(第20章)ニューヨーク・マッハタン襲撃!

おはようございます。
畑内です。

(第20章)ニューヨーク・マッハタン襲撃!

東京品川のデパートで再び夕食の買い物の途中で
またあの謎の老人と出会った洋子はかなり怒った顔で
「またあなたですか?いい加減にして下さい!警察に訴えるわよ!」
しかし老人は長い顎を忙しなくいじり、洋子の言葉を無視し、
自分について語り出した。
「かつて我々の住む小惑星ヘブンバーズには・・・
ゼイリュ族!次にゲンヴ族!私のいる部族!そしてズザグ族!ビャグゴ族と4つの部族がいた!
彼らは太古の昔、X星人に侵略される以前、この地球のアトランティス大陸へ移住した。自分達が作り
出した災いの人工生物『朱雀』によって滅ぼされるまで……」
その時、洋子は老人の話を遮り、
「もう!いいですか?あたし急いでいるんです!」
しかし謎の老人は
「いや!まだだ!」
と答え、不機嫌な洋子の顔を見ると
「やれやれ……」
と首を振り、話を続けた。
「『玄武』の巫女の魂は音無凛の身体に……
『朱雀』の巫女は君の身体に……
それから『青龍』の巫女の魂は山梨友紀の身体に……
『白虎』の巫女の魂は山根瑠璃という幼い子供の身体に……」
その言葉を聞いた洋子は驚きのあまり、
「ちょっと!どうして蓮君の妹や友紀ちゃんの事を知っているの?」
謎の老人は急に黙り込んだ。
洋子はますます怪しい目で
「さては?悪質なストーカーね!」
「違う!怪しい者じゃない!」
と本人は否定した。
しかし洋子は
「見た目から怪しいわ!」
と睨み、すぐに携帯で警察を呼んだ。
それから謎の老人は駆け付けた警官2人にあっさりと
取り押さえられた揚句パトカーに乗せられ、そのまま連行された。

 アメリカ・アパラチア山脈の麓のキャンプ場では、
とある家族の通報を受けて、地元のレスキュー隊や山岳救助隊、
果ては保安官やその他大勢のキャンパーが集まり、怒鳴り、野次を飛ばし、大騒ぎをしていた。
 そこに国連関係の分子生物学者と思われる黒縁のメガネを掛けた男性が
ヘルメットをかぶり、命綱を近くの大木に繋ぎ、その洞窟の中へ入って行った。
 そのうしろに、続いて同じ分子生物学者の日本人男性が危なっかしい足取りで、
洞窟探検の経験がある国連関係者のロシア人のガーニャの助けを借り、入って行った。
 3人の男性はヘルメットに付けられた明かりを頼りに先へ先へと進んで行った。
 やがて3人の目の前に大きな空洞が現れた。
 ヘルメットに付けられた明かりで洞窟全体を照らすと最初に目撃した女の子の証言通り、
無数の食べ掛けの怪獣の死体が見えた。
 天井からは赤い液体が流れていた。怪獣の血である。
黒縁のメガネを掛けた分子生物学者らしきアメリカ人の男性は鼻を押さえ
「酷い……魚の臭いだな!」
ロープを頼りに3人はその洞窟の崖を降りた。
日本人の分子生物学者の
「タトプロス博士!」
と名前を呼ぶ声が聞こえたので、黒縁のメガネを掛けた男性は、
洞窟付近の壁に付着していた肉片らしきものをピンセットで拾いつつ
「なんですか?神宮寺博士?」
と答えた。
「これは?本当に君が目撃したジラの仕業なのか?だったら食性があまりにも変わり過ぎているな……」
「とにかく!もし?ジラにM塩基を破壊する例の毒素が無いか調べなくてはいけませんね……」
と洞窟探検の経験がある国連関係者でロシア人のガーニャが言った。
「それに!この怪獣達を殺した犯人がジラなら?
無性生殖で繁殖するのかも調べないと!もし?無性生殖なら大変な事になる……」
タトプロス博士の心痛したようすの言葉は暗闇の洞窟の中に静かに反響した。

 地球防衛軍本部に
「ニューヨークのマッハタンにジラに類似した怪獣とデスギドラと思われる怪獣が出現!」
との報告を受け、対テロ精鋭部隊スピーシ・バックの7人のメンバーは、
まだメンテナンス中の轟天号の代わりに、すでにメンテナンスを終えている
7機のドックファイターに乗り出撃した。

 ニューヨークのマッハタンではすでに、ジラと倒れている3つ首の怪獣らしき
黒い影にアサルトライフルやレーザー銃で攻撃を仕掛けていた。
尾崎は
「米軍が……2匹の怪獣の位置が……確認出来ません!」
地上で米軍の戦車、戦闘機はアサルトライフル
ロケットランチャー、レーザー光線で攻撃を仕掛かけた。
 ジラと思わしき黒い影は、米軍の一斉攻撃を、
靴の裏についたガム程の気にも留めず、堂々とデスギドラらしき怪獣の首を掴み、
そのままアスファルトの道路を引きずり、爆風と黒い煙の中、歩き出していた。
ゴードン上級大佐
「現在!ジラらしき怪獣は!デスギドラらしき怪獣の首を掴ん
で引きずりながら!復興途中のロウアー・マッハタンの町中を移動中!」
尾崎は戦闘機のコックピットのガラス越しで、ジラと思わしき黒い影が
ビルを次々と、黒い煙とオレンジ色の火柱と共に垂直崩壊させながら進撃する
様子を観察しながら、無線で
「復興が完了したビル群を破壊しながら!さらにトライベッカ方面へ移動中!」
と他の6機に報告した。
すると無線でゴードン上級大佐は舌打ちをし
「クソ!米軍め!」
「命令を無視したわね!」
とアヤノ。
「チクショウ!俺達が到着するまで『待て!』とあれ程、言い聞かせていたのに!」
とグレン。
 爆発によるオレンジ色の火柱と黒い煙と共に土埃がもうもうと舞い上がり、
ジラらしき怪獣はおろか3つ首と赤い翼に4つの足を持つ怪獣の姿も何も見えなくなっていた。

(第21章に続く)

では♪♪