(第60章)潜入!極秘地下研究所アルカドラン

おはようございます。
畑内です。
ゴジラの自作小説を載せます。

(第60章)潜入!極秘地下研究所アルカドラン

アメリカ・アパラチア山脈・シェナンド国立公園の森で、
凛は額の汗をぬぐいながら、歩きやすい服装で歩いていた。
 別にハイキングをしている訳ではない。
 凛はボルチモア市のホテルでMWM社の上層部のローランドと言う男の
カバンから拝借したアルカドランの地下研究所の地図を頼りに先へ進んでいたのである。
 遠くの空を見るとアメリ地球防衛軍のランブリングの軍隊や米軍の戦闘機が飛んで行くのが見えた。
ゴジラ達がいるのね!」
とつぶやき、さらに先へ進む事、10時間、凛は地図が示した位置に到着した。
そこの草をむしりとり、素手で掘るとそこに銀色の穴が見えた。
かなり狭そうで自分が無事中に入れるか正直自信が無かったが、
凛は自分の母親を救う為に覚悟を決め、その狭い穴に腕を突っ込み、
まるで輪を潜る曲芸師の様に逆立ちして奥へ入って行った。
 危うく凛は狭い穴につっかえそうになったが、かろうじて通りぬけた。
 更に匍匐前進でその狭い穴の奥へ奥へ先へ進んで行くと途中、
曲がり道が見えた。凛は曲がり道を曲がり、目的の自分の母
親の美雪が誘拐されている地下研究所に向かって匍匐前進を続けた。
 凛は冷静にボルチモアのローランドの部屋で手に入れた地図を何度もチラチラ見直し、
行き止まりを避けつつ、先へと進んで行った。
 眩しい程の白い蛍光灯らしき明りが見えた。
 凛は眩しさで目を覆いながらも蛍光灯の明かりを頼りに再び先へ先へ進んで行き、
アルカドランの入口らしき場所に辿り着いた。
凛は
「ママ……大丈夫かしら?無事かしら?」
と地下研究所に続く狭い通気口の蓋に両手を掛け、それをこじ開けようとしたがビクともしなかった。
 しかし凛は諦めず、更に力を込め、通気口の蓋を左右に振り外そうとした。
「ガタン」と音を立てて、通気口の蓋が外れた。
このとき凛は、自分の中に何か新しい力を感じていた。

 同じシェナンド国立公園の森の中を歩いていたガイガンは、
遠くで抹殺目標のM塩基破壊兵器であるジラを確認し、木々や米軍の戦車を
静かに踏み潰しながら真っすぐジラのいる方へ向かって行った。
 ジラもガイガンの姿に気が付き、逆三角形の頭部を向け、威嚇するように大きく吠えた。
 しかしガイガンは動揺せず、地上を走っている数人の米軍兵が持っている
アサルトライフルを赤いモニター越しに確認すると、拡大した。
 細かくそのアサルトライフルを確認すると画面に
「転送中……」
と言う文字が表示された。
 ガイガンが尻尾をブンと空気を切る音を立ててサソリの様に持ち上げると、
徐々に尾の青緑色の槍の先端部分がアサルトライフルの形に変化し始めた。
 それを遠くで見ていた米軍兵は口をポカンと開けた。
 ガイガンは、大きな口を開き真っ先にすさまじいスピードで
飢えた獣のように襲い掛かってくるジラにアサルトライフル
変化した尾を向け、「パパパパパッ!」と青緑色のレーザーを放った。
 青緑色のレーザーはジラの逆三角形の頭部に直撃した。
 ジラは痛みと激痛のあまり「グエエッ!」と唸り、顔を右にそむけた。
 再び前方からゴジラの咆哮が聞こえた。ジラはそのゴジラ
咆哮に反応し、今度はゴジラに向かって襲い掛かった。
 しかしゴジラは冷静に、巨大な100mの尾を振り回し、カウンターを決めた。
ジラはゴジラの尾をまともに顔面に食らい、吹き飛ばされ、
そのままシェナンド国立公園にある筈がないヘリポートの上に落下し、
2機のヘリコプターを破壊し、大爆発を起こした。

 地球防衛軍特殊生物犯罪調査部の自室に蓮はいた。
 ボルチモアで諜報活動をしている凛からメールでアルカドランの
研究所の位置や内部が書かれた資料を初め、多くの情報が送られていた。
 蓮はその膨大な情報が入ったメールの内容を一枚一枚、確認し、細かく区分し、整理していた。
しかし最後のメールを見た時、蓮は驚きのあまり
「これは?なんなんだ?」
その最後のメールには驚くべき事が書かれていた。
 蓮は最後のメールの資料を金縛りにあった様に熱心に読んだ。
 タイトルは「プロメテウス(真)第2段階」
と書かれ、その具体的な内容はこうである。
「親になる生物の体細胞から核(DNA)を取り出し、
ウィルス実験の事故によりゴジラのDNAを持つ
女性被験者の受精していない卵細胞の中から彼女の核(DNA)を抜いて、
空になった卵細胞にその生物の核(DNA)を入れる。
それから彼女の子宮に戻し、特殊な電気信号で受精卵として着床させ、妊娠させる。極秘事項。」
その短い文章を読み終えた蓮は
「まさか?新しいM塩基破壊兵器をまた作るつもりなのか?
一体?親になる生物って何だ?どういう事だ?」
とつぶやき、しばらくして思い当たった口調でこうつぶやいた。
「まさか?そんな……あり得ないだろう……」と。

 地球防衛軍内特殊生物病院内に担ぎ込まれた尾崎は数時間後、
容体が再び急変したので、ガーニャはナースコールで祥郷医師や看護婦達をすぐに呼んだ。
 程なくして祥郷医師や看護婦が駆けつけると尾崎の心臓が停止していた。
 尾崎の状態を確認した医師や看護婦達は迷う事無く、
すぐに蘇生術を施そうと電気ショックの用意を始めた。
この時代、骨折する危険のある心臓マッサージなどはもう行われず、
電気ショックによる蘇生技術が発達していた。
それからガーニャは
「さがって下さい!」
と言う祥郷医師の言葉を聞いて、すぐに尾崎が眠っているベッドを離れた。
 それから看護婦もガーニャも全員離れた事を確認すると尾崎の両胸に電気ショックを掛けた。
「バーン!」と言う大きな音と共に尾崎の全身に電気が走り、ベッドから弾けた様に宙に浮き上がった。
 それからすぐに祥郷医師は尾崎の首筋の脈を図り、聴診器で心臓が蘇生したかどうか確認したが、
心音は聞こえなかった。
「もう一度!もっと電力を上げて!」
と看護婦達に的確に指示を与えた。
 それから祥郷医師はもう一度、電力を上げ、再挑戦した。

(第61章に続く)

では♪♪