(第22章)相次ぐテロ

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(第22章)相次ぐテロ

美雪は急いでゴードン大佐が倒れているカプセルの裏側に着いた。
覇王が絶叫しながら何かにとりつかれた様にミニラの入ったカプセルを殴り付けていた。
美雪は
「やめなさい!!」
と覇王を制止しようとしたが、覇王の顔を見て美雪は戦慄し、背筋が凍りついた。
覇王の顔は激しい怒りと憎悪と悲しみでミ二ラを睨みつけていた。
ゴードン大佐と美雪は覇王の口からわずかに獣の様な唸り声を聞いた様な気がした。
覇王は拳を何度も何度もカプセルに叩き付けた。
そして片手で頭を抑えながら、今度は両手でカプセルを掴み何度も頭突きをしている内に
覇王はその場でばったりと気を失った。
しばらくすると尾崎、柳田、
知世が3人の子供を連れて駆け付けた。
カプセルを見ると強化ガラスはクモ状にヒビが入っていて覇王の血がべったりと付いていた。
じきに警察やCCIの関係者や地球防衛軍の関係者が駆けつけ、
その調査によれば、ミニラのカプセルは強度がもろくなっており、いつミニラが暴れて、
破損してもおかしく無い、かなり危険な状態だそうだ。
これ以上新しい設備を作るだけの予算が無い為、
やむをえずミ二ラは真鶴の海へ逃がす事になった。
ミニラはカプセルから解放されて、真鶴の海へ帰って行った。
その1時間後、緊急会議が開かれた。
CCIの局長の野中は
「どうなってるんだ!!」
と机を「バン!!」と両手の拳で叩き、
地球防衛軍の波川司令に食って掛かった。
「大体!!何でそんな怪しくて凶暴な荒くれ者を雇ったんだ!!
あんたのせいでせっかくのサンプルが台無しだ!!それに私のメンツも丸つぶれだ!!
どう責任をと取ってくれる」
と波川指令を激しく責め立てた。
波川司令は冷静に
「それは分かりますが……彼はミニラのカプセルを殴ったり、
頭突きをしている間の事は全く覚えてはいないそうです!!」
と説明したが野中の怒りは治まる気配は無く
「それに!!せっかくのゴジラの幼体を研究して!!
最大の武器の放射熱線のメカニズムが分かり始めたのに!!」
と悔しそうに怒鳴った。
覇王はしばらく病院に入院していた。

地球防衛軍本部内にある病院から退院した覇王は美雪をどうやって誘おうか迷っ
ていた。しかし緊急会議の最中だった為、ポケットにしまった指輪もデートに誘
う方法も、考える余裕が無く頭から忘れ去られた。
また、毎日寝る度に悪夢をよく見るので、
睡眠外来専門の病院にまで行かなくてはならず、頭がいっぱいになっていた。
国連事務総長である醍醐直太郎が重々しく口を開いた。
「今日ここに集まってもらったのは他でも無い。ここ最近アメリカのバイオメジ
ャーやサラジア共和国のエージェントと名乗る者達が
G細胞や怪獣達のDNAを狙ったテロ事件が多発している」
CIAの局長の野中は
「それも増え続けている。これまで日本中で10件以上、
今日も含めて軽く20件以上か?」
とつぶやいた。地球防衛軍のM機関の尾崎真一は
「最近のデータを集計した結果」
と言うとスクリーンに、襲われた場所と銃撃戦に巻き込まれた市民を集計した円
グラフが映し出された。
尾崎はその円グラフを指さしながら言った。
「被害者の多くはCCIやGフォース、Gグラスパー、自衛隊地球防衛軍の関
係者か隊員、さらに最近では『怪獣災害を考える会』の『全ての怪獣の抹殺』を
政府に訴えるデモ行進を狙った自爆テロや爆弾テロも相次いでいます。」
自衛隊の直充は
「彼らの目的は一体何でしょうか?」
と聞いた。
尾崎は
ゴジラ細胞や他の怪獣のデータを利用して生体兵器を開発し、他の遺伝子関係
の企業や国の軍と取引をすれば、莫大な富を手に入れる事が出来ます。」
と返した。同じく地球防衛軍の覇王は
「要はバイオメジャーとそのサラジア共和国とやらのテロリスト達も金儲けが目
的さ!あれだけ不死身の生命力があるゴジラ細胞や未知の力のある怪獣達のデー
タを基に合成怪獣を売り出せば……多分数億は稼げるだろうし、それを利用して
戦争を起こせばあっという間に別の国を侵略出来る。怪獣より人間の方がタチが悪いな……」
とつぶやくように言った。

(第23章に続く)