(第10章)本能

おはようございます。
畑内です。
ゴジラの自作小説を載せます。

(第10章)本能

音無凛は高校2年生になり、16歳の少女になっていた。高校では芸術や体育、
国語と社会、英語が良く出来て、テストはいつも90点か100点だった。そし
て中学の時と同じく男子生徒から人気があり、必ず靴箱を開けるとファンレター
やラブレターのどちらかが入っていた。
すると凛は呆れた様に
「また!!あのオタク!!」
といつもの言葉を言って教室に入った。
しかし手紙を捨てることは無く、持って帰って読むのが楽しみだった。
今日もいつもの様に教室に入った途端、上から黒板消しが落ちて来た。
凛は片手でそれを受け止めて言った。
「いい加減にしろ!!この生きた化石!!」
そして黒板消しをクスクス笑っている1人の女子生徒の顔に向かって投げつけた。
それは見事顔に直撃して、その女子生徒は怒り出した。
「痛いわね!何よ!!国連の分子生物学者の母親がいる癖に!!理系駄目女!!」
と怒鳴り返した。
凛は
「あんただって体育が下手な癖に!!」
と負けじと怒鳴り返した。
教室に先生らしき男性が入って来た。
筋肉質で背も高い。
「こら!!喧嘩はやめなさい!!」
と怒鳴られた。
凛は
「はい!!やめましょ!友紀ちゃん!!」
と言うと自分の席に座った。
女子生徒は勝ち誇った様に
「何よ良い子ぶって。頭悪いんじゃない?」
と馬鹿にした。凜は
「他人の事より自分を心配したら?」
と皮肉たっぷりに独り言った。
先生がいつまでも立っている友紀を
「いい加減にしなさい!!あとで職員室に来い!!」
激しく叱った。
友紀は悔しそうに
「覚えてなさい!!」
と言うと自分の席に座った。
友紀という女子生徒はこの高校で有名な不良だった。
よくクラスでも問題を起こしていた。
担任以外の先生に対しての悪戯はもちろん、
男子生徒を仲間の女子生徒と共にイジメたりしていた。
しかも父親が暴力団関係者である事をいつもクラスで自慢していた。
ただし、担任の先生は代々警察の仕事をしている家
だったので、友紀も一目置いていた。
凛にはそれが馬鹿馬鹿しく、いつも失笑して聞いていた。

ある日凛が学校帰りにグラウンドを歩いていると、
グラウンドの近くの体育館へ、
友紀とその仲間の女子達が3人の男子生徒を連れて入って行った。
それを見るなり男子生徒が心配になり、凛も体育館に入って行った。
中では友紀が
「凛の写真を隠れて撮っているんでしょ??
バラされたくなければ金を寄こしな!!」
と怒鳴っていた。凛は
「カツアゲ……」
とつぶやいた。
そのオタク系の男子生徒は
「でも……金は無いんだ。今日新しいエヴァのプラモデルを買うから……」
友紀は
「ふざけんな!!」
と言うと男子生徒の急所を思いっきり蹴飛ばした。5人の仲間
も笑いながら3人の男子生徒を袋叩きに殴ったり、蹴ったりした。
凛はそれを見て激しい怒りを覚えた。
怒りで頭が真っ白になった。
突然、友紀と仲間達は激しい殺気を感じ背筋がゾクゾクとなった。
振り向くと怒りで顔を歪ませた凛が友紀達を睨みつけている。
この時、東京からはるか遠くの海底で眠っていた
ゴジラとミニラが「ハッ!!」と何かを感じたように目覚めた。

体育館で凛は別人のように友紀にすごんだ。
「死にたくなかったら……」
オタク達は凛の所へ必至になって駆け寄った。
同時に友紀達が無言で全速力で出て行った。
凛が我に返ると、3人のオタク達がその場で泣きながら彼女の前で
うずくまっていた。凛は
「あれ?友紀達はどこへ?確か……あたし怒鳴っていたよね?」
と混乱したように言った。3人のオタクに気付くと
「三人共大丈夫!?怪我しているじゃないの!?」
と言うなり、すぐに立ち上がらせ、保健室へ連れて行った。
その翌朝、友紀達は体調不良で学校を休んだ。
先生や親達は突然友紀達が休んだのでとても驚いていた。
友紀達は、何かに怯えた様に布団を被って出てこないと言う。
これには友紀の両親が黙っている訳が無く、数日してから、校長や先生達、
そして例のオタク3人と友紀の仲間の女生徒とその両親、
さらに凛と美雪も呼び出して、何があったのか聞き出そうとした。
しかし凛や3人のオタク達は何を聞かれても無言だった。
友紀の母親は、連れてきた友紀に
「何があったの?まさかまたイジメにあったの?」
と聞いた。これに3人のオタクの両親は勿論、美雪も大憤慨した。
しかし友紀は
「イジメていたのはあたしの方です……」
と今まで男子生徒を体育館に呼びつけてカツアゲしたり、暴行した
事を洗いざらい話した。

(第11章に続く)

また載せます。
では♪♪