(第68章)MIB・メン・インブラック

(第68章)MIB・メン・インブラック

レベッカは長野先生を見て
「やっぱり!MIBだったのね!」
凛が
「先生が……MIB??」
山岸が
「あの都市伝説は本当だったんだ!」
レベッカ
「人を殴ってあたしを救ってどういうつもりかしら?」
長野先生は
「あなたを地球不法侵入罪で逮捕する為よ!」
と返した。
レベッカはせせら笑い
「あなた達のコミュニティーがMIBから支援を受けて
その代りに捜査官になっているって噂は本当だったのね!
それにしてはやり方がかなり強引過ぎないかしら?」
長野先生は黙ったまま何も答えなかった。しかし心中では
「やっぱり彼女は発信機を付けてうちの生徒達を追っていたの
ね…気づくのがもう少し早ければ何とか出来たのに!」
と酷い後悔の思いに駆られていた。
洋子は気絶しているガーニャの後頭部の怪我の具合を確認した。
山岸が
「この人?……生きてる?蓮と凛ちゃんは??」
洋子は
「ええ!この人の怪我もとても浅いわ……」
とガーニャの胸に耳を当て呼吸をしているかどうか確認した。
それから凛と蓮の胸に耳を当て洋子は
「大丈夫!眠っているだけよ!3人共!心配無いわ!」
と答えた。

 真鶴のCCI特殊生物研究所の隣にある巨大ドームでは,
各国の企業関係者が集まり会議が行われていた。
韓国人の男性は
トオルさんとビリーさんは数日後にシベリアから帰国の予定です!」
中国人の女性は
「それならG塩基を組み込んだ青黒い宇宙植物は無事ここまで輸送出来たようだ……」
若い坊主頭の男性は
「これで全ての標本が揃いました!」
しばらくしてテーブルの上に2つの特殊な素材でできた植木鉢が強化ガラスの箱が壁から現れた。
1つ目の植木鉢には8cm程の大きさの
暁色のクリスタルの葉と暁の小さい花が咲いた宇宙植物が植えられていた。
土の表面を暁色のアメーバに似た根が蠢いていた。
ときおり黄金や漆黒、暁色の混じった色に発光していた。
その強化ガラスの箱の下部には『デスバガンバクテリア
では無く「アカツキシソウ」と書かれていた。
2つ目の植木鉢には同じく青黒いクリスタルの形をした種子らしき物と
8cm程の大きさの七色のクリスタルの花が咲いた宇宙植物が植えられていた。
土の表面には同じく青い液体の中に七色の根が蠢いていた。
これは青く発光していた。
強化ガラスの箱の下部の名前には「アオシソウ」と書かれていた。
すると剣士が
「これはアカツキシソウの原種です!先ほど届いた、
網走市で美雪さんと神宮寺博士がG塩基を組み込んだ休止中の宇宙植物の種子です!」
と答えた。

網走市では長時間の戦いで体力の限界に達し、疲れ果て、動け無くなり、
2体は建物の瓦礫の上に倒れていた。
北海道の網走市は朝日が昇り明るくなり、サンドラとゴジラは真っ白の雪がちらつく寒空を見上げた。
すると粉雪に混じり、青く輝くクリスタルらしき物が降って来た。
そのクリスタルは、倒れたサンドラの肉芽種に覆われた背中、
ゴジラの背中の上に静かに降り積もって行った。
サンドラとゴジラは倒れたままその場でじっとしていた。
 
失神したガーニャの意識は凛と蓮と共にどこか良く分から無い空間に立っていた。
ガーニャの意識は凛の言葉を聞いて
「ここはどこかはっきりと説明出来ない?どう言う事だ?」
凛は必死に
「落ち着いてよく聞いて下さい!」
と言いつつも彼が怪獣世界に来られた理由を考えていた。
以前、自分が2回、怪獣世界へ行く前の出来事を思い出し、
それをガーニャに話し、さらにサンドラが自分と蓮に助けを求めた事もなんとか説明した。
ガーニャはキョトンとした表情で
「サンドラが君に助けを??」
すると横から蓮が
「サンドラが良く分からないが……助けを求めて、結局、俺達が巻き込まれた?そう言う事だろ?」
しかし凛は
「違うわ!彼女はあたし達の力を借りて……」
と言いかけた時、蓮は大声で
「いい加減にしてくれ!第一俺にそんな能力は無い!存在しない!あってたまるか!!」
凛は首を振り
「いや!G塩基を持つ者同士が敵対し合うのは間違っているわ!お互いに協力しなきゃ!」
蓮は
「父を殺したあんたと協力するのは真っ平!御免だね!」
と言うと踵を返し歩き出した。

レベッカは長野先生と洋子に向って
「まさかMIBのあなたや貴方のコミニティ全員?いやいや!
高校生になった洋子さんも、あたしたちの本来の目的を忘れたわけじゃないわよね!」
長野先生は緊張の中、レベッカに拳銃を突きつけ
「ええ……それがどうかしたの?」
と大声で返した。
そこに「バーン!」とドアが開く音が聞こえ、ジーナとサミー、
FBI捜査官の男女や地球防衛軍のミュータント兵のアヤノが突撃して来た。
突入したジーナとサミーは火炎放射機をレベッカに突きつけ
レベッカ!もうここで今度こそおしまいよ!」
ジーナ。
「こっちは弱点の火炎放射機を持っている!」
とサミー。
しかしレベッカは高笑いをしてさっきの話を続けた。
「あたしたちの本来の目的は子孫を残す事よ!あなた達だって同じでしょ?」
長野先生は
「そうよ!それは分かってるわ!」
しかしレベッカ
「いや!あなたは分かっていないわ!X星人と同じよ!
あたしたちを下等で不気味な宇宙人としか思っていないんでしょ?」
長野先生は動揺し
「それは……」
と口ごもった。

(第69章に続く)