(第69章)死神復活!

こんばんわ畑内です。
久々にゴジラの自作小説を載せます。

(第69章)死神復活!

 洋子と凛は蜂蜜と血液の混じったプールがある広場に辿り着いた。
 そこで2人はショッキングな光景を目の当たりにした。
 何と凛の母親の美雪が、元恋人のマークに飛びかかり、
首筋に噛みつき、冷たいプールの床に投げ飛ばし、激しく叩きつけていた。
それはまるでバガンかギドラの様だった。
 他人の気配を感じた美雪はその方に顔を向けた。
 彼女の口の周りは真っ赤な血で染まり、歯を剥き出して、「グルルル……」
と実の娘の凛とその友達の洋子を威嚇するように静かに唸った。
洋子は眼を見開き、思わずその場に立ちすくんで動けなくなったのに対し、
凛は驚きつつも母親の美雪に静かに
「どうしたのよ?ママ?大丈夫?」
と話しかけながら近づいた。
しかし彼女は「近づくな!」と威嚇するかのようにグオオオオオッと大きく吠えた。
 洋子はその美雪の吠え声に圧倒され、小さい悲鳴を上げ、
プールの端に倒れているマークの方に腰を抜かし尻餅をついた。
 美雪はまだ警戒したように獣の様な声で静かに唸り続けた。
 それでも凛はさすが覇王の娘だけあって、
その圧倒的な怪獣の様な唸り声にひるまず近づき、説得を続けた。
「どうしたのよ?本当にあたしを忘れたの?さっきあたしの他にゴジラやパパを見たの?」
と尋ね、凛が一歩を踏み出した途端、グオォォンと再び咆哮を上げた。
 マークは額に冷や汗をかき、幸いにもかすり傷で済んだ
首筋の出血を抑えながらようやく起き上がった。
 すると突然、マークの脳裏にしわがれた老人の声が聞こえた。
「失敗したな……マーク……」
マークは再び怯えたようすで
「またか……また幻聴か?」
更にマークの脳裏に
「早く……彼女を殺してしまわなければ!次は確実に殺されるぞ!」
「何だって?どういう事だ?」
腰を抜かし床に尻餅をついていた洋子はすぐにマークの異変に気が付いた。
「どうしたのかしら?」
と恐怖に顔を歪ませ、怯えた様子で独り言を呟いているマークを唖然と見ていた。
マークの脳裏に
「殺せ!」
と声が聞こえた。
しかしマークは
「やらない!やるもんか!」
と脳裏に流れる老人のしわがれた声を拒絶した。
「ズボンのポケットの中にコルト・ガバメントがあるだろう?」
「それを持て!」
マークは震える手でズボンのポケットから黒い拳銃を持ち、静かに取り出した。
その様子を洋子は見逃さなかった。
「危なあああいいいっ!凛ちゃん!」
とはちきれんばかりの大声で凛と美雪に危険を知らせた。
 マークは脳裏に流れるしわがれた老人の声に従いコルト・ガバメントの引き金に手を掛けた。
「殺せ!」
としわがれた老人の声が脳裏に流れた。
それからマークは
「ワアアアッ!」
と狂ったように悲鳴を上げ、引き金を引いた。
 バキューン!と言う乾いた銃声がプールのある広場に部屋中に響き渡った。

 咆哮らしきものが聞こえ、ゴジラは低く唸ると混乱した様子で周りを見渡している間、
ジラの脳裏にも咆哮らしきものが聞こえ、ゴジラと同様混乱した様子で周りを見渡した。
森の中に倒れているガイガンも冷たい地面から首を少し持ち上げ周りを見渡した。
それからガイガンのモノアイの赤いモニター画面には
「怪獣の音声を確認……発信元不明」
と表示されていた。
 さらに3体の怪獣の脳裏に乾いた銃音が聞こえた途端、ゴジラは怒りの咆哮を上げた。
 一方、ジラは勝ち誇ったように咆哮を上げていた。
 ガイガンはただ鳴き声を上げ、ゴジラとジラを見ていた。
 ゴジラはジラに振り向くと口から怒りをぶつける様に放射熱線を吐いた。
 ジラが大きくジャンプしたので、ジラに当たらず放射熱線は木々をなぎ倒し爆発した。
 そこに暁とオレンジ色に輝く楕円形のUFOに似た飛行物体が現れた。
 飛行物体は高い音を立て、ジラの逆三角形の頭部に取り付いた。
そして、ジラの逆三角形の頭部から脳内に侵入した。
ジラは突然、全身が焼けた様な激痛が走り、苦しみ始め、倒れた。
その様子をゴジラは唖然と見ていた。
ガイガンの赤いモニター画面に
「分析結果・アカツキソウ?詳細不明」
と表示された。
しばらくしてジラは全身の痛みは止み、フラフラと立ち上がった。
それからゴジラを睨みつけ、急に脳裏にモンスター語で
「久しぶりだな……ゴジラ!」
と語りだした。
ゴジラはジラから発せられたしわがれた声に聞き覚えがあった。
 それからジラは天に向かって勝ち誇った咆哮と共に
「死神は復活した!」
と大きな声を上げた。

 覇王と7人のロシア人の特殊部隊を乗せた装甲車はしばらく疾走した後、
土埃を立てて、ある場所に停車した。
 その森の中には、雑草がむしりとられ、何者かが素手で穴を掘った跡があった。
 全員が静かに近付くと大人一人分が入れそうなかなり狭い銀色の穴が開いていた。
 覇王はその狭い銀色の穴に強く惹かれる様に中へ入って行こうとした。
「こら!待ちなさい!ここは狭すぎる!他の入口を探そう!」
と全員大慌てで覇王を止めようとした。
 覇王も、凛よりずっと幅のある身体が前にも後ろに
進めなくなりそうになったので、穴の中に入るのをあきらめた。
 それから一行はもう一度アルカドランの位置の地図を見直すと、
50m先に、日常品や研究材料や器具を地下研究所に運ぶエレベーターがある事が分かった。
 ちなみに凛が手に入れた地図には書かれていなかったものである。
 一行はその地図を頼りにそのエレベーターのある場所へ向かった。
 覇王とロシアのウラヌス部隊はエレベーターに乗り、
ようやく地下のアルカドランへ侵入を果たした。

(第70章に続く)

では♪♪