(第10章)不安と疑い…亀裂…そして……

(第10章)不安と疑い…亀裂…そして……

友達の凛と山岸と一緒にゲームセンターで遊んでいた友紀は
「退屈ね……山岸君!!クレーンゲームやろう!!」
と言うと山岸のシャツの襟をつかんでクレーンゲームの方へ引っ張って行った。
そねとき凛は突然、怒りの様なものが湧きあがるのを感じた。
そして二丁の銃型コントローラーを落とすと、友紀の背中を衝動的に突き飛ばした。
友紀は床に倒れて頭を強く打った。
山岸は
「大丈夫、友紀ちゃん!!」
とあわてて抱き抱えた。
凛は我に返って、倒れている友紀を呆然と見ていた。
幸いにも友紀の怪我はかすり傷程度だった。
しかし友紀は凛を睨みつけて
「何するのよ!!」
と怒鳴った。
凛はただ茫然と友紀の怒りで歪んだ顔を見ていた。
山岸に助けられて立ち上がった友紀は、胸倉を掴んで凛を突き飛ばした。
凛は倒れて椅子に腰を強くぶつけて、右手で腰を押さえた。
山岸は
「ちょっと2人共!!こんな所で喧嘩しないでよ!!」
と2人に割って入った。
知っている声が聞こえた。
「どうした、喧嘩か??」
山岸は
「やばっ!!巡回しているうちの先生だ!!」
と言うとあわてて2人の手を掴んでゲーセンから出て行った。
その間2人は互い睨みあったまま無言で走り続けた。
やがて凛の家の近くの公園まで来ると山岸は2人の手を離した。
友紀はやっとここで山岸に
「ありがとう!!」
と言い、凛を睨みつけて
「一体何なの??いきなり突き飛ばして??」
と怒鳴ったが凛は怒りで顔を歪ませて彼女を激しく睨みつけていた。
しばらくして友紀が
「どうしたの?……何で?あたし彼をいじめたり何もしていないのに……」
と言うと泣きながら走り去った。
凛と山岸はその様子を呆然と見ていた。
山岸も泣きながら
「どうしてあんなことしたの……」
と言うと、走り去っていった。
凛は混乱して
「あたし……どうしたの??何で??」
とつぶやき、その場に座り込み泣き崩れた。
一方真鶴の近海で眠っていたゴジラやジュニアは
何かに反応する様にガバッと起き上ると、再び泳ぎ始めた。
美雪は東京練馬区の研究所で再び『例の寄生生物』の研究に没頭していた。
研究所を偶然訪れていたゴードン大佐が
「奴の弱点は分かるのか??」
と尋ねた。
美雪は
「いいえ…今の所…ただこのM塩基に類似した
物質の構成はどこかで見た様な気がするのね……」
と言うと忙しくパソコンのキーボードを動かし調べていた。
やがて美雪は驚いた様に
「これ……あの薬品なの?」
ゴードン大佐は「それは?」
美雪は「PS45よ!!」
ゴードン大佐は「なんだ!!それは??」
美雪は「パラソシスター45よ!!」
尾崎が
「何だそれ??」
と聞いた。
美雪は
「幻覚剤の一種よ!一度服用すると不安や疑いを大きくして
幻覚を見るの……この薬品の効果が強ければ自殺を装った殺人も可能よ!!
それで医薬品として現在は生産が中止されて……『危険薬物』扱いにされているわ」
ゴードン大佐は
「なんだってそんな薬品が……」
すると美雪が
「2年前『デストロイア』の体内からミクロオキシゲンや
オキシジェン・デストロイアと共に検出されているわ!!」
するとゴードン大佐は
「それじゃ奴もその『例の寄生生物』の仲間なのか??」
美雪はこう答えた。
「恐らく」

(第11章に続く)