(第38章)求愛

おはようございます。
畑内です。
ゴジラの自作小説を載せます。

(第38章)求愛

網走市内の視界は吹雪で制限されつつあった。
そんな中、ゴジラはサンドラに向かって歩き続けた。
サンドラはヒグマの様な鋭い爪を再び振り回し、周りのビル
を切断するとジャンプをしてゴジラに猛然と襲いかかって来た。
 ゴジラは冷静にサンドラの頭部に生えている8本の角を掴み、
そのまま持ち上げ、天高く投げ飛ばした。しかしサンドラは空中で体勢を整え、
ゴジラの放射熱線をかわし、着地すると口から冷気を帯びた白い煙を吐いた。
それが当たった場所は建物や車、地面、何であれ、あらゆる物を凍らせた。

 オホーツク海沖に墜落した轟天号でゴードン大佐は
「あと?どれくらいなんだ?」
杏子は
「まだ!無理です!あと2時間半はかかります!」
ニックが
網走市でサンドラが強烈な冷気を吐き出しています!網走市
の気温はマイナス20度です!」
尾崎は思わず
「ヤバい……ゴジラが危ないぞ!」
グレンは思わず
「それはどういう事だ?」
ニックは
「あいつは色々パフォーマンスをする事でゴジラに求愛しているんじゃないのかな?」
尾崎は
「まさか?誘惑?」
杏子は思わず苦笑しながら
「そんな……馬鹿な話がある訳ないでしょ!」
尾崎は腕組みをして考えながら
「でも!彼の言う事は一理あるな?」
ゴードン大佐は
「それじゃ?あいつはゴジラの事が好きなのか?」
尾崎は返答に困った様子で
「さあ……昔はガーニャの事が好きだったらしいが……それは
どうか……」
と曖昧に返事をした。

 友紀は犯人グループの一人であるシャランに胸倉を掴まれ、
ドアに叩きつけられ、額に拳銃を突きつけられていた。
シャランは
「生意気なガキね!さっさと白状しなさい!」
と今度は友紀を病室の床に叩き付けた。
 山岸は何も出来ずただその様子を呆然と見ていた。山岸が凛の方を見ると、
凛は歯を食いしばり両手の拳が掌に食い込むまで握りしめ、怒りの表情をしていた。
 やがてシャランは友紀の腹を殴ろうと片手を上げた。
その時、凛の怒りが頂点に達しロシア語で
「やめなさい!友紀ちゃんに触るな!」
シャランは突然、何の前触れも無く背筋がゾッとする様な殺気
を覚え、ゆっくりと凛の方を向いた。
 凛はすさまじい怒りの表情でシャランを睨みつけていた。
シャランはその場で硬直したように、凛の方を見ていたがやが
て我に返り立ち上がると
「あなた……それ以上の事を言ってみなさい!タダじゃ済まないわよ!」
と拳銃を凛の額に向け脅した。
 しかし凛は一瞬も怯まず、ただ無言でシャランの目を睨みつけていた。
シャランは更に大きな声で
「あたしには拳銃があるのよ!」
凛は表情を一つも変えず、無言だった。
 シャランは動揺して拳銃を放とうか躊躇し、引き金を引く事が出来ずただ凛を見ていた。
 その時、1人の金髪でショートカットの髪形をしたロシア人女性が現れ、
「大変よ!!ガキが二人どこにも見つからない!そのうち一人は重要な奴だわ。
どうやって逃げたのかしら?」
と大声で言った。
金髪のショートカットの髪形をしたロシア人の女性は
「ここ以外の階全てには警察が入り込んでいるから階段やエレベーターは封鎖してある。
逃げられないはずだわ!」
シャランは
レベッカ!落ち着いて!!」
その会話を聞いていた山岸やその場にいた数人の仲間
は友紀を抱え上げ、自分のベッドの上に座らせた。
友紀は泣きながら
「いつの間にか……あの人たちにこの病棟を占領されていたの……」
小野は泣き出した友紀をなだめる様に
「大丈夫よ……」
中野は
「まさか?と思ったけど……やっぱりな……」
友紀は半べそをかきながら
「蓮君と洋子ちゃんは気が付いているのかな?」
凛は
「きっと気が付いて安全な場所に避難しているわ!」
と励ます調子で言った。

 ジュンを撃った犯人らしき女は、駐車場を走り抜け逃亡を続
けていた。しかし待機していた機動隊や国際警察が集まり、そ
の女を逮捕しようとした。女はすぐに狙撃銃で機動隊や国際警
察に向かって発砲した。また彼らもそれぞれ拳銃を取り出し応戦した。
 ガーニャが女の右足に向かってレーザー銃を放った。レーザ
ー銃は女の右足に直撃し、女は狙撃銃を取り落とし、倒れた。
その隙をついてサミーとジーナが飛びかかり、その女を押さえ
つけ、黒いマスクと帽子を弾き剥がした。
 ガーニャはその女性が中国人だと気が付くと
「違ったか……宇宙人じゃない!」
とつぶやいた。そしてその女の両手を手錠で留めると、
そのまま数人の国際警察が外へ連行した。
 それからガーニャ達や機動隊、国際警察は病院に引き返し、
凛達が人質に取られている病棟へ突撃する為の準備を始めた。
 凛がいる病棟の空いた病室に閉じ込められていた長野先生は、
両手のロープをほどこうと色々奮闘していた。しかし解けなかった。
原田先生も両手でロープを固定されていた。
原田先生は
「なんで……修学旅行中にこんな事件に巻き込まれるんだ!」
とただその事をひたすら嘆いていた。
その様子を見た長野先生は
「なに嘆いているんですか?大人達がしっかりしないでどうし
て子供達を守れるんですか?」
と励ましたが彼は悲嘆に暮れて彼女の励ましには一切耳を傾向
けなかった。
とうとう長野先生は怒りだし
「原田先生!いい加減にして下さい!悲嘆に暮れている暇があ
ったら!何か方法を考えて、脱出して子供達を守らないと!」
原田先生はただオロオロした様子で
「でも……どうすれば……」
と周りを見渡していた。

(第39章に続く)

また載せます♪♪