(第14章)バガン狩り

こんばんわ畑内です。
暇なのでゴジラの自作小説を載せます。

(第14章)バガン狩り

尾崎と覇王は寮でデモ行進の様子を見ていた。
しかし退屈になってきた覇王はソファーでファウストの本を顔に乗せて昼寝を始めた。
そしてまた夢を見た。
(月)……黒い怪獣と黄金の怪獣の群れが現れた。
(さらに赤い翼と4つ足の怪獣)……
覇王は
「デスギドラだ……」
とつぶやいた。
(デスギドラは翼を閉じた筋肉質で強そうな黄金の怪獣に向かって
『いいか!!例の同族の裏切り者と、我々一族の仲間に反乱をする様にそそのかしたバガン
を根絶しろ!!』と命令した。)
デスギドラは仲間と思われる数体の黄金の怪獣と黒い怪獣に向かって
(我々の支配に反するバガン族とそれに加担する裏切り者達を狩る事に誇りをもて!!)
(しかし我々一族の支配に素直に応じれば!!)
バガン族も裏切り者も平等に『純粋な奇形』として喜んで迎え入れよう!!)
(我々一族の支配に反対する『汚れた奇形』達は処刑するのだ!!)
覇王は
バガン狩り?何故だ?裏切り者って何だ?バガン族って何だ??」
3体の黄金の怪獣は翼を広げて振り向くと、
同じような黄金の怪獣と黒い怪獣の群れの中に飛び込んでいった。
黄金の怪獣は、一斉にその翼を広げた。
黒い怪獣の群れの中で赤と青の翼を持つ大半の個体も一斉に翼を広げた。
翼を持たない黒い怪獣と翼を持つ黒い怪獣は天と地から一斉に三体の黄金の怪獣に攻撃を仕掛けた。
そこで目が覚めた。
覇王は起き上がりテレビを見ると、デモ行進は相変わらず続いていた。
尾崎もデモ行進の様子を見ていた。
テレビ画面ではどちらかと言うと動物愛護団体や怪獣保護を考える会の方が有利だった。
怪獣保護派の人々は「怪獣マーチ」と言う曲を熱唱していた。
一番の歌詞はこうだった。
「ゴ―ゴ―1-2-3-4567ぎゃああ」
この歌詞は覇王のツボにはいったので大爆笑だった。しかし、覇王がこれほど笑
ったことはかつてないことだった。
続きはこうだった。「怪獣様のお通りだ!!かっこよく何でもぶっ飛ばせ!!」
とにかく爆笑以外何物でも無い。テレビを見ていた
2人はひたすらこれに受けていた。
「ゴ―ゴ―ゴジラ放射能、ミ―ミ―ミニラもぽおーぽーぽー、どっすんがった
ん、どっすんがったん、みんな壊してしまうけど、ごめんよかんべん、
おーれたちも生きてゆくのは厳しいさ!!」
覇王は
「まるで『男はつらいよ』の寅さんみたいだ!!」
と言った。尾崎は
「お前、そんなの見てんのか」と返した。しかし全く受けるはずがない所でも何
故か受けている覇王を見て尾崎は「くだらない所で何故受けるんだろう……」
とか「受けるところが全然違うし……」とひそかに頭の中で考えていたが、
口ではあえて突っ込みは入れなかった。
しばらくしてその場にニックとグレンもまざった。
この2人は前作で、轟天号により南極の氷の中に封印されていたゴジラの監視兵
をしていたが、新・轟天号プロトンミサイルで復活してしまったゴジラに、放
射熱線で観測所ごと吹き飛ばされたが、万一に備えて設置していた地下の避難所
にすばやく避難して生き延び、その後は地球防衛軍の隊員達に救出されて、
現在オペレーターとして配属されている。
ニックは
「よう、お前が噂の覇王圭介か?」
と話しかけた。覇王は
「そうだ!!」
と答えながらリモコンでチャンネルを変えた。しかしどのチャンネルも同じだった。
相変わらず怪獣保護派の人達が有利で、丁度2番の歌詞を歌い始めていた。
「ゴ―ゴーぎゃああ、怪獣様が泣いたとさ!!どうして地球は住みにくい!!」
ニックは
「怪獣達も大変なんだな」
と言った。
「ゴ―ゴ―ゴジラも驚いた!!ミ―ミ―ミニラもブルブル!!どっすんがったん!!
どっすんがったん!!みんな壊してしまうけど!!メガトン!!スモッグ!!排気ガス!!
これが本当の怪獣だ!!」
グレンが
「こんな歌今まであったっけ??」
と聞いた。
ニックは
「知らない」
と答えた。
映像がデモ行進から変わり、最新のニュースが流れた。
「昨夜、暴力団と見られる男が警察署に駆け込み『組の者が全て1人の男に半殺
しにされた』と話していた事が分かりました。この男は暴力団関係者と共にこれ
まで麻薬や地上げの脅迫等をしていた事が分かりました。この男の部屋は何者か
に荒らされた形跡があり、現在入院中の組長やもう一人の子分も『殺される!!
助けてくれ!!』とうわ言の様につぶやいている模様です。警察は暴力団同士の
トラブルや殺人を視野に操作を開始しました。警察は殺人の可能性は低いと見て
います。なお犯人の姿を誰一人見てはいない模様です。
この種の事件はこれで四件目です」
ニックは
「おい、また怪事件だとよ!」
尾崎が「何?」と言ってテレビに食らいついたがもう別のニュースに変わっていた。
「次のニュースです。真鶴でのゴジラキングギドラとの戦いに巻き込まれた
TVHのTVレポーターの山岸香織さんや、TVカメラマンの笠木豊さんは、地面
に全身を強くぶつけた衝撃で現在も意識不明の重体です!その他の数人のテレビ
カメラマン達は意識が回復し、後遺症もない模様です」
尾崎は
「この前は何のニュースだった?」
と聞いた。グレンは「何のって?どうやらまたやられたらしいって?」
尾崎は「誰が?」
グレンは
暴力団全員が一人の男に。」
尾崎は
「まさかそんな…全員が一人の男にやられるなんて…ミュータントがまだいるのか?」
とつぶやいた。

(第15章に続く)