(第28章)DNA

(第28章)DNA

美雪の家の近くの公園で覇王は尾崎に向かって
「どうやら君は彼女を自分のものにしたいんだな……」
とつぶやいた。
尾崎は怒りを爆発させた。
「何だと!お前にこの俺の気持が分かってたまるか!」
と尾崎は覇王に殴りかかって来たが逆に覇王は尾崎の腕を掴みねじ伏せた。
覇王は
「それが嫉妬なのか?」
しかし尾崎の周りから黄金のオーラが放たれ覇王を念動力で吹き飛ばした。
その拍子にポケットから箱が落ちた。
尾崎はそれを拾って開けると怒りで頭が真っ白になった。
中には指輪が入っていた。
覇王は
「返せ!」
と大声で言った。
尾崎は
「フン!こんな物!」
と大声で言うと地面に叩きつけ様としたが、覇王が尾崎を突き飛ばし、
地面に落下する直前に指輪の箱をキャッチした。美雪は
「やめて!どうして喧嘩するの?」
と涙を流しながら訴えた。
美雪の声を聞いて我に返った様に
「御免……俺……」
とまで言った時、美雪の右ビンタが「バシッ!」と炸裂した。
「最低よ、男として!」
と言うなり覇王を連れて走り去った。
尾崎は右の頬を抑えながら放心状態でしばらく立ち尽くしていた。
2人は仮設研究所に戻って行った。
美雪はパソコンを起動させメールを開いた。
メールには『CCIの探査衛星が月のクレーターで発見した青色の物質について』
と書いてあった。覇王は真剣な目で画面を見ている美雪の姿を見て
「どうやら仕事に没頭することによって今日あった出来事を忘れようとしている
らしい……」
と一人言の様に言った。
美雪は真剣な顔でメールの内容を小声で読み始めた。
覇王も美雪の隣に座ってそのメールの内容を読んだ。
それは英語で
「CCIの衛星が発見した青色のゲル状の物体はCIAの研究所に極秘に保管さ
れている」
と書いてあった。
美雪は
「何で日本の研究所じゃなくてアメリカのCIAが極秘に保管しているの?」
覇王は「なんで?」と混乱した様に言った。
さらにメールの文章は続いた。
「我々が青色のゲル状の物体を詳しく調査した結果、そのゲル状の物体からはケ
ーニッヒギドラのものと思われるDNAが検出されている。但し、このDNAは
ケーニッヒギドラ本体から検出されたものとは皆少しずつ異なっていた。また過
去に地球の勝山断層で発見された赤黒のゲル状の物質の成分からは様々な恐竜の
DNAが検出されている。
また月経の血らしきものも交じっていたことから『雌』のギドラと思われる。
青色のゲル状の物質はケーニッヒギドラの体から分泌されているらしい。またそ
の青色のゲル状の物質を分析した結果は以下のファイルに記した。」
と書いてあったので美雪はマウスを動かし、添付されているファイルをクリック
した。
美雪はその成分のグラフを見て
「この成分は……海水に類似しているわ……生命の全ての始まり……」
するとそこに神宮寺博士が
「何に似ているって?」
とコーヒーを片手に美雪と覇王の所へ来た。
美雪は
「いや……CIAから届いたメールを読んでいたの……」
と答えた。そして再びパソコンの画面に目をやった。
「液体中に多種多様の原始的な細胞の群れが発見された。これらにケーニッヒギ
ドラの細胞は含まれていなかった。」
と書いてあった。
覇王は
「それじゃ…そのギドラは?」
すると神宮寺博士は「CIA所属の学者達は、ケーニッヒギドラは他の生物を捕
食して、それらを体内で全て精子に変化させるのではないかと考えているらしい
……」
美雪は
「まさか?人間も過去に……」
すると神宮寺博士が笑いながら
「あくまでも仮説にすぎないから本当かどうかは分からないさ!」
覇王も
「そうさ!元気出してよ!美雪さん!」
と励ます様に言った。
するとドアの方から
「果たして?そう言い切れますかな?」
と声がした。3人が振り返ると、ドアの前に腕組みをして考えるポーズをした男が立っていた。

(第29章に続く)