(第52章)2001・ 9・11

おはようございます。
畑内です。
出勤前にゴジラの自作小説を載せます。

(第52章)2001・ 9・11

 サンドラはゴジラに獣の唸り声を上げながら飛び掛かった。
ゴジラは真っ白に覆われた雪の上を素早く転がりながら尾でサンドラの右頬を殴り倒した。
しかしサンドラは一回転して体制を整え、地面に着地した。
 サンドラはしばらく荒い呼吸を繰り返していた。
それから深呼吸すると大きくジャンプし、ゴジラの真横をかすめ、
地面に着地して腹から8本の触手を伸ばし、背後にいるゴジラに襲いかかった。
 ゴジラは放射熱線で応戦した。
青白い放射熱線は8本の触手の先端の青い発光体に吸い込まれ、無力化された。
さらに2本の触手が両足に巻き付き、壊れたアスファルトに叩き付けた。
続けてもう1本の触手が背後からゴジラの首に巻き付き、ゴジラは天高く放り投げられた。
空中でゴジラが両目を開け、目の前に1本の触手が見えたかと思うと叩きつけられ、
ゴジラはマンションの上に落下し、瓦礫の山に埋まった。

 網走厚生病院内で蓮は凛の話を聞いて
「どうやったら彼女を救えるかしらだって?まだ!そんな事を言っているのかい?
彼女は怪獣化してもう命は助からないよ!」
凛は首を左右に振り
「いいえ!助けられるわ!何か方法が!」
蓮は怒りで歯ぎしりしながら「俺の父を殺したお前が!彼女の命を救える訳無いだろ!」
と反論した。
すると山岸と洋子がその2人の中に割って入り、
「もい!いいわよ!」
と洋子。
「皆!命が助かったんだから!いい加減仲良くしてよ!」
と山岸。
しかし2人はしばらく殺気を飛ばし合い、睨み合った。
FBI捜査官の男は連と凛に
「君達、その怪獣化したサンドラの記憶や意識ってどう言う事?」
と尋ねた。
凛はすぐに自分が見たイメージを全て詳しく話した。
FBI捜査官は
「もしかしたら、10月28日に起こったカナダのひき逃げ事件じゃないかな?」
ガーニャは思わず大声で
「それは!本当か?」
と2人に尋ねた。
FBI捜査官は
「そして!宇宙人の凍死殺人事件が起きたのもこの時期だった!」
山岸も思い出したという顔で
「確か……10月30日のハロウィンに、謎の3人の凍死体が
発見されて……結局、犯人の動機や殺害方法が謎のまま事件は迷宮入りになったとか?」
ガーニャは
「それから……冬の日にまた同様の手口の殺人事件がカナダの大学で起こった……
その時、私達はカナダの大学の一年生で、宇宙人の姿を始めて目撃した!」
FBI捜査官は
「しかし警官を大量に動員したにも関わらず、犯人は捕まらず、
宇宙人の関係も曖昧なまま迷宮入りになった。」
ふと長野先生が
「もし怪獣化しても、彼女の意識が僅かでも残っているとしたら?」
蓮は
「例え……僅かに意識が残っていても……
そのうち消えてなくなるさ!どうせ長生きは出来ないだろう……」
隣にいた凛は突然、蓮に自分の顔をくっつくほど間近に寄せて
「仲間に裏切られて怪獣化した彼女の苦しみも少し位は考えたらどうなの?」
と低い声ですごんだ。
凛の護衛は2人の間に割って入り
「やめるんだ!二人共!」
と怒鳴った。

 ジュンは、地球防衛軍特殊犯罪調査部の関係者に驚きの真実を語り始めた。
「2001年の9月11日のアメリカ同時多発テロ事件……知っているでしょ?」
 特殊犯罪調査部の関係者全員は無言で頷いた。ジュンはさらに驚愕の事実を語った。
「その事件を起こしたテロリスト達の目的は……CIAの機密情報が、
世界貿易センタービルのツインタワーで誰かと取引されていたらしいの……
それを妨害する為に何者かがテロ事件を起こしたの!
アメリカ国防総省のペンダコンが標的にされた理由も、
その中に極秘に保管されている情報を全てもみ消す為よ!」
地球防衛軍の特殊犯罪調査部の関係者は
「その極秘情報とは?物的証拠はあるのか?」
しかしジュンは首を振った。
「よく分から無いけど……ゴジラ細胞に関係するものだと思う……」
殊犯罪調査部の関係者は
「他に何か情報は?」
ジュンは
「あたしが知っているのはここまでよ!」
と答えた。

 ジュンに射殺されたサラジア共和国のエージェントの身元を捜査していた国際警察は、
このエージェントの指紋が過去に美雪と覇王を誘拐した犯人と
思われる者の指紋と一致したことを明らかにした。
 さらに国際警察はエージェントが所持していた黒い日記帳をビニール袋から取り出した。
その黒い日記帳には英語で
「かつての9・11事件のあと、アメリカ政府が
大量破壊兵器』を探し出す為にイラク戦争を起こしたと
エージェント5008号から話を聞いた。
話によればイラクから『大量破壊兵器』は見つからないまま戦争は終結したそうだ。
また『大量破壊兵器』と呼ばれていたものは……」
その日記には一枚のメモ用紙が挟んであった。
そのメモ用紙を日記から抜き取って見ると、緑のカニの姿をした怪獣が書かれていた。
国際警察の関係者は
「これは?まさか?」
次のページに短い文章で
「赤いカニに似たウィルスが世界中に拡大……謎の消滅……
緑のカニの姿をした怪獣だと思われるが……詳細不明。」
とだけ書かれていた。
 国際警察の一人は手に持っていた日記の文章と絵を呆然と見つめた。

(第53章に続く)