(第4章)覇王圭介と音無美雪

こんにちは畑内です。
また色々家事をやらなければいけませんが……とりあえずゴジラの自作小説を載せて置きます。

(第4章)覇王圭介と音無美雪

小笠原諸島にある無人島の地下研究所の入口のシャッターが閉まり、
電気を消され、銃撃戦が始まってから数時間後。

美雪が目覚めるとそこは狭く真っ暗な部屋だった。
彼女は何故ここに入れられたかのか分からなかったが、この研究所から逃げる途中に
ガスか何かを吸って気絶していたようだった。
不意に天井の蛍光灯が「パッ!」と灯り、彼女は眩しさのあまり顔を背けた。
部屋に1人の男がドアを開け、入ってくると
「久し振りだな!美雪さん!」
と聞き慣れた声が聞こえた。
美雪は眉を顰め、
「あなたは?誰?」
するとその男はどうやらオーストラリア人らしく訛りのある英語で
「僕だよ!覚えていないかい?」
美雪は思い出した顔で
「マーク??マークなの?」
そのオーストラリア人の男は嬉しそうな表情で
「そうさ!マークだ!大学で一緒だった!元恋人さ!ほら!覚えているだろ??」
美雪は幾分警戒し、真剣な眼差しで
「殺人犯のあなたがなんで国連が管理している小笠原怪獣ランドにいるのよ!?」
マークは幾分苦笑しながらタバコを取り出し
「いや……色々!MWM社とかからコネがあってね!」
と答えた。
美雪は驚いた顔で
「MWM社?!あなた……」
と言いかけた時、マークは興味駸々な表情で
「なあ……詳しく教えてくれないか?宇宙怪獣ケーニッヒギドラに変身する覇王圭介の事を??
口説いたのはどっちだ??君か??それとも覇王の方か??」
美雪は
「まさか!覇王の事もMWM社から?」
マークはニヤッと笑い
「ああ……その通りさ!」
と答えた。
美雪は厳しい顔で
「どうして今更!あたし達の前に現れたの??」
しかしマークは
「それより!なんで俺を差し置いて覇王圭介と付き合ったんだ??」
と逆に質問して来たので美雪は回答に困り、しばらく無言になった。

 マークが語っていた覇王圭介と言う人物は何者なのか?
 彼の正体はギドラ族の中でゴジラ、ミニラ、モスラ
3体怪獣が束になっても相手にならない程の力を持つ、最強の宇宙怪獣ケーニッヒギドラである。
 覇王と美雪の出会い……そう!これがこの物語のすべての始まりだった。
 その出会いは当時、まだ美雪が25歳と若かった時の蒸し暑い夏の日。
彼女は仕事を終え、帰宅途中、何故かこの日ばかりは運が悪く
3人のサングラスを掛けたヤクザ達に遭遇し、絡まれて困っていた。
たまたま通りかかった金髪の男性に
「助けて!」
と呼び掛けたが、美雪に呼び止められた彼は何故か彼女を無視して通り過ぎようとした。
しかしフラフラしていたので結局ヤクザの肩にぶつかった事が引き金になり、その場で喧嘩になった。
 覇王は2人をハイキックや踵落としで撃退し、もう一人は彼の強さに驚き逃げ出して行った。
 それから地球防衛軍本部で美雪は覇王に再会した。
隊員であった。覇王は
「助けた覚えは無い……ただ!あいつらが通行の邪魔だっただけだ!」
と無愛想に言い、美雪は
「素直じゃないわね!」
と再会した瞬間から口論が始まった。
 それから何かを顔を合わせる度に何度も口論ばかりをしていて一向に仲良くする気配は無かった。
 しかし古本屋で見つけた「ファウスト」を読みながら美雪と交流を続けていく内に、
覇王は東京の街で何度も見かけるごく普通の人間の家族を始め、
恋人や友達、「一つしか無い命」について真剣に悩み考え続け、徐々に人間の心を深く学んで行った。
 その様子を見ていた美雪も、野性的で情熱あふれる
覇王の姿に恋心を抱き、お互い惹かれ合っていった。
 記憶喪失だった覇王に、次第に、数多くの惑星でゴジラの仲
間であるバガン族を抹殺して来たギドラ族の殺し屋だった頃の記憶が蘇り始めていた。
 そんな中、尾崎真一少尉は一度、覇王と戦い尾崎の唯一の切
り札である念動力を駆使したのにも関わらず文字通り「敗北」
していた。さらにX星人の総攻撃以来、密かに思いを寄せてい
た美雪を覇王が奪おうとしていたと誤解していたことが要因となり、
一人の若い分子生物学者の女性を巡って2人は大喧嘩を続けた。
 尾崎は強い嫉妬心から酒を勤務中に飲んでいた。酒に酔って
いた為、覇王が自分で購入した指輪を持っているのを見て嫉妬
の怒りが頂点に達し、自分が持っている念動力を地球を救う為でも人を助ける為では無く
「自分の欲」為に使用してしまった。
彼は今でもこの愚かな行為をずっと後悔し続けている。
 それから悲劇が襲いかかった。
美雪が中近東にあるサラジア共和国のエージェントに腹部を撃たれたのである。
覇王はサラジア共和国のエージェントを見つけるなり、激昂した末、
とうとう本来の宇宙怪獣ケーニッヒギドラに変身した。
サラジア共和国のエージェントは彼が変身する前に裏口から間一髪の所で逃走した。
 ケーニッヒギドラはモスラゴジラと長期間戦闘を続けた末、
圧倒的な力でモスラゴジラを追いつめるものの突然乱入して来たミニラに邪魔され、
怒りに任せてミニラを攻撃するが、何度も傷つき立ち上がる姿を見て、
「本当の強さとは何か?」に気付き始めた。
ギドラ族が持つ本来の攻撃本能と人間として得た感情との摩擦によって肉体と精神に激痛を感じ、
激しく苦しみながらも内なる何かをつかもうとしていた。
 そこにデスギドラと言う怪獣が現れた。
 デスギドラが、ケーニッヒの両親が実はゴジラ族とギドラ族の混血児だった事を
暴露したのがきっかけになり、
ケーニッヒとゴジラ、ミニラは共闘を始め、激しい戦いの最中、
デスギドラは「生と死」とは何かについて問いかけ始め、3体の怪獣の動揺を誘い、隙を作ろうとした。
 しかしケーニッヒとゴジラとミニラはデスギドラの言葉に
惑わされる事無く、それぞれの「大切なもの」を守る為に戦い続けた。
 デスギドラはしわがれた声で
「所詮……我々怪獣は死ぬまで!破壊と殺りくの運命!」
と言い残し、消滅した。
 数時間後、ケーニッヒギドラは再び覇王圭介として目覚めた。
それから真鶴の病院で美雪を助ける為、覇王は
「自分の血を輸血したら怪獣化するのでは?」
と不安になり迷いながらも自分の血液を輸血し、彼女の命を救った。
 覇王は真心をこめて、自分が学んだ事を伝え、地球防衛軍
やめ、忽然と彼女の前から姿を消し、暗闇に消えた。
 美雪が音無凛を出産したのは2005年1月18日の出来事である。

(第5章に続く)

ああ……2階の自分の部屋を掃除したい……
では♪♪