(第47章)裏で糸引く闇の黒幕

おはようございます。
畑内です。
久しぶりにゴジラの自作小説
シーズンⅣを変更します。

(第47章)裏で糸を引く闇の黒幕

 宇宙人によって怪我したジェレルを抱え、お湯の出る場所を探していたが、
なかなかそれらしき部屋を見つけられず、アヤノは疲れ、
一度ジェレルを壁にもたれ掛けさせると風呂場やシャワーが無いか辺りを探し回った。
 アヤノはある病室の僅かなドアの隙間からパソコンの電源が
付きっぱなしになっているのが見えた。
病室のネームプレートには山根蓮、川根洋子と書かれていた。
アヤノは周りに警戒しながら病室の中へ入って行った。
蓮のベッドの机にノートパソコンが置かれ、画面にはウィルスによって
怪獣化したサンドラがゴジラを腹から生えた8本の触手で投げ飛ばす様子が映し出されていた。
アヤノは「間違いない!ここは敵のアジトだ!」と容易に想像出来た。
それから蓮の机やベッドの下を調べ始めた。
やがてアヤノは小さい空の箱を見つけた。
その瞬間、病院全体が激しく横揺れした。
 しばらくしゃがんでじっとしていたが、揺れが収まったので空の箱の中身を探して辺りを調べ回った。

 ジェレルはしばらく休むとようやく意識がはっきりと戻り出した。
フラフラと立ち上がり、足取りがおぼつかないまま歩き出た時、男女の声が聞こえた。
その男女の声はどうやら物置に使われている病室から聞こえている事が分かった。
 ジェレルはポケットから赤い万能ナイフを取り出し、
かじかんだ手で小さいナイフの刃を選び、それをドアノブに差し込み、しばらく動かしていた。
やがて「カチッ!」と音が聞こえ、
鉤が外れ、ドアにもたれかかっていた男女が倒れて来た。
 ジェレルはすぐに2人の縄を解いた。
女性が
「ありがとうございます!」
男性が
「これで助かりました!」
ジェレルは女性の方を見て警戒したようすで
「あなた達は?」
と尋ねた。
女性は
「長野です!」
男性は
「原田です!」
と答えた。
長野先生は顔面蒼白で警戒気味な様子のジェレルを見て
「やられたのね……」
とつぶやいた。
 アヤノはパソコンの隣の印刷機に何やらロシア語の文章が書かれた
2枚のコピー用紙があるのが目に止まった。
それを取って読んでみるとその長いロシア語の文章にはこう書かれていた。
「ロシアのスパイによる調査報告」
眼鏡をかけ直し読むと
「月で発見された様々な生物のDNAが含まれた青い液体の
情報はCCIからMWM社を通じて報告された」
アヤノは
「MWM社?」
更に文章を続けて読むと
キリスト教の『ミカエルと竜』の伝説は本当だったらしい…
…中国の消滅した遺跡……そこから『デスバガンバクテリア
に寄生されたバガンキングギドラの骨の化石が大量に出土した。
また寄生されていないバガンキングギドラの化石も大量に見つかった。
キングギドラやデスギドラがいた痕跡も見つかっている。
正確な年代は不明だが恐らく恐竜絶滅のあった時期ではないかと推測される。」
アヤノは
「まさか?国連より先に……」
もう一枚のコピー用紙には
「例の少女が生まれる前からサラジア共和国のエージェントが両親
(音無美雪、覇王圭介)を監視していた。
CCIの極秘のDNA調査により、例の少女の父親(覇王圭介)
の正体がケーニッヒギドラだと分かったからである。
それから音無美雪が妊娠していることが分かり、MWM社はCCIを利用し、
『対ゴジラ神獣計画』を立案したが、
結局はこの計画は国連に洩れ、破棄された。
次の計画では、生まれた音無凛のギドラの本性を暴き出そうと、
グランギドラのメスの性ホルモンと攻撃ホルモンを投与し、
また人間の男との間に子供が作れるか、TAGRTO社やアメリカのレオパス社
(後に倒産)の関係者を利用し、彼女を誘拐して調べる事にした。子供を作れる事は分かった
が、未知のG塩基の変異により、グランギドラの攻撃ホルモンや性ホルモン、
体内に巣食っていた暁のアメーバまでも抑制されていた。
そして3つ目の計画も満足の行かぬまま終了した。」
アヤノはその文章を読み終え、
「まさか?裏で闇企業が動いていたなんて……
しかも内閣のCCIやTAGRAT社やレオパス社さえも利用するMWM社?
あり得ないわ……そんな事があって……」
と驚愕の事実に口を半開きにし、呆然とその2枚のコピー用紙
を見ていた。
 その時、尾崎から無線で
「大変だ!ゴジラとサンドラがここに来る!早く!地下避難所へ急げ!」
アヤノは
「なんですって!」
と大声を上げた。

(第48章に続く)