(第62章)じっとしていた方が安全!

久しぶりにゴジラの自作小説を3つ載せます。

(第62章)じっとしていた方が安全!

 先程、青黒い宇宙植物を見て戻って来た美雪に元FBI捜査官は
「G塩基を入れた植物は?」
と尋ねた。
しかし美雪は首を左右に振り
「実は……まだ変化が無くて……」
すると神宮寺博士は
「それなら何らかの方法で、サンドラにこの
G塩基の入った宇宙植物を直接投与してみたらどうだろう?」
しかし元FBI捜査官は
「でも……それは危険だわ!安全かどうか確かめていないのよ!」
美雪は
「でも!もう!時間が無いわ!彼女は死にかけているの!」
FBI捜査官は
「それはそうだけど……」
更に美雪は
「彼女は……死にかけている……感じるの……」
神宮寺博士は
「そうだ!彼女の言う通りだ!現在!彼女の身体は癌だけでは
無く!肉芽種が出来て!口から大量に吐血している……
身体が腐り始めてかなり危険な状態だそうだ……」
美雪は
「他に方法が無いわ!すぐに何らかの方法を!」
FBI捜査官は
「それなら!銃か何かで彼女に向かって発射できないかしら?」
と提案した。神宮寺博士は
「よし!すぐに自衛隊や日本の地球防衛軍に相談してみよう!」
と言うとその自衛隊地球防衛軍の関係者に電話をかけ始めた。

 未だにサンドラとゴジラの戦いは続いていた。
もう何時間お互いに戦い続けただろうか?
 サンドラはゴジラに攻撃をかわされ、
ますます苛立ちを募らせ、鋭く長い爪を持ち上げ、
真横に転がって避けたゴジラに再び切りかかった。
しかしゴジラは素早く刃の無い部分に鋭い牙で噛み付くと、
爪を「バリン!」と音を立て噛み砕いた。
サンドラは痛みのあまり裂けた下顎を大きく開き唸った。
ゴジラは放射熱線を放った。放射熱線はサンドラの頭部に直撃した。
サンドラは激痛で痛みに苦しみながら放射熱線にはじき飛ばされ、ビルを貫き、
倒れ瓦礫の山に埋まった。
サンドラは怒ってビルの瓦礫を弾き飛ばし、猛スピードで走り、
ゴジラに襲いかかろうとしたが、突然、身体中に激痛が走り、
悲鳴に近い鳴き声を上げ、激しく身悶えし、暴れ回り、目に映る建物やビルを手当たり次第、破壊した。
 いつの間にか背中から全身にあった大小のコブ状の肉芽種は互いに結合し、
紫色のカニの甲羅に似た外骨格に変化し、脊髄が露出し、
まるで有機物と無機物を掛け合わせたような姿に急激に変貌していた。
もはや本来のサンドラの意識も宇宙人の意識もほとんど失いかけていた。
この網走市で暴君の如く暴れ回っているサンドラは凶悪なバーサーカーマシンと化していた。

一方ゴジラはサンドラの執拗な攻撃に疲れ果て、近くのビルの瓦礫に座り込み、
左右の腕を振り回し、周りにある建物やビルを見境なく破壊し続けるサンドラを見た。
東京での戦いでゴジラはケーニッヒギドラに東京タワーで刺し貫かれた事があったが、
今はそれより遥かに酷かった。
これで2度も死なずに済んだのはゴジラの生命力が強靭だからだろう。
 サンドラの冷凍弾が、刺し貫かれた腹の傷口に直撃したところは酷い凍傷になっていた。
ここから今度は8本の触手が刺さり、内側から凍らされたらひとたまりも無いかも知れない……
その前に何とか決着をつけなくてはならなかった。
しかし状況は悪くなる一方だった。
何故なら先程ゴジラに噛み砕かれた長い爪は再び生え換わり元通りに再生したからである。
 それを見たゴジラは思わずため息に似た鳴き声を上げた。

 レイはコンテナの中で両手両足を金属アームで固定されていたが、
医療スタッフの瑞穂が赤いスイッチを押すと、そのコンテナは縦にゆっくりと持ち上げられ、
回転し、彼女はコンテナの中で磔状態となった。
彼女は「メイスンやシャランを始め、長野も自分が生きている事は知らない。
きっと自分は標本扱いにされるだろう……ただここが一番安全な場所だ」
と思い、あえて脱走は考えなかった。
ここを逃げ出しても、メイスンやレベッカに見つかり酷い死に方をするくらいなら、
ここでじっとしていた方がよっぽどマシだと思ったからである。
レイは口元に笑みを浮かべ、
レベッカもうまく逃げおおせるか?
それとも焼き殺されるか?
お手並み拝見と行きましょうか?
あたしを殺そうとしたレベッカやシャランはこの宇宙人本来の力に気づいていない様だったし……」
とひとり言をつぶやいた。
神宮寺博士が電話をしている間、じっとしているレイの様子
を見た美雪は
「自分が死んだ事は多分仲間達には知られていないからここが一番安全だと分かっているのね……」
とつぶやいた。瑞穂は
「確かに……彼女は賢いですね!」
しばらくしてテントの入口から
「そうさ!彼女達は人間のときから優秀な人物ばかりだった。
そしてさらに賢くなっている!昔よりね!」
と声が聞こえた。美雪と瑞穂が振り向くと、深刻な表情をしたジーナとサミーが立っていた。
美雪は2人に心配そうな顔で
「どうしたんですか?」
しかしジーナは自分が抱えている問題を隠す為、
「心配しなくても大丈夫です!」
と返した。

(第63章に続く)