(第69章)グレックス

3日も遅れましたが……明けましておめでとうございます。
今後も特撮映画ジャーナルをよろしくお願いします。
ゴジラの自作小説を載せます。

(第69章)グレックス

再びガーニャの意識は凛と蓮がいるどこか良く分から無い空間に立っていた。
凛は踵を返して歩き出した蓮を見て
「どこに行くの?」
蓮は振り向き
「まともな現実世界に戻るのさ!」
凛は厳しい口調で
「駄目よ!ここでの役割を終えない限り!現実世界には帰れないわ!」
蓮は
「彼女を救えってか?俺達にどうしろって言うんだ!」
凛は真剣な表情で
「お願い!自分と向き合って!一生あなたはそのままよ!」
蓮はますます険悪な顔になり
「父を殺したお前が言うか?G塩基がなんだ??怪獣世界がなんだ??
ふざけるな!!おまえとゴジラは俺の父親を殺した!俺と母の笑顔を奪った!!」
と怒鳴り散らした。
凛は
「それは……」
口ごもった。
ガーニャは混乱した表情で
「どうして?彼女の名前を知っているんだ??彼女を助ける??どうやって??」
凛はガーニャに向かって
「彼女を助けられるのはあなた自身の意志なの!」
蓮はガーニャに向かって
「バカバカしい!ここは危険だ!早く現実世界へ帰ろう!」
しかし凛は蓮の言葉を無視してガーニャの腕をつかみ、走り始めた。
ガーニャは納得するどこかますます混乱していた。
蓮は
「自殺行為だぞ!」
と大声を上げ、あわてて後を追った。
 しばらく走っていると暁色の空間に入り込んだ。
 そこには暁色の大きなクリスタル状の莢らしき物が立っており、
その中心には……恐怖と絶望で震えているサンドラの意識が見えた。
 さらに左の方を見るとゴジラが倒れているのが見えた。
突然、「バーン」と大きな音を立てサンドラの腹から8本の触
手が飛び出した。さらに背中の硬い甲羅のような肉芽種の一部が破れ、
そこから同じく8本の触手が飛び出した。
 ゴジラは倒れたまま身動きが出来ず、ただサンドラの様子を呆然と見ていた。

引き続き、真鶴のCCI特殊生物研究所の隣にある
巨大ドームでは各国の企業関係者が集まり会議が行われていた。
中国人の女性は
「そういえばサンドラに投与したあの例のウィルスは?」
若い坊主頭の男性は
「どうやら……紫色の宇宙植物に変異しているようだが……でも……
まだ……不安定で……もしかしたら変異した末に消滅するかもしれません……」
と答えた。
しばらくして再び坊主頭の男性は
「ちなみにこの2つの宇宙植物の名前は中国で発見された新種として世間に発表します!
勿論!美雪さんや神宮寺博士にもその事を知らせる予定です!」
韓国人の男性が
「また!X星の調査の際に、廃墟となった居住区で
回収した宇宙植物の種子から漏れた青い液体から、
G塩基と多種多様の生物のDNA、ケーニッヒギドラらしきDNAが検出されたと、
宇宙飛行士から報告を受けている。」
若い坊主頭の男性は
「そこで!あくまでも私の考えた推測では、
バガンキングギドラそれぞれの体内に寄生していた暁の宇宙植物と、
多種多様の生物のDNAを持つ青黒い宇宙植物の2種類の花粉が偶然、
受粉して生まれた全く別の種、グレックスだと思われます!
2種類の花粉が受粉した際、M塩基が多種多様なDNAの影響を受けて
G塩基に突然変異した可能性があります。
やがてその宇宙植物が地球に住む、ゴジラモスララドンキングギドラ
バガンの体内に入り込み寄生し、地球で繁殖を始めた?」
すると中国人の女性は
「成程……面白い説ですね!」
と賛美の声を上げた。
それからしばらく話した末、会議は終了した。

レベッカ
「故郷は新しい資源を求めにやって来たX星人によって……
あたし達の仲間の多くはM塩基の支配技術やクローン技術の開発の為に
実験動物同然に扱われて来た!
惑星の多くの仲間達は実験台に利用され、みんな死んだわ!
それで滅びゆく故郷を捨ててあたしたちは命からがら地球へ来たの!分かるでしょ?」
「酷い……だからあんなにX星人を嫌っていたのね……」
FBI捜査官の女。
「本当に酷い連中だ!人権もへったくれもないな!」
と元FBI捜査官の男は怒りを露わにした。
しかしレベッカは二ヤリと笑い
「でも!故郷の伝承の通り!邪悪な者達に支配されたX星人達の時代は終わり!
突然変異したG塩基を持つ生物達とあたし達の時代がもうすぐ来るのよ!」
と嬉しそうな声を上げた。
再びレベッカは穏やかな口調で
「まあ……金星やX星、地球に住んでいる生物がいきなり
根本的に破滅する事はさすがにないでしょうけど……その内、
あなた達人間もX星人も、ミュータントやカイザー、
その他の知的生物の生息域や人口が急速に減って、絶滅するでしょうね!」
と答えた。
ジーナは
「それじゃ?あたし達はどうすればいいの?」
レベッカ
「どうしようもできないわ!大自然には逆らえないのよ!
それに最近の研究結果であたしたちの仲間の体内に
G塩基を組み込んでも拒絶反応は起こさず共存出来る事が分かったわ!
ただG塩基がどんな作用を持つかはまだ分から無いけどね!」
それから全員が長い間、沈黙した。
今まで黙っていたアヤノは
「それじゃ?ウィルスに感染したサンドラはどうなるの?」
レベッカ
「さあね!いずれ自ら破滅するんじゃない?
あとは国連より先に彼女の遺体を回収してウィルスに組み込まれた
G塩基やクリオネとヒグマとゴジラのDNAを持つ、オルガナイザーG1が
『デスバガンバクテリア』を取り込んでどこまで変異したのか?徹底的に調べるわ!」
と冷たく答えた。
すると洋子は突然、怒りがこみ上げ
「それじゃあなた達はX星人と同じく仲間を実験台に利用したの??」
しかしレベッカは怒りに任せて
「あたしと!X星人のやり方と一緒にしないで!」
と怒鳴り散らした。そのレベッカのものすごい剣幕に洋子はたちまち黙り込んだ。

(第70章に続く)