(序章)罠~トラップ~

今日は久しぶりにゴジラの自作小説を書きます。
ゴジラの無限の可能性を信じて……
てな訳で……ゴジラの自作小説の序章です。

ゴジラアフター・ザ・ファイナルウォーズ(シーズン)

(序章)罠~トラップ~

 小笠原諸島にあるとある無人島の森の中を走っている1台の4WD車。
その車内には国連の分子生物学者で主に怪獣の研究を行っている音無美雪とその助手の内田瑞穂。
他、国連の関係者が座っていた。
 それから無人島の森の中を走る事10時間。
4WDは森の奥深くにあるとある研究所へ着いた。
 研究員3人が入り口で待っていた。
1人は白衣を着た白髪の愛想のいいドイツ人で、もう一人は白衣姿の日本人の若い研究員、
最後の一人はオーストラリア人だった。
 美雪と国連の関係者はあいさつを交わし合い、
何事か短く話すと3人の研究員に案内され研究室へ入って行った。
 美雪と国連関係者は研究所を見て回った。
 美雪が窓から、大きな部屋になっている研究所を覗くと壁に巨大な
青いビニールシートが被せてあるのが見えた。
部屋の周りをよく観察すると、破壊され、へし折れた巨大な注射器の付いたアームやその他、
様々な医療器具らしきものがベッドの周りに散乱しているのが見えた。
 それらは全てビッグサイズで、どう考えても
普通の医師が使用する医療器具とはスケールが違いすぎた。
 一体?まさか?怪獣用?それならここで何を?
 美雪達はさらに先へ進み、再び別の窓を見ると100mの怪獣が
丸々1匹入る事が出来そうな程の大きさの棺桶らしきものが置かれているのが見えた。
美雪は日本語で隣にいた日本人の若い研究員に
「北村さん!これは?」
すると北村という名の日本人の若い研究員は
はっきりと日本語で
「ちょっとここで事故があって……」
とだけ言うとそれきり何も話さなかった。

 美雪達が乗っている4WD車が研究所に到着する29時間前。
 地下の部屋に設置されている巨大なベッドにはある怪獣が
巨大な注射器を身体に刺され、謎のオレンジ色の液体の投薬実験を受けていた。
 その怪獣の姿はゴジラに類似した背びれとイグアナみたいな身体と長い手足。
ワニのような頭部。
 オレンジ色の液体の薬の投薬が終わり、針が引き抜かれた。
 麻酔が切れた怪獣は「ガバッ!」と目を開け、跳ね戸の様に起き上がり、
注射器のアームを掴み、針をへし折ると窓に向かって投げつけた。
 そのアームは窓をかすめ、すぐそばに壁に衝突し、落下した。
 その様子を窓から見ていた北村と白髪のドイツ人の研究員は大慌てで
「マズイですよ……マークさん!」
しかし隣にいたマークという名前のオーストラリア人の研究員は冷静に
「大丈夫だ!」
と言い、手に持っていたボタンを押した。
すると天井の排気口から白いガスが吹き出た。
 途端に今まで凶暴に暴れ回っていた怪獣は呼吸が苦しくなり、
首を振り回し、鋭い爪や尻尾を何度も壁や特殊強化ガラスの窓に叩きつけ、
「グオォォォッ!」
と憤怒と雄たけびを上げ、部屋の壁を「ガン!ガン!ガン!ガン!」と激しく揺らした。
 やがて部屋の中にいた怪獣の姿は白いガスの渦の中に消えた。
 しばらく北村とローランドの不安を煽るように「ガン!ガン!ガン!ガン!」
と言う騒がしい音だけは一行にやむ気配が無かった。
何かが割れる「ガシャーン!」と言う音も聞こえた。
「ゴン!ゴン!ゴン!」という音さえ聞こえ始め、
さすがのマークも少し顔を曇らせ始めた。
 そして「グオオオオン!」と言う怪獣の不気味な唸り声、
さらにしつこく壁を叩く騒がしい音が数時間続き、
ようやく「ドォォォン!」と怪獣が倒れる音が聞こえ、部屋の中は静かになった。
するとマークは残酷な笑みを浮かべ
「薬品を投与されたあとは……死ぬだけだ!」
とつぶやいた。
それから3人の研究員は数時間かけて、倒れた怪獣の体内を慎重に調べた。
ローランドは
「よし!北村君!これで計画通りだ!後は……」
北村はパソコンの画面を見て
「体内の高エネルギーはゼロのまま……体温も一向に上がりません……完全に死んでいます!」
 その怪獣は巨大な棺桶に入れられ、蓋を溶接し、厳重に保管された。
 クレーンで慎重に吊り上げ上げ、棺桶の中に入れられる怪獣を見上げマークは
「我々は……1997年にニューヨークのマッハタンで採取されたゴジラ
類似した怪獣のDNAから様々な遺伝子操作を行い、とうとうクローンで再生させた!
このゴジラに類似した生物は、日本のゴジラと同じ名前を与えられながら、
結局は人間や宇宙人の自分勝手な都合のせいで不名誉極まり無い烙印を押された。
しかし……これからの奴は違う!まだ実験段階だが、徐々に薬に耐久性を持たせられれば!
日本のゴジラに等しい力を得る事が出来る!」
その時、北村は
「あの女は?いつ到着するんだ?」
ローランドは
「29時間後です!」
マークは口元をニヤつかせ
「彼女を確実に捕まえろ!新しい研究の為に。
人間に変身する怪獣!つまり!アルカードKと初めて接触した彼女の血が絶対に必要だからな!
しかし……彼女は私の大学時代の恋人だから手荒な真似はするな!」

 それから29時間後。
 美雪と国連の関係者達が2人の研究員に案内され、
広場へ入った途端、後ろから一人の国連の関係者が真剣な表情で
「美雪!逃げろ!これは罠だ!」
と言った。
 その時、入り口のシャッターは閉まり、電気は全て消されて真っ暗になった。
銃音が四方八方から聞こえ、銃撃戦が始まった。

(第2章に続く)