(第29章)生命と創造

おはようございます。
畑内です。
ゴジラの自作小説を変更します。

(第29章)生命と創造

美雪はドアの前で考えるポーズをとっている男に向かって
「誰ですか?あなたは?」
すると覇王は
「関係者以外立ち入り禁止の筈だ!聞いていないのか?」
と警戒気味に話しかけた。
すると
「すいません……忙しい中……勝手にお邪魔してしまって……いや!あなた達の
仮説を聞いて、私は大変興味がありましてね!それでここからは僕の仮説ですが、
恐らくケーニッヒギドラや他のギドラ族やゴジラ族は、本来はただ文明を根こ
そぎ破壊して『死の星』に変えるだけで無く、その星に住む生物を捕食しては精
子に変えて地上に再び植えつける。きっとギドラ族の中にはメスもいて、こちら
は捕食しては卵子に変えてそれを植えつける。
そしてその両方を結合させて……」
と言い掛けた時、今まで黙って聞いていた覇王が
「新しい生物を生み出す、つまりゴジラとギドラは『生命』と
『創造』そのものだと言いたい訳か……」
すると男は
「それでも光あるところには必ず漆黒の闇があります!対極の存在もいると言う
のが私の考えですが……皆様はどう考えますか?」
美雪はしばらく考えていたが
「それじゃ……ゴジラは有毒の放射能を吸収して、それを無害でしかも『生命』
を司る何かを作り出すのかしら?」
男は
「それはなかなか面白い考えですね!」
と言うと
「それではこれで失礼します!」
と仮設研究所を出て行った。
覇王は
「なにをしにきたんだろう……」
と首をかしげながらつぶやいた。
仮設研究所から出た男は黒い乗用車に乗り込んだ。
乗用車の運転席には黒いフードをかぶった男が乗っていた。
その男は
「あの女と悪魔の子に会って来たのか?」
と聞いた。するとその男は
「会いましたよ!」
とシートベルトを着けながら答えた。
するとその黒いフードをかぶった男は
「そうか……悪魔の子は元気なようだな……あの女も……」
すると男は
旧約聖書の創世記でアダムを騙して楽園を追放させた蛇の子孫があの男で、あ
の女はイヴの……本当でしょうかね?」
黒いフードを被った男は
「間違い無い……」
と返すと車を発進させた。

南海のインファント島住民にCCIの野中が
『あと3時間以内にそこを立ち去る事』を要求した。
しかし返事はブーイングや罵声の嵐だけだった。
野中が
「あと1時間」
とつぶやいた。
インファント島の住民は島に近づく先進国を追い払うようになり、誰一人島を一
歩も出る者はいなかった。
それどころか浜辺に24時間座り込みを続け、抗議運動を続けた。
住民達はインファント語を書いた大きなヤシの実を掲げ、それをCCIとインフ
ァント島住民の通訳の為に来ていた言語学者の中條信一が解読して
「いざとなればモスラを守る為に住民は武器を取っての戦いを覚悟する」
と説明した。
CCIの野中や職員は唖然としたように聞いていたが、やがて職員の間に動揺の
嵐が巻き起こった。
中條は大声で
「これでは無駄な血を流すだけです!
どうかこの作戦は中止していただきたい!」
と訴えた。しかし野中は
「もう決定事項だ!何度言ったらわかるんだ!ロリシカ国の軍も協力してくれているんだぞ!」
と大声で中條を怒鳴りつけた。
長老は先進国に作戦をやめさせるよう「動物愛護団体」や「怪獣を保護する会」
の支援を受けて、東京の色々な場所で講演し、先進国の住民を説得しようとした。
差別的な扱いを受けてもくじけること無くモスラを信じて必至に講演を続けて
いた。しかし「怪獣災害を考える会」の住民達はデモ行進のテレビや雑誌等の各
メディアを通して、インファント島の長老をよってたかって徹底的に叩いた。そ
の流れに踊らされたマスコミやテレビもインファント島の住民や長老に対し誹謗
中傷を面白おかしく描き始めた。
他方いくつものTV局のアナウンサーやジャーナリストが人権侵害の罪で逮捕さ
れる前代未聞の事態に見舞われた。
長老は「島が危険」という理由で島にも戻ることができず、どうにも立ち往生し
ていた。そして彼が泊まるホテルには抗議の電話や脅迫まがいの電話が幾つもか
かって来た。ホテルの従業員はその対応に毎日追われ、心身共々疲れ果ててやめ
る人達も出た。「従業員がやめてそれに客足が減った」との理由で長老はいつも
他のホテルにたらい回しにされていた。
その為、長老に地球防衛軍は寮の1つを無料で貸し出した。
ちなみに圭介の寮のすぐとなりである。
ここでは長老に関する抗議や誹謗中傷は軍の最新のコンピュータ技術により全て
シャットダウンされた。おかげで彼は安心して先進国のフカフカのベッドで熟睡
する事が出来たのである。

(第30章に続く)

また載せます。
では♪♪