(第24章)指輪の行方

おはようございます。
畑内です。ゴジラの自作小説を載せます。

(第24章)指輪の行方

2時のニュースでは
「廃工場でテロ組織を摘発」
と報道されていた。
さらにそのニュースを見た東京や真鶴の抹殺派の人々が
「テロが起こるのは怪獣のせいだ!」
とか
「怪獣のせいで罪のない人々が命の危険にさらされている!だから怪獣を抹殺しろ!」
とデモが起り、真鶴や東京の道路をプラカードや横断幕を掲げて行進をする様子が映し出された。
レポーターがゴジラ予知ネットの代表の篠田にインタビューをしている様子が映
し出され、篠田は
ゴジラを研究する事はこの地球の生命の謎を解くカギとなるんです!本当にゴ
ジラを殺せると思いますか?」
と必死に訴えたが、抹殺派代表の温水浩子や抹殺派の人々がレポーターの篠田の
インタビューに割り込むなり大声で
「勉強の妨げにならない限りゴジラの調査に同行させるとは何事ですか?」
さらに別の抹殺派の母親も
「お願いだから命を粗末にしないで下さい!」
と涙ながらに訴え、挙句の果てには他の母親が
「15歳の子供を自分のゴジラの研究の都合の為だけに危険な目に合わせるのは
果たして親のする事でしょうか?」
とレポーターの前で篠田にキツイ調子で言った。
結局、篠田は怒鳴る人達に圧倒されて何も言い返せず黙りこ込んでしまった。
場面が変わり、次のニュースが流れた。
頭に包帯を巻いたレポーターが
「次のニュースです!先ほど、内閣官房副長官のCCIの野中元さんは
『インファント島のモスラに対する攻撃』を4時間後に再開すると発表しました!
これにより再びインファント島の住民の激しい抗議運動も懸念されています!」
美雪は
「そんな……」
と信じられない様につぶやいた。
白衣のポケットの携帯が鳴り始めた。
美雪は携帯に出ると、英語で男と親しい仲の様に話し始めた。
地球防衛軍の会議室では『対テロ対策会議』が続いていた。
やがて記者会見を終えたCCIの局長の野中元が戻って来た。
何故か尾崎を鋭く睨みつけながら、自分の席に座った。
尾崎はなるべく野中から目を逸らした。
ゴードン大佐は
「現場調査の結果、ゴジラのDNAと地球防衛軍
ミュータント兵の覇王圭介少佐の血液サンプルが盗まれていました。
監視カメラを破壊したのはどうやらサラジア共和国のエージェントか3人の
バイオメジャーのどちらかと推測されます。
3人のバイオメジャーはすでに死亡が確認されましたが、
サラジア共和国のエージェントの行方は不明です。」
野中は
「なら!現場はどうなっている?争った跡は?」
覇王は
「どうやら3人のバイオメジャーが侵入する1時間前にすでに何者かが侵入して、
ゴジラのDNAと理由は分からんが……俺の血液サンプルをあさっていた。そ
こへサラジア共和国のエージェントが侵入して鉢合わせしたんで、口封じに3人を殺して逃亡した。」
すると直充は
「いずれにしろサラジア共和国のエージェントの行方を追跡する必要があるな……」
とつぶやいた。

インファント島攻撃再開まであと4時間後。

「『生きる楽しみ』ねぇ……」
テロ対策会議が終わって覇王がいつもの様に寮で「ファウスト」を読んでいた時、
ふとポケットの中に手を入れると何かに触れた。
ポケットを探るとポケットから指輪の入った箱が出て来た。
覇王は「あれ?」と首を傾げた。
その時、尾崎が入って来た。
尾崎は「何それ?」
と聞いた。覇王は
「何か…この前買った指輪だな」
尾崎は
「へぇ誰に?」
と笑いながら言った。
覇王は「美雪にあげようかと思ってさ!」
すると尾崎から笑いが消えて驚きの顔に変った。
尾崎は
「それ?本当?」
と信じられない様に言った。
覇王は
「何故確かめる?俺の言った事が信じられないのか?」
と聞いた。尾崎は
「それは……」
と口ごもった。

仮設研究所では美雪はまだ謎の男と電話をしていた。
美雪は
「それで……例のサンプルは成功したの?」
その男は
「成功した……そちらは?」
美雪は
「ケーニッヒについて調べたわ……詳細はメールで送るわ」
男は
「分かった……くれぐれも変なことはするなよ!」
と言うと電話が切れた。
美雪は
「言われなくても分かってるわよ……」
とつぶやくと携帯を閉じて再び白衣にしまった。

(第25章に続く)