(第20章)子供

(第20章)子供

CCIが管理している真鶴の特殊生物研究所地下の長い廊下を
美雪と尾崎、覇王、ゴードン大佐、柳田、知世がしばらく歩いていた。
やがて彼らは捕獲されたミニラが隔離されている頑丈な扉の前に止まった。
研究員の柳田は
ゴジラの放射熱線の起源は、1954年のビキニ環礁の水爆
実験で被爆した時に突然変異を起こして、体内に核分裂を起こ
す特殊な心臓と、喉の核エネルギーを熱線に変える能力を得た
と言うのが長い間語られた定説だったのですが、新しい説では、
放射熱線を吐く能力は元々の能力で、1954年のビギニ環礁の水爆実験の
ショックでたまたま目覚めただけだと言われています。
しかもそのゴジラと同系と思われる生命体が地球外にいるらしいのです」
知世は
「ミニラを研究してようやくゴジラ放射能のメカニズムが分かり始めました」
美雪が
「どんなことが分かったんですか?」
と質問すると知世が答えた。
ゴジラの心臓の動きは地球に住む全ての生物とは基本的に全
く同じでした。具体的に説明すると……うーんと……何を言お
うとしたっけ?」
両手をブラブラさせたり自分の頭を両手で叩いてみたりして知
世が思い出している間、柳田は
「またミニラの身体を調べた結果、核エネルギーを放射熱線に
変える火炎袋は実は人間の胃と腸にあたる器官だと分かりました。」
美雪が「胃と腸?」
柳田は話を続けた。
ゴジラの腸には不純物と共にウランやプルトニウム等の放射
性物質が溜め込まれています。全身の血液にも放射性物質が含
まれています。いざ放射熱線を吐こうとすると下腹部に力を入
れて、腸や胃の内臓の力を込めて凝縮する事でその放射性物質
は濃密に集まってそのまま胃へ放射性物質だけ押し上げられま
す。また全身の毛細血管や血管内の血液濃度を測定した結果、
放射熱線を吐く直前になると、放射熱線を吐く前より数万倍も高くなっている事が分かりました。
そして体内の余った放射線は背びれから放出されます。
その放射線はエネルギーを失って無害なる様です。
またミニラの体内から未知の塩基が検出されました。
その未知の塩基は放射熱線のメカニズムに関係あると思われます。
なおその塩基の名前はG塩基と付けられましたがまだ公式には発表されていません!!
またそのG塩基は地球上には存在しない宇宙から来たものだと分かりました。」
と言った時、知世が「着きました!!」
と言い、再び全員ボディチェックや本人確認を10分以上やら
された。しかも何故か覇王だけはなかなか終わらず、約一時間かかった。
覇王は
「いつになったら終わるんだ!!」
とかなり苛立っていたがようやく終わると扉が開き全員無事に
研究所の中に入る事が出来た。

美雪、尾崎、ゴードン大佐は無事ボディチェックを終えて、
ようやく捕獲されたミニラが隔離されている研究所の長い廊下の奥の扉の中に入った。
その扉の先には再び最新の研究用の機材が幾つも置かれていた。
その真ん中に、特殊なカプセルの水槽ですやすやとミニラが眠っていた。
研究員の2人が何事か話していた。
尾崎は
「何かあったんですか?」
と尋ねた。知世は
「実は子供がここに迷い込んだらしんですよ……」
と答えた。尾崎は
「子供が??」
ゴードン大佐は
「こんな厳しいセキュリティを子供がどうやって?」
柳田が
「それはよく分かりませんが……とにかく急いで保護しないと……」
と幾分慎重に言った時、美雪が
「あっ!!いた!!」
と言った。
案外すぐに見つかった子供は、研究機器とミニラの入ったカプセルの隙間に隠れ
ていたが、すぐそこから飛び出すと素早く逃げた。

(第21章に続く)