(第25章)友とは?

(第25章)友とは?

地球防衛軍の仮設研究所で尾崎と覇王が言い争っていた。
覇王は大声で
「人を信じるって何だ?」
尾崎は
「信じる事で仲間が出来る!」
と大声で返した。
覇王は
「誰かに裏切られるという恐怖は無いのか?」
尾崎は少しイライラした様に
「そんなのいつも気にしていたら!疲れちまう!」
と答えた。すると覇王はとんでもない事を言い始めた。
「親友と恋人ってどう区別する??」
尾崎は質問の意味が分からず口を開き唖然として、信じられないという目で見た。
尾崎は
「いきなり何を言い出すんだよ!」
と言った。さらに覇王は焦っている尾崎にお構いなく
「何故焦る?そんなに知られたくないものなのか?美雪の事が好きなのか?それ
とも嫌いなのか?」
と追い打ちをかけた。
尾崎はとうとう怒って
「別にそう言うつもりは無い!」
覇王は
「じゃ?どういうつもりなの?」
尾崎は
「別に関係ないだろ!」
と言うとドアを乱暴に開けて出て行った。
覇王は
「人が人を知るってこんなに大変なのか?……」
と独り言をつぶやいた。
しばらくして覇王は「この指輪どうしようか?」
とふたたび呟くと立ち上がり、美雪のいる仮設研究所へ向かった。
しかし仮設研究所のドアで神宮寺博士から
「美雪さんならさっき夜食を買う為に家へ戻ったよ!」
と聞いたので覇王は美雪の家を初めて訪ねた。
美雪の自宅は仮設研究所からさほど遠く無く、徒歩で十分だった。
覇王は玄関のチャイムを押した。
美雪が出た。
美雪は
「何よ~突然」
覇王は
「いや……通りかかったから……ただ立ち寄っただけだ!」
と答えた。美雪は
「どうぞ!」
と言うと覇王を家へ入れた。
覇王は少し緊張した様に美雪の家へ入った。
美雪は少し笑いながら
「何を緊張してるのよ?」
と声を掛け、右手で覇王の肩を軽く叩くと階段を上り始めた。
覇王も一緒に階段に上った。
そして美雪は
「右が姉ちゃんの部屋だから勝手に入らないでね!」
と自分の部屋へ入ろうとした時、
「ワンワンワン!」と吠える声が聞こえた。
覇王が驚いて足元を見ると黒いフレンチブルドックが座っていた。
美雪は
「キャンディ!」
と大声で言った。
覇王は
「飴玉って名前か?」
美雪は
「まあね……姉ちゃんが飼っている犬なの……」
そして2人は部屋に入った。

美雪と覇王はベッドに座ってしばらく話し込んでいた。覇王は
「毎日徹夜で怪獣を調べたりして…君はそれで満足か?」
美雪は
「どうしたの急に?」
すると覇王は
「なあ……家族って何だ?」
美雪は「えっ?」
覇王は
「母親、父親、子供がいて……」
美雪は少し顔が赤くなり
「ちょっと何を言っているの?」
覇王は
「体育館で沙羅って子供に会ったんだ……俺は『大きくなったら子供が欲しいと
思う?』と尋ねた。そうしたら『うん!』と元気よく答えてくれた……君はどうだ……」
美雪は
「うーん……」
と考え込んだ。
覇王は
「どうしてそんなに考え込む?」
美雪は
「それは大人の事情よ!子供を育てるには養育費とか?」
覇王は
「お金がないと子供はもらえないと?」
美雪は
「別にそういう訳じゃ……」
覇王は少し笑いながら
「どう考えてもお金では子供はできないぞ!」
美雪は
「そんな事言われ無くても!分かってますよ!」
と言いながら舌を出した。

(第26章に続く)