(第8章)対テロ精鋭部隊誕生

ゴジラの自作小説を載せます。

(第8章)対テロ精鋭部隊

 東京・地球防衛軍の本部では相次ぐテロ事件を受けてM機関を一度解体し、
再び新たな「対テロ精鋭部隊スピーシー・パッグ」を結成する事を
世間のメディアや新聞に公表していた。
 それから「対テロ精鋭部隊スピーシー・パッグ」の新たなメンバー7名が選ばれた。
 隊長には、破天荒な性格でM機関のミュータント兵や部下に信頼が厚く、
かつてのX星人の戦争の時、尾崎と同じく新・轟天号に乗り込み、ゴジラを南極で復活させ、
見事、勝利を収め、怪獣達を利用した幾つもの
テロ事件を解決させた実績もあるダグラス・ゴードン上級大佐が選ばれた。
 その他の精鋭部隊の隊員は以下の通りである。
 衛生担当に元M機関からアヤノ。(つまり衛生兵)
 ヘリの操縦を始め、コンピュータ担当にジェレル。
 狙撃担当に元M機関から尾崎真一中佐。
 化学兵器の防護や陣地確保を担当するのは杏子である。
 通信担当に元M機関からニックとグレン。
そしてこの部隊に選ばれなかった元M機関の仲間達
(カンナ、翔太、あやか、瑞穂)は、
それぞれアメリカや中国、ロシア、オセニアの特殊部隊に入隊して行った。

 数ヶ月後。
 地球防衛軍本部の会議室では「対テロ精鋭部隊スピーシー・パッグ」
や国連の関係者が大勢集まって、新たなテロ対策会議が行われていた。
 地球防衛軍の司令官の波川司令は
「さて!最近!世間を騒がせている動物愛護団体が主張している
『小笠原怪獣ランド』の違法な生物兵器開発についてですが……」
尾崎中佐は
「……『特殊生物犯罪調査部』の関係者から興味深い情報が……」
と言い、片手に持っていたリモコンのボタンを押すと
巨大スクリーンにオーストラリア人の男性の顔写真が映し出された。
ゴードン上級大佐
「彼の名は……マーク・アーヴィンです!」
ニックとグレンは動揺した顔で
「マーク・アーヴィン??」
隣でゴードン上級大佐
「現在は47歳……生きていればの話だが……」
再び尾崎中佐は
「彼は20歳のときにオーストラリアからアメリカのコロラド州の大学に
留学して分子生物学を学んでいました。
音無美雪さんとは同じ大学に通っていた同級生で元彼だったようです!
しかし大学卒業前の数ヶ月間、20人の女子大生を自宅に監禁し
て暴行を加え、その内、5人を殺害し、現在逃亡中でFBIが全国で指名手配を出しています!」
ニックが思い出した顔で
「確か?こいつ!大麻やヘロインを大学で売りさばいて何度か逮捕歴があったよな?」
その間、尾崎はスクリーンに、無人島にある監視カメラの映像を映し出すと
「そんな彼が最近!小笠原怪獣ランドで目撃されました!」
そして小笠原怪獣ランドの森の中にある監視カメラにさっきの顔写真と同じ人物が
タバコを吸いながら歩いている映像が映し出された。
グレンは思わず
「なんでこんな凶悪犯が??小笠原怪獣ランドの森でタバコを吸って歩いているんだ?」
グレンは
「さあ……分からないが……コロラド州の大学で分子生物学を勉強していた奴だ!
ひょっとすると!『小笠原怪獣ランド』の違法な生物兵器開発に関与している可能性が高いな!」
波川司令は
「どちらにしろ、彼が小笠原怪獣ランドで何を企んでいるのか調べる必要があります!以上!」
と言うと会議は終了した。

 小笠原怪獣ランドの研究所。
 明かりのついた部屋で美雪は
「この研究所は……何なの?」
しばらく黙っていたマークはやがて口を開いた。
「ここは極秘裏に建設された世界最大の特殊生物研究施設『アルガドラン』だ!」
美雪はキョトンとした顔で
「アルガドラン?」
マークは
「そうさ!マイ・ハニー!」
美雪は嫌悪感を露わにし
「その!マイ・ハニーは止めて!」
と釘を刺した。
マークはガッカリした口調で
「そんな……酷いじゃないか?」
すると美雪は歯を向き出し
「あなたとは別れたの!」
と怒りの声で唸った。
「寄りを戻す気はないか?」 
美雪は冷たい声で
「戻せないわ!事情が変わったの!」
マークは残念そうな顔で
「君には苦労をかけてすまなかったと思っている……」
マークは急にヒソヒソ声で
「実は……アカツキシソウとアオシソウについて真鶴のCCI
の連中が知らない面白い事実を知っているんだ!」
美雪はそのマークの言葉を聞いて怪訝な顔で
「それが?何なの?」
とマークの耳元で唸った。
再びマークは美雪の耳元で
「ここだけの話だ!北海道で回収された『ノスフェラトゥ』の抜け殻を極秘に調べたところ、
アカツキシソウは元々、アオシソウがクリスタルの種子も中身も全部、
何らかの原因で枯れて腐って出来たものだと判明した!」
さらにマークはまるで自分のおもちゃを自慢するかの如く話を続けた。
「だからアオシソウとアカツキシソウは似て非なるものなのさ!」
マークの言葉を聞いた美雪はふとデスギドラの
「『生命』と『死』は同一なのだ!」と言う言葉を思い出した。
再び美雪が我に返るとマークは
「それでアオシソウが枯れて腐って出来たアカツキシソウは本来の
ノスフェラトゥ』に成れず、種子や萎びた花やクリスタル状の葉や根は青色と七色から暁色になり、
やがて暁色とオレンジの混じったマグマ状の液体になって地上に湧き出てくる。
中国で発見された暁色かあるいは黄金と漆黒の混じった
アメーバはまだ腐りきっていないものだとも分かっている……
腐るにつれて毒性の弱いPS44から毒性の極めて高いPS45に変化する事も分かっている!
どうだ!素晴らしいだろう?!」
 しかし美雪はマークの説をただ黙って聞いていた。

(第9章に続く)