(第42章)無駄な暴力を嫌う男

おはようございます!
今日は祝日で休みなのでゴジラに自作小説を載せます。

(第42章)無駄な暴力を嫌う男

 コンビニで、40代くらいの男から純粋無垢な笑顔で
「結婚式を挙げるとしたら何処がいい?」
と尋ねられた強盗犯は、ロシア製の拳銃のトカレフを向けたまま、
動揺した様子でお互いを見合った。
黒い覆面を被った男性強盗犯が拳銃を構え
「おい!てめえ……死にたいのか?」
と大声を上げ、さらに男に近寄り、目の前に拳銃を向けた。
発砲すれば無論即死確実である。
しかしそれでも男は雑誌をめくりながら
「やれやれ……日本は平和じゃなかったのか?」
強盗犯の男性は
「うっ!……うるさい!いいか?言う通りにしていれば!
命までは奪わない!」
「残念だが……命は奪えないよ……」
「なんだとおおっ!」
と言い引き金に手を掛けた。
店員や洋子は小さい悲鳴を上げた。
それでも男は全く動じず
「おっと!無駄な暴力は嫌いなんでね……」
「畜生!いい気になりやがって!」
「今!引き金を引いたら、人を傷つけた大罪を思い出して、
激しい後悔を死ぬまで背負い続けなければいけないぞ!」
その冷静で、経験のあるような重みのある言葉に、
男の強盗犯の心は揺れ動き、引き金を引けずにいた。
「それに……ここにいつまでも居たら警察が来るよ!」
男性の強盗犯の心は乱れ、全く動けなかった。
そこを女性の強盗犯が
「何しているの!早くお金を奪って逃げましょうよ!」
と言う声を聞いてようやく我に返り
「そうだな……」
すぐに男性は店員に銃を向け、革のバッグをカウンターに置き、
「早く!レジの金をこの中に入れろ!グズグズするな!」
店員は小さい悲鳴を上げ、すぐにレジから売上金を取り出し、革のバッグに入れた。
「小銭も全部出すんだ!」
その様子を黙って見ていた40歳位の男は
「そんなもの沢山持っていったって荷物になるだけだと思うが?」
男性強盗犯はイライラした口調で
「うっさい!じっとしてろ!」
と怒鳴り付けた。
男は女性強盗犯に
「そうだ!一つ道を尋ねたいんだが……」
しかし女性強盗犯はそれを無視して、店員が恐怖で泣きそうに
なりながら売上金を詰めている様子を眺めていた。
地球防衛軍は何処だっけ?」
その言葉を聞いた時
「知るかよ!」
と答えたものの
「は?地球防衛軍って?まさかあんた?」
と2人の強盗犯は振り向いた。
「昔はミュータント部隊にいたけど……街が変わっちゃって行き方がさ。」
途端に2人組の強盗犯は少し動揺したようだったが、男性の強盗犯は
「ふん!こっちには本物の銃があるんだぞ!」
と強気な姿勢を見せた。
続いて男性強盗犯は
「畜生……どいつもこいつも馬鹿にしやがって……」
とつぶやいた。
金髪の男は
「店には迷惑だよな……」
と言って、持っていた雑誌を置いたかと思うといきなり、
拳銃を持っている男性強盗犯の手首を掴んでグルリと捻った。
男は一瞬で男性強盗犯のトカレフをあっさり取り上げただけでなく、
その拳銃の撃鉄を軽く起こして中間に止め、安全装置をかけるとレジのカウンターの奥へ投げ捨てた。
 強盗犯は大慌てで両手を上げ、後ろに後退した。
驚いた女性強盗犯が
「動かないで!撃つわよ!」
と叫んで自分のトカレフを40歳位の男に向けた瞬間、
男はそれもあっさり取り上げ、まじまじとそのトカレフを観察した。
「へえ……トカレフか?確か旧ソ連製で装弾数、7+1。
口径は7、62mm。多くの地球人の犯罪者が利用していた危険な拳銃……だったな。
密輸されたのを買ったのかい?」
そして男はそれに安全装置をかけ、ポイとまた放り出した。
 2人組の強盗犯は
「これはヤバイ!」
と思い逃げ出そうとした。
 しかし地元の勇敢な警官2人がコンビニの中に突撃し、2人の強盗犯は逃げる間も無く逮捕された。
 この金髪の男の活躍により、2人組の強盗犯にも店内の人間にも誰一人怪我人は出なかった。
しばらくして店員と洋子が感謝の念を込め、
「助けてくれてありがとうございます…」
男は少し笑い
「どういたしまして!まあ……簡単だったよ!」
店員は尊敬のまなざしで
「すごいですね……」
男は照れて
「相手に拳銃を突きつけるやり方は、実際の警察やどこの軍で
も『良くないやり方』として教わっているからね!」
それから男は腕組みしながらコンビニの外へ出て
「人間って……やっぱり奇妙だな……」
とつぶやいた。
 安全装置が掛けられたトカレフも2人の警官により無事押収された。

 CCI・真鶴特殊生物研究所。
 元FBI捜査官の男性とガーニャはトオルに案内され、
暗い螺旋階段を降り、厳重にロックされた扉を開けた。
 中は何もない殺風景な部屋だった。
 その部屋の隅に一人の白いTシャツを着た男がうずくまり、じっとしていた。
ガーニャは恐る恐る
「山岸雄介さん?」
と尋ねた。
 Tシャツ姿の山岸は立ち上がり、メガネをかけた髭だらけの顔を3人に向けた。
思わず元FBI捜査官は
「髭位……剃らせてやったらどうだ?」
トオル
「残念ながら……逃亡の道具になり得るものは決して渡してはいけない規則があるんです!」
「ひげそりで何をどうするんだ?まさか監視の髪の毛を剃るのか?」
と元FBI捜査官はせせら笑った。
トオルは少し苦笑いを浮かべた。 
それからガーニャは
「彼は我々が引き取ります!いいですね!」
トオルは無言で頷き、
「どうぞ!」
と扉を指さした。
 その時、トオルの目の前にビリーが数枚の資料を持って歩いて来た。
トオル!上海の樟運佑涼浪叱Φ羹蠕廚波見された3つのカプセルの土台から採取された、
アオシソウとアカツキシソウ
と、アカツキシソウの変異体のDNAと、
数年前に出現した怪獣達のDNAとは全て異なっている事が分った。
つまり数年前の怪獣達と!この中国で見つかった物質とは無関係である可能性が高い……
もしかしたら?樟運佑破壊者とか?死のギドラとか単なる言葉遊びだったのかも知れないな……」
FBI捜査官は
「でも?怪獣の血液の色まで良く似ていたと言う事は、
それらの物質の影響を受けた生物が最近になって変異して出現し
たのかも?どう考えても無関係とは言えないな……」
しかしビリーは軽蔑のまなざしでその元FBI捜査官をじろりと睨みつけた。
 それから山岸は2人に連れられ、その研究所から自由になった。

(第43章に続く)

では♪♪