(第68章)ローランド・帝洋パシフィック製薬・TGRAT社

こんにちは畑内です。
ゴジラの自作小説を載せます。

(第68章)ローランド・帝洋パシフィック製薬・TGRAT社

 東京で凛のアダムこと、山岸雄介は自宅で、
いつ帰って来るか分からないイヴの音無凛を待っていた。
 あれから彼女がどうしているか?
国連に呼ばれて出張中と言う以外全く分からなかった。
 しかも彼女が何処で何をしているのか?自由に知る事さえも出来無かった。
 さらに今日プロレスにでる筈だった友達の洋子ちゃんの謎の失踪。
 謎が謎を呼び山岸は混乱し一人で長い間考え込んでいた。
 しかし長い事、考えても答えは見つからず、考えれば考える程、
訳が分からなくなり、頭が痛くなったのでこれ以上を考えるのをやめると、
昨日、近所の道端で拾った、全身灰色で少し太っていて、たれた耳と丸顔で尻尾が丸いので、
恐らくスコティッシュ・フォールドとボブティルの雑種と思われる猫が「ニャァーニャァー」
鳴きながら山岸から与えられたキャットフードをカリカリ食べるのを眺めていた。。
その様子を山岸は少し離れた椅子に座って
「いいなぁ~コブちゃんは自由で~」
と羨ましそうにつぶやいた。

 ガイガンは長い尾をジラの頭部に向け、「パパパパパ!」
とリズムカルな音を立てて、青緑色のレーザーを放った。
 さらに大空を飛んでいた米軍のステルス爆撃機が放ったミサイルが
「ヒュー」と空気を切り裂き、3体の怪獣に直撃し大爆発を起こした。
 炎と煙が晴れ、ジラがステルス爆撃機を大口で噛み砕いた瞬間、
真横からガイガンが巨大な一本の青緑色の鉤爪でジラの翼状の背びれを切り裂いた。
 ジラは痛みで吠え声を上げるとガイガンの首筋に噛みつき、
激しく左右に振って、そのままの勢いで頸動脈らしきパイプを食いちぎった。
ガイガンは遠くへ飛ばされ、土埃を立てて、木々をなぎ倒し、地面に倒れた。
 ガイガンの首筋からタラタラと重油の様な血液が流れ、地面の冷たい土を濡らした。
 別方向ではゴジラの背びれが青白く輝き、未だに倒れている
ガイガンを睨みつけているジラに向かって放射熱線を吐こうとした。
 その時、ゴジラの脳裏に咆哮らしきものが聞こえた。
ゴジラは低く唸ると混乱した様子で周りを見渡した。

「ちょっと!どうなっているのよ!あたしたちの結婚記念日は?どうなのよ?」
と受話器のスピーカーから女性の英語の声が聞こえた。
 ガイガンが落下したメキシコの森から帰って来たばかりの、
黒縁の眼鏡を掛けた分子生物学者のアメリカ人が電話に答えた。
「だから!一ヶ月後には帰れる筈だったんだけど……
アメリ地球防衛軍や米軍が帰るのは無理だって言い出したんだ!」
受話器のスピーカーから女性は怒った様な口調で
「なんでよ!タトプロス!ジラはすぐに倒せるんでしょ?」
「でも……でも……そうは行かないんだ!昔、俺達がニューヨークのマッハタンで
対決したジラとは性質の生態も全く違うようなんだ……」
「どう違うのよ!」
と思わずオードリと言うタトプロスの妻と思われる女性は反論した。
それに対し、分子生物学者のタトプロス博士は
「あいつは!日本のゴジラのDNAを持っている……
だから日本のゴジラ並みに強くなっているんだ……
実際、今まで効果があったアサルトライフルやミサイル攻撃が効果無いんだ……」
その女性は驚いた様子で
「まさか?無性生殖も出来るの?」
「いや……それはまだ調べてみないと分からない……」
「じゃ?帰って来るのは?いつ?」
と受話器の女性は穏やかに尋ねた。
「さあ……米軍やアメリ地球防衛軍の話ではかなり先になるな!
多分……10ヶ月後には帰れると思う!」
「長いわね……気が遠くなりそうね……」
「大丈夫!すぐさ!これから!日本の分子生物学者に会いに行かないと……もう切るよ!じゃあね!」
「じゃ!待っているわ!愛してるわ!タトプロス!」
「僕もだよ!……オードリ!」
と公衆電話を切ると慌ただしく特殊生物研究所内のラボに戻って行った。

 シェナンド国立公園に向かう途中、覇王が装甲車の中で
ローランドについて調べて行くと、ローランドは帝洋パシフィック製薬の
上層部であると同時に、MWM社の上層部の一人でもあり、
帝洋パシフィック製薬や日系企業TGRAT社に莫大な投資金を送っていることが分かった。
 現在、帝洋パシフィック製薬ではM塩基破壊兵器の、A群溶血性レンサ球菌に対する
抗生剤「タブリス」と言った様々な新薬の開発している。
 一方でAGRAT社は重工業、石油化学工業、清水飲料の発売を行っている。
 そしてこの2つの企業が現在何に取り組んでいるかと言うと、
軽自動車の燃料であるBDFや、帝洋パシフィック製薬と共同で、
怪獣の生態や体内の物質に関する研究、生物兵器の開発研究にも取り組んでいるらしい。
 だからローランドもそれらの研究開発に深く関わっている可能性が高い。
 しかしながらそのローランドと深く関わっているTAGRA
T社の経営実態は不明瞭で、帝洋パシフィック製薬に関してもある程度、
実態は掴んでいるものの、まだ不明瞭な部分が多い事がよく分かった。
 さらに調べて行く内に気になる情報を見つけた。
 それはローランドと深く関わっているTGRAT社に関する情報だった。
「1992年に海底から謎の物体が発見された。TGRAT社
の研究により、それがある特定の微弱な電波に反応し、
1月15日にはその謎の物体は体内で保存可能だと判明した。
その特徴はまるでM塩基の様であるが、それとは違うらしい。
 また海底油田掘削事故が2007年12月7日に発生し、
その際に環境保護圧力団体と名乗る団員がそこでテロ事件を起こし、
爆発事故に巻き込まれた際に行方不明になっている。
 ハブ・ビント号と言うノルウェー船が行方不明になる。
 2008年5月27日、ニューヨークマッハタンに謎の怪獣が襲撃。
 その災害の様子を録画したカメラが発見される。
 またそれを録画したと思われる一般市民男女が行方不明になる。」
覇王は、その一般市民のビデオ映像は昔見た覚えがあった事を思い出したものの、
今回の美雪の誘拐事件やM塩基破壊兵器製造事件とは関係が無さそうだと思った。
 そのニューヨークを襲撃した謎の生物は、実はTGRAT社
が謎の物体を利用した実験用の生物兵器だと言う噂も
覇王は聞いた事があるが、確証があるのか全く分からなかった。
 覇王が気が付いて窓を見ると、すでにアパラチア山脈の森の中
にあるシェンド国立公園の中に入っていた。

(第69章に続く)

では♪♪