(第48章)お互いの種の為の共存!

(第48章)お互いの種の為の共存!

 放射熱線とサンドラの冷凍光弾がぶつかり合って発生した水蒸気が晴れると、
サンドラは、墜落した民家の瓦礫を弾き飛ばし、
怒り狂った様子で吠え、漆黒の翼を広げ、網走厚生病院に向かって飛行を開始した。

 轟天号は網走厚生病院へ向かうサンドラをレーダーで確認した。
ニックは
「サンドラはやはり!網走厚生病院へ向かっています!」
尾崎は
「さっき厚生病院にいるアヤノに連絡した!間に合うといいんだが……」
ゴードン大佐は
「サンドラをとにかく足止めするんだ!プロトンミサイル発射!」
そして轟天号から何十発ものプロトンミサイルが放たれた。
 しかしサンドラはその攻撃を左右、
一回転をしてアクロバットの様にかわし、
すぐにホバリングして振り向くなり、冷凍弾を放った。

 轟天号は冷凍バリアを最大限に使い、冷凍弾を相殺していった。
しかし突然、冷凍バリアの機能が「ガクッ!」と低下した。
ゴードン大佐は
「何だ!どうなっているんだ!」
ニックは
「原因不明です!突然バリアの発生装置が!」
 サンドラは轟天号が攻撃不可能と見ると満足な笑みを浮かべ体勢を立て直し、
再び網走厚生病院に向かって飛行を開始した。
 ゴジラはマンションの瓦礫を放射熱線で吹き飛ばして起き上がると、
網走厚生病院に向かって飛行中のサンドラを確認し、怒りの咆哮を上げ、
網走厚生病院の方向へ猛スピードで走り始めた。

 病院内では大勢の地元の機動隊や警察官、国際警察、
ガーニャ達に追い詰められ正体を現した宇宙人の一人メイスンが下顎
を大きく開き恐ろしい声で
「あたし達の計画は誰にも邪魔はさせないわ!」
ガーニャは火炎放射機を向けたまま
「それは?サンドラが作り出したウィルスか?」
シャランは
「そうよ!MWM社があたし達を裏切ったからウィルス実験は失敗に終わったわ!」
FBIの男が
「MWM社?モンスターウォーメーカ?」
レベッカ
「あの小さいデータディスクはあなた達にくれてやるわ!
データが全て残っているか分からないけどね!」
メイスンは
「それに!そのデータディスクはあたし達のウィルス計画の氷山の一角に過ぎないわ!」
と高笑いしながら言った。
火炎放射機を向けたガーニャが
「それは!どういう事だ!」
3人は同時に
「知りたきゃ!昔みたいにあたし達を拷問して聞き出す事ね!」
ガーニャは昔の事を思い出し怒りと後悔の嵐に襲われた。
 床下の通気口からその様子を眺めていた洋子は
「そんな……あたしが宇宙人……正体が……あんな……あんな……生物だなんて……」
蓮は恐怖に怯える洋子の顔を見て
「大丈夫!君はあいつらと考え方が違う!僕は洋子ちゃんを信じる!」
洋子は恐怖で震え青ざめた顔を向け
「蓮君……ありがとう……」
と言うと耐えきれず、蓮に抱き付き小さくすすり泣いた。
その時
「そこまでよ!レベッカ!シャラン!メイスン!」
という声が聞こえた。洋子の顔がパッ!と明るくなった。
2人は
「長野先生!」
と言ってあわてて通気口の金網を覗いた。
メイスンが裂けた顎を振り上げるのが見え、
「まさか?あんたは捕まえたはず!逃げ出したのね!」
と声が聞こえた。さらに
「俺もミュータントだから簡単には死なないぜ!」
と男性の声が聞こえた。
長野先生の
「原田先生は無事よ!」
と言う声が聞こえた時、
二人はたまらず床の通気口の金網を跳ね飛ばし、飛び出した。
 そして立ち上がると蓮はポケットから小さい紙切れを取り出し
「『レイ!レベッカ!メイスン!よくもあたしを裏切ったわね!C・A・K』
この紙切れに見覚えあるか?」
レベッカ
「まさか?ジュン?」
メイスンは舌打ちをして
「クソ!あの殺し屋!」
蓮は
「内部の裏切り者って?あんた達だろ?」
すると凛は思い出した顔で
「やっぱり……あたしはあなた達の会話を聞いたわ!
あなた達はサンドラを裏切ってウィルスで怪獣化させた!違う?」
メイスンは
「このクソガキめ!」
と怒鳴ると1本の触手を凛に向かって振り回して来た。
その時、ジーナが
「危ない!」
と大声で言うと拳銃を構え、
発砲し1本の触手を打ち抜いた。
メイスンは痛みで唸った。
レベッカ
「クソ!」
と言うと隣にあった機材室のドアに向かった。
そこにガーニャが火炎放射機を向け
「この病院内はすべて封鎖されている!
逃げられるもんか!諦めろ!」
長野先生も
「これ以上!殺人事件は起こさせないわ!
あなた達のせいで他の仲間が命の危険にさらされる!」
ガーニャは
「仲間?まさか彼女も?」
洋子も真っ青な顔から希望に満ちた顔に変わり
「あたしも同じ宇宙人……だけど人間の蓮君が信じてくれたおかげで自分の意見がはっきりしました!
あたしは人殺しではありません!」
レベッカ
「それは嘘よ!あなた達も同じ人殺しよ!
人間と共存なんて出来るもんか!」
と猛然と反発した。
しかし長野先生ははっきりと
「いえ!出来ます!人間と共存出来ます。お互いの種の為に!」
と答えた。
その場に居合わせた原田先生は完全に頭が混乱し
「そんな……宇宙人……うちの生徒と先生が……」
と言うとその場でショックのあまり気を失った。

(第49章に続く)