(第22章)人に擬態する怪獣増加の危険性

こんにちは畑内です。
自作小説ゴジラを変更します。

(第22章)人に擬態する怪獣増加の危険性

アメリカ・特殊生物研究所―

 タトプロス博士と神宮寺博士が早速アパラチア山脈洞窟内の岩に
付着していた肉片のDNA鑑定を始めてから一時間後。
 その肉片から検出されたのは、G塩基とジラとゴジラのDNA、
数年前に月のクレーターの表面でCCIの調査船が採取した
青色のゲル状の物体の中に含まれていたケーニッヒギドラと言う怪獣のDNA、
但し地球の東京に現れたケーニッヒギドラの本体とは異なった形、
さらにケーニッヒギドラと同じく東京や世界中を襲った
『緑色のデストロイア』と言う怪獣のDNAだった。
 また過去に病気の媒介生物であるゴキブリを一掃させる為に、
昆虫学者達が人為的に白アリとカマキリのDNAを合成して作り出した
巨大昆虫のDNAも検出されている事から、このジラの個体は
ノスフェラトゥ達により人為的に遺伝子操作された可能性が高い事が判明した。
 さらにアパラチア山脈の洞窟内で発見された
大量の怪獣の死体の細胞組織を調べた結果、
全ての怪獣の死体からあの毒素が検出された。
 そしてそれぞれの怪獣の個体の、
50%からはアカツキシソウの大量摂取により突然変異を起こしたマグロのDNAが、
また40%からは海底に潜んでいるレッサーデスギドラのDNAが、
10%からはまだ未発見の数多くの新種の怪獣のDNAが検出された。
神宮寺博士は
「もしかしたら?ジラはM塩基を持つ獲物の皮膚に噛み付き、謎の毒素を牙から体内に注入し、
M塩基が作り出した特殊なタンパク質を分解し、
一種の高エネルギーに変えて体内に吸収する……
だからアカツキシソウにより突然変異したマグロやレッサーギドラ、
未発見の怪獣の肉体は、静電気の状態になって原形を失う程、
塵になって崩壊したり、骨がスカスカになったり、
腹から背中まで大穴が空いたんだ……まるで『盗まれた街』見たいだな……」とつぶやいた。

―ニューヨーク・ロウアーマッハタン―

 ゴジラとジラはしばらくこう着状態だったが、
ジラは急に首を掴んでいたレッサーデスギドラを離した。
 ビルの瓦礫に倒れたレッサーデスギドラはなんとか
起き上がり穴だらけの赤い翼を振り、空へ逃げ出そうとした。
しかしジラは「グルル……」と唸りを上げ、レッサーデスギドラに馬乗りになり、
両翼を両足で踏みつけ、両方の爪で何度もレッサーデスギドラの身体を切り裂き、
大口を開け、レッサーデスギドラの首筋に深く噛みついた。
 その途端、首筋の表皮の血管がまるでヤカンに入れた
お湯の様に沸騰し始めたと同時にまるで風船のように全身が膨張した。
 レッサーデスギドラは熱さと膨張した痛みに耐えられず、
暴れようとしたがジラに赤い両翼を踏みつけられ、体を動かす事ができなかった。
 それから「グエエエエッ!」と言う断末魔と共に
「バアアアアン!」背筋が凍りつく様な破裂音と共に
レッサーデスギドラの身体はドス黒い塵となり、たちまち原形を留める事無く完全に崩壊した。

『アルカドラン』地下研究所の銀色の部屋でマークの話を聞い
た美雪は信じられない表情で
「まさか?あのジラを離したの?」
と質問した。
マークは無言で頷いた。
「何をしているの?あなた正気?」
「ああ!正気だ!そもそも我々はX星人……いや!M塩基を持つ生物の天敵
としてジラを創造したのだ!だからM塩基を持つ生物を捕食出来なければ
我々が創造した意味が無いんだよ……」
「あなた!遺伝子操作で作り出したジラがどうなるのか?」
マークは美雪の話を遮り
「遺伝子操作したジラが1年か3年後にどんな進化を遂げているのか予測できないからだろ?
しかし我々がジラに行ったのはあくまでも小規模な遺伝子操作に過ぎない……
実際、君達が食べたり飲んだりしている牛乳や野菜、牛肉、豚肉、大豆、黒豆、
トウモロコシ、バナナ、リンゴも全て遺伝子操作されている!
野菜や果物は遺伝子操作された結果、害虫や農薬に耐性がある!
もちろん別におかしなものじゃないから安全だ!」
「でも?もしかしたら?」
「君が心配しているのは?ジラの次の世代の話だ!
デストロイアやケーニッヒギドラの様に人間に擬態する能力を持つのかどうか?
我々に見当も付く訳が無いだろ?そんな先の事を心配してどうするんだ?」
美雪は鬼気迫る表情でマークを睨みつけると
「ただでさえ……怪獣と人類の境界線が崩壊しているのよ!
これから人間に擬態する怪獣が増加する恐れがとても高いのよ!
そんな簡単な事も理解出来無いの?信じられないわ!」
マークは動じず大声で
「だからと言って我々が遺伝子操作で創造したジラが
必ずしも人間に擬態する能力を得るとは限らない!
それに今まで人間に擬態した怪獣の代表の緑色のデストロイアにしろ!
ケーニッヒギドラにしろ!彼らは突然変異で生まれた偶然の産物に過ぎないんだよ!」
とマークは反論した。
しかし美雪は
「あなたは『生命』を軽く考え過ぎよ!」
とバシッと言うとお互い睨み合った。

(第23章に続く)

では♪♪