通って?なんだそりゃ?」
今度は美雪が覇王の声をかき消すように大声で「もう!!貸してよ!!」
と再び覇王から本を取り上げ続きを読んだ。
「『海に罪穢れのある身が出たり、誓いを破ったり、祈祷を誤った場合には海の
神の怒りにふれて様々な妖怪が災いをなす』という意味らしいわ…」
覇王は「その災いの妖怪って?もしかしたらゴジラとか?」
美雪は「そうかも…たしかにビギニ環礁の水爆実験で海が汚れて罪穢れがある身
に海の神が怒ってゴジラが現れた…と言うか!!バガンについてはどうなのよ!?」
気がついた様に突っ込んだ。
すると覇王は
「あった!!李善は注に陸綾の『海賊の図』を引いて…馬銜は、えーと形状…馬
首?馬の首をした『一角の竜形』どうやら馬の頭部を持つドラゴン見たいな奴らしい…」
と言った。
すると美雪は「ちょっと!!舜の事を知っているのか?知らないのか?
はっきりしなさいよ!!」
覇王は美雪に向かって「知るか!!」
と答えたので美雪は「なんでよ!!さっき説明は後回しって言った癖に!!」
と覇王にかみついた。
ゴードン大佐は「やれやれ…手掛かりはどうやら、結局無しか?」
実は覇王と美雪がお互いに大声で相手の声をかき消し合っていたので
ゴードン大佐と尾崎は2人が何を言いたいのか結局分からなかったのである。

―2日後―

東京仮設研究所で尾崎と覇王と美雪がテレビを見ていた。
「こちらは24時間テレビ・第6スタジオ生中継にてお送りします。司会はいつ
ものマイケル富岡です。よろしくお願いします。」
美雪は大あくびして背伸びした。
「えー今回は怪獣についての生討論をこれから、現在午後12時ですから15時
間、深夜3時まで皆さんに話し合ってもらいたいと思います。
また視聴者の皆様からはファックスか電話で意見を募集しています。またホーム
ページの掲示板でも受け付けておりますのでそちらにもどんどん書き込みをお願
いします!!」
覇王は「深夜までか?勘弁しろよな…」とつぶやいた。
テレビの中の司会のマイケル富岡
「では!!まずはこちらからの意見を聞いて見ましょうか?」
と黄色の席にマイクを向けた。
「『怪獣保護を考える会』の代表でモスラに詳しい
言語学者の中條信一さん、どうぞ!!」
すると一人の老人が黄色い席から立ち上がり
「私が中條信一です。よろしくお願いします。私はいくら何でも怪獣達を徹底的
に排除しょうとする事自体が間違っています!!怪獣だってもともと静かに暮ら
していたはずですし…攻撃対象にされているモスラだって!!自分の事しか考え
ない興行師のネルソンが小美人を日本に連れ去った為に!!
それを取り戻すために日本へ来たんですよ!!」
すると『怪獣災害を考える会』の代表の温水浩子が
「それじゃ?何故?モスラが東京に上陸する間に何とかしないの?」
中條が「順序としては、まず小美人をネルソンから取り戻して、それでロリシカ
国に行って…」と言い終わらないうちに浩子が
「それからでは遅いじゃないですか?もう東京は壊滅状態じゃないですか!!」
中條は
「私は言語学者です!!自衛官でもなければ地球防衛軍でもありません!!」
と反論した。
しかし浩子は冷たく「それは言い逃れでしょ?」と言った。
中條は
「もし?あなたが私と同じ立場だったらどうするんですか!?」
とすかさず言い返した。浩子は口ごもった。
さらに中條は
「それに!!ゴジラだって!!人間が水爆を落としてすみかを破壊したから暴れ
ただけでしょ!!自分勝手な人間の欲でしょ??あなただってゴジラの悲しい事
情も知らないでしょ!!それで徹底的に抹殺だって??冗談じゃないよ!!ゴジ
ラはあくまでも被害者です!!」
と主張した。
すると浩子が負けじとこう言い返した。
「被害者ですって??とんでもない!!こっちが被害者でしょ!!私の父は鯨見
に行って…宿泊していて…そして…無残に踏み殺されたんですよ!!
あんなのが上陸するのでは?と思うととても怖くてろくに寝てられませんよ!!
あんな化け物がいつ上陸してもおかしくないのに!?」
と涙ながらに訴えた。

(第7章に続く)