(第37章)友達の再会そして…仲直りと悲鳴!

(第37章)友達の再会そして…仲直りと悲鳴!

凛は遺跡の中にある円形の部屋で目を覚ますと、
狭く明るい廊下を彷徨い歩きながら
「あれ?ここはどこ?」
と言いいつつもまだ夢から覚める直前に脳裏に流れた黒い龍と
助けを求める男性らしき声について考えていた。
すると突然
「キャー」
と声が聞こえ、水が撥ねる音がした。
すると女性の声で
「イタッ!また水?!」
と声が聞こえた。
凛はその声に聞き覚えがあった。
「友紀ちゃん?友紀ちゃんなの?」
と遠くの通路に向かって大声で言った。
しばらくしてその女性の声が返ってきた。
「凛ちゃん?凛ちゃんなの?」
すると凛は驚きと嬉しそうな声で
「大丈夫!?待っててすぐそこに行くから!」
通路の遠くで友紀は
「あたしは大丈夫!今そっちに行くわ!」
と水が撥ねる声がだんだん近くなった。
そして2人は無事再開した。
凛は驚いた様に
「どうしてあたしの居場所が分かったの?」
友紀は
「これのおかげかな?」
と言うと小さな鏡を取り出した。
凛は大喜びで
「ありがとう!友紀ちゃん!」
と言い、ほっぺにキスをした。
友紀は
「よかった……いつもの凛ちゃんで……」
すると凛は途端に申し訳なさそうに
「あの、ゲーセンと公園で酷く突き飛ばしたりして御免なさい!」
と謝った。
友紀は
「ううん!気にしないで!それは後で笑い話になるわ!」
と笑顔で返した。
凛は少し泣きながら
「ありがとう……」
しかし喜んだのも束の間、突然
「うわああああああああああぁぁぁぁぁっ!」
と男性の悲鳴が聞こえた。
続いて
「いやあああああああああぁぁぁぁぁぁっ!」
と女性らしい悲鳴も聞こえた。
友紀は
「なんなの?!今の悲鳴!?」
と大声を上げるとその声のする方に走っていった。
凛も後に続いた。
2人が水をバシャバシャと跳ねて走っている間、女性と男性の声が聞え続けた。
そして2人が角を曲がると……そこは暁色をした狭い部屋だった。
さらに二人の眼前で恐るべき光景が広がっていた。
ゴジラとジュニアはさっき友紀が立っていた断崖の近くまで
暁色の水中を進んでいた。
すると突然水中から『何か』が突っ込んで来た。
不意を突かれたゴジラは転倒して、断崖の下敷きになった。
ジュニアは周りを警戒しながら進んでいたが、
突然『何か』に足を掴まれ、遠くへ投げ飛ばされた。
水柱を上げて、暁色の身体をした竜が立ち上がった。
遠くへ飛ばされたジュニアは壁を突き破り瓦礫の山に埋もれていたが、
やがて瓦礫を吹き飛ばし、立ち上がった。
バガンの体中から長い触手の様なものが生えてきた。
それは太い蔓の様に伸びるとゴジラの胸を貫いた。
ゴジラは悲鳴を上げた。
さらに別の太い蔓がジュニアの肩を貫いた。
ゴジラは負けじと口から放射熱線を吐き、蔓を次々と破壊した。
バガンは痛みにもがきながら口から長い舌を伸ばし、ゴジラの首に絡み付いた。
そこへジュニアが肩に刺さっていた触手を引きちぎり、
バガンの頭部を掴んでそのまま壁に叩きつけた。
暁色のクリスタルをバラバラに破壊しながらバガンが壁を突き破ると、
そこは巨大な丸いホールになっていた。
バガンは両腕に生えた長い爪と足を器用に使い、
壁や天井を物凄いスピードで駆け回り始めた。
ゴジラとジュニアはバガンの動きを目で追うが、
そのスピードで、捉えて攻撃するのが不可能だった。
一方凛の行方と遺跡とを調査するチームは、
クリーンウェアーとマスクを付け遺跡の中へ入って行った。
彼らは中国人達が入った巨大なホールとは別の部屋に入って行った。
そこは長い廊下になっていて、その先には巨大な金庫の様な扉があった。
尾崎は
「これは?」
と言って金庫に触ろうとした。
すると金庫の様な扉から10本のレーザー光線が現れた。
尾崎はとっさに手をひっこめ、ブスブスと黒い煙を上げて焦げた手袋の指先を見ながら
「なんだ……これは?」
ジェレルは
「厳重なセキュリティシステムの様ですね」
と言うと近くのコントロールパネルを調べ始めた。
しかしこの厳重なセキュリティを解除する機能は見つからなかった。

(第38章に続く)