(第61章)ツングースの謎(後編)

(第61章)ツングースの謎(後編)

 2人がロシア人の研究員に差し出された資料を読み始めると
驚きの分析データが書かれていた。
「№1908の土には謎の球粒物質が多く検出された。分析の
結果、宇宙植物の胞子と分かった。」
「№1942の土や№20の土からも同様の物質が検出された。」
「1992年の調査隊から、ツングース大爆発の爆発跡
『通称ツングースカ・バタフライ』に生えていた樹齢130年のゴダイトヒの幹から
多くの球粒物質が発見されたと発表された。
また№1908、№1942、№20それぞれ採取された土の中
に含まれる謎の球粒物質と1992年に発見された球粒物質と同じ物質だと分かった。」
ビリーは驚きのあまり内をポカンと開け、
「これは?信じられない……それじゃ?ツングース大爆発は?」
と言い掛けた時、ロシア人の研究員は
「はい!25億年前、1億3千年前、6500万年前の各地の地層からも
あの1992年のゴダイトヒの幹から発見されたのと全く同じ球粒物質が見つかっています!」
ビリーは
「もしかしたら?過去にもツングースの空中爆発と同じ事件が起こったのかも?」
と推測した。
ロシア人の研究員は
「その可能性は高いですね!」
と少し笑いながら答えた。

 サンドラが長く鋭い爪を振り上げ、轟天号の船体を真っ二つにしようとした瞬間、
ゴジラが起き上がり、放射熱線を吐いた。
放射熱線はサンドラの肉芽種の覆われた背中に直撃し、一部を蒸発させた。
 サンドラは痛みのあまり、下顎を大きく開き咆哮を上げゴジラの方を振り向いた。
 ゴジラは何とか立ち上がろうとするがダメージが大きく、立ち上がる事さえ困難だった。
 サンドラは怒りと苛立ちの矛先を轟天号からゴジラに再び変更し、
まだ立ち上がるのが困難なゴジラに猛然と向かって行った。

 ゴジラは素早く真横に転がり、サンドラの鉤爪をかわした。
 サンドラは攻撃をかわされますます苛立ちを募らせ、再び長い爪を持ち上げた。

 洋子と山岸はふと長野先生がいなくなったのに気が付き、大慌てで長野先生を探し始めた。
 しかしいくら探しても長野先生は見つからなかった。
 その時、病院の広場の茂みから偶然、凛と蓮が現れた。
2人は驚き、同時に
「凛ちゃん!連君!何処に言っていたの?」
凛は
「あなた達こそ?どうしてここに?」
すると山岸は
「長野先生とさっきまで一緒だったんだ!けれど!途中ではぐれて!」
と説明した。
凛は
「先生を探さなきゃ!」
しかし蓮は
「駄目だよ!俺達は追われている身だ!このまま地下の避難所
に戻って……と言い掛けた時、凛は連の言葉を無視して
「早く!探さなきゃ!」
しかし蓮はさらに大きな声で
「何を言っているんだ!万が一テロリストに遭遇したら……友紀と同じ目に遭うかもしれないんだぞ!」
山岸の脳裏にテロリストの正体が思い浮かび再び背筋が凍りついた。
「凛ちゃん……蓮君の言う通りだよ!ここは寒いし……」
凛は身体を震わせ、両手で自分の体を抱き、身を縮めながら
「そうね……なら!温かい場所に隠れましょう!」
と提案した。

 美雪は女性警備員から、レベッカが逃げ出した事を伝えられた。
ガーニャの行方も不明だった。
それを聞いた美雪は
「そんな……一体どうやって??まさかガーニャが逃がしたの?」
神宮寺博士は
「……それは考えられない!」
しばらくしてテントから元FBI捜査官が走って来た。
美雪は
レベッカの行方は?」
FBI捜査官は
「まだ!見つかっていないわ!」
と答えた。
しばらくして別の女性警備員が現れた。
「とにかく!この場所の警備は固めました!」

神宮寺博士は
「レイの死体は?」
もう一人の女性警備員は
「このまま宇宙人の抜け殻の青黒い塵とレイの
生体標本はここから動かさないようにします!」
と答えた。

レベッカは、取り調べ中のガーニャを鈍器で殴り気絶させた人影を見上げた。
「遅いわよ!」
すると女性らしき人影が
「御免なさい……」
と言った。
レベッカ
「サンドラは?」
女性らしき人影は
「かなり変異して凶暴化しているわ!」
レベッカ
「そう……」
女性らしき人影は
「それとメイスンは?シャランとレイを殺した?」
レベッカ
「シャランとレイは無事殺したわ!メイスンは事故で死んだわ……
それより!助けてもらってありがとう!」
その人影は静かに微笑んだ。

(第62章に続く)