(第46章)Ⅹ星人VS特殊諜報員の音無凛

こんにちは畑内です。
またゴジラの自作小説を書きます。

(第46章)樟運唯孱啼端貭喫鶲?硫嗣却

 友紀の控え室に無断で侵入した2人の男が一斉にレーザー銃
を取り出したのを見た女性デザイナー達は小さな悲鳴を上げた。
リーダーと思わしきサングラス姿の背の高い男は太い声で
「その青緑色に輝く勾玉を渡してもらおうか?」
友紀は
「なんなの?あんた達?」
しかし別の似たような男の顔が
「今!我々がテロリストに対抗する為にはこれが必要なのだよ!」
「まさか?あなた達は?」
「我々には時間が無い!早く渡せ!さもないと!」
と言い友紀の目の前に銃口を突き付けた。
 友紀は3年前の北海道網走厚生病院のテロ事件で、
ロシア人のテロリストに拳銃を突きつけられた記憶がフラッシュバック
で蘇り、激しい恐怖を感じた。
さらにリーダーらしき男は
「その勾玉は我々のM塩基による支配技術やクローン技術を上回る貴重な物なのだ!
早く!渡せ!M塩基破壊兵器が動き出した今!
何としてもその勾玉を研究して反乱軍に対抗しなければいけないのだ!」
友紀は恐怖で首から勾玉を外すことさえ出来ずにいた。
サングラス姿の2人の男は恐怖で固まっている友紀の顔をまじまじと観察しながら
「どうやら勾玉はこの地球人の女が出す特定の脳波に反応しているようです!」
「ふーむ?だから勾玉は青緑色に発光しているのか?」
「どうします?」
と部下が言った瞬間、僅かに開いた控え室のドアの隙間から何か小さい球状の様な物体が飛んで来た。
それは部下の足元の床に鈍い音を立て、転がった。
「なんだ?これは??」
小さい球状の物体から、何の前触れも無く、
目が眩むような白い稲妻形の閃光と共に強烈な不協和音がけたたましく部屋中に鳴り響いた。
2人の黒服の男はたまらず両手で頭部を押さえ、
「ウッグアアアッ!なんだああっ!」
と苦悶の表情で大声を上げた。
部下の一人が両耳を塞ぎながらスタッフの一人にズカズカ歩み寄ると
「畜生!家畜如きが何をしやがった!」
と怒鳴り付け、拳を振り挙げた。
友紀は全身を震わせ、恐怖の表情のままスタッフに拳を振り上げる男の様子を見ていた。
それを見ていたリーダーは
「止めろ!我々はこんな家畜共と遊んでいる暇はないのだ!」
と部下を諌めようと不協和音に負けない大声を張り上げた。
 その瞬間、バーンと大きな音と共にドアが開き、黒服のスーツに身を纏った女性が飛び込んだ。
 一時間前にアメリカに到着したばかりの
地球防衛軍特殊生物犯罪調査部』で特殊諜報員の音無凛だった。
 たった一人で突撃して来た音無凛に対し、リーダーらしき
男は応戦しようと腰のホルスターからレーザー銃を取り出そうと
したが、凛はすぐにレーザー銃を抜こうとする手を掴むと、
銃を奪い、たちまち屈強な男をあっさり投げ飛ばしてしまった。
投げ飛ばされたリーダーは
「畜生!とにかくその女の脳波を分析しなければ!早く!その女を連れて行け!」
部下はリーダーの言葉を聞き
「分った!さあ!来るんだ!」
と言うと片手で耳を塞ぎ、友紀の手を強引に掴んだ。
しかし友紀は
「嫌よ!」
と男の手を振り払い、男の股間に強烈な蹴りを食らわせた。
男はたまらず、両手でその場に両手で股間を押さえ倒れた。
宇宙人にもこの攻撃は有効らしい。
リーダーは
「クソ!出直すぞ!」
と未だに小さい球状の様な物体からけたたましく鳴り続ける
不協和音に負けない位大声で、倒れている部下に言った。
部下もなんとか起き上がり、UFOの迎えを待った。
一方、凛は腕時計を見て
「効果が切れるまであと3秒!2秒!1秒!」
とカウントした瞬間、白い稲妻とけたたましい不協和音は止んだ。
 再び虹色の光が差し、凛や友紀やスタッフやデザイナー達は眩しさのあまり目を覆った。
やがて虹色の光が止み、全員が辺りを伺うと、
先程までレーザー銃を持ち、床に倒れていたはずの2人組の男の姿は影も形も見当たらなかった。
 しばらくして地元のアメリカ人の刑事達が現れ、
早速現場を検証したところ、2人組の誰かが侵入し、争った形跡があると判断した。
数人のスタッフは
「僅かな虹色の光の隙間からサングラスの2人組の男が友紀を
無理矢理連れて円盤に乗せようとする所を見た!」
と彼に口々に訴え始めた。
 困ったそのアメリカ人の刑事は現場にいた
地球防衛軍特殊生物犯罪調査部』の音無凛に説明を求めた。
 凛はすぐに自分の身分を明かし、あとは地球防衛軍が引き継ぐと告げ、
強引に地元の刑事達を追い払った。

 新設アルカドランの控え室。
「であるからして……我々がクローンで作り上げたジラとG塩
基を組み込んだ細菌兵器と、その細菌に対する抗生剤『タブリス
があれば!X星人の10日後の総攻撃への備えは万全です。」
「しかし……色々な生物のDNAを組み込んだな……」
アメリカ大統領のエバートはメガネをグイッと上げ、DNAの資料を読みながら
「ワニにサメにシロアリにカマキリのDNAを組み込んだのか?」
北村は僅かにうすら笑いを浮かべ
「そうです!この兵器とゴジラを併用すれば!我々はほぼ無敵です!」
と言った。

 友紀は現場の控え室で
「ありがとう……また助けられたわね……」
と隣に座っていた凛に向かって感謝の言葉を述べた。
「いいのよ!親友だもの!」
「それにしても……どうして?この勾玉を狙ったのかしら?」
と言い、友紀は首から下げた勾玉を手に取り、まじまじと見つめた。
「これは?例のお爺ちゃんから貰った?」
と凛は友紀の首に掛けた勾玉を指さした。
友紀は頷くと
「それより?どうして?樟運佑ここに来ると分かったの?」
凛は自慢げな顔で
「何時間か前に、この辺を飛行しているUFOを特殊な
レーダーで追跡して樟運傭の会話を盗聴していたの……」
「まるでスパイね!」
友紀が控え室の窓を見るとすでに夕日は沈み、真っ暗になっていた。

(第47章に続く)

では♪♪