(第71章)密会とレイとアヤノのクローン疑惑

こんにちは久しぶりにゴジラの自作小説をブログに載せます。

(第71章)密会とレイとアヤノのクローン疑惑

 東京、地球防衛軍本部内の廊下の中を、内閣の関係者を装い、
何処となくアヤノ似た顔をした女性が歩いていた。
 3年前、北海道でサンドラ達と共にテロ事件を起こしたレイである。
 彼女は、各国の地球防衛軍が集まってアヤノに関する緊急の軍法会議が行われる前に、
アメリカの地球防衛軍の関係者と名乗り
「わが国のシェナンド国立公園で、ゴジラやジラ、ガイガンが暴れ、
我々や米軍が出撃しているのにも関わらず!何故、
日本の地球防衛軍は援軍を送らないんでしょうか?
日本の地球防衛軍こそ!Ⅹ星人やミュータント、
人類を抹殺しようとするノスフェラトゥ達、テロリストの仲間ではないでしょうか?
実際に日本の防衛軍本部内でテロリストと思わしきミュータント兵
の女性が逮捕されたと言う噂は本当でしょうか?」
と各国の地球防衛軍の代表達に、日本の地球防衛軍
対する強い不信感を与える発言を吹聴していたのである。
 その結果、彼らは日本の地球防衛軍に対し、強い不信感を抱いたまま軍法会議に参加する事になった。
 レイは、繁殖の邪魔をしたアヤノへの復讐として、
自分が犯した罪を着せ、日本の地球防衛軍の信用を失墜させ、
業務を妨害するのに成功した事を確認すると、強い満足感を覚え、
本来の目的を達成すべく、ジェレルがいるカウセリングセンターへ向かって行った。

 地球大気圏外に浮遊しているⅩ星人のマザーシップ内。
 黄金色に輝く何本もの柱に支えられた巨大なドーム状の部屋に、
丸い机と椅子が並べられ、そこにⅩ星人統制官と思われる
女性のⅩ星人が座っていた。かなり裕福らしく、ピンク色の、
顔がちょうど隠れる大きさの羽毛で出来た扇子を振っていた。
「我々と手を組みたいと言うノスフェラトゥのゲンヴ族とゼイリュ族は、
自分達が進めている『プロメテウス計画』で完成した
『UZ-2』の研究の引き継ぎを条件に取引して欲しいそうね」
隣に座っていた同じく女性の参報が恐る恐る
「でも?信用出来るの?大丈夫かしら?」
統制官は冷静な口調で
「あたしの頭脳に任せなさい!ザクレス!」
ランデス!その『UZ-2』とか言うのを手に入れて一体何をするつもりなの?」
「それは見てのお楽しみよ!」
ランデスと言う名前のⅩ星人統制官は、
ピンク色の羽毛で出来た扇子を左右に振って「ホホホ」と笑って見せた。
 参報のザクレスは笑い続けるランデスから視線を逸らし、
「チッ!下町娘のくせに!昔地球でクーデターを起こして
統制官になった元参報を利用して、成り金から統制官にのし上がった!この女!キ―ッ!悔しい~っ!」
と歯を食いしばり、精一杯周りのⅩ星人にバレぬよう悔しがった。

 地球防衛軍本部内の控室でゴードン上級大佐はジェレルを
緊急の用事があると言って呼び出した。
彼は怪訝そうな顔で
「何の用ですか?」
と尋ねた。
ゴードン上級大佐は軍の帽子を机に置くと懐の軍服から2枚の資料を取り出した。
「これは一体?」
「アヤノのDNA検査の結果と彼女の家族構成のリストだ!」
と答えるとしばらくゴードン上級大佐は言葉を切った。
それから再び口を開くと
「実は……さっき血液検査の結果が出た!それが右の資料だ!」
とゴードン上級大佐は右の机に置いてある資料を指さした。
ジェレルがその資料を手に取り、読むとみるみる表情が変わった。
その資料には「アヤノさんとレイのDNAが一致、
どうやら彼女はミュータントとノスフェラトゥのハーフらしい。
理由は不明」
それからジェレルは資料を読みえ終えると
「嘘だ!認めない!彼女は敵じゃない!」
と即座にアヤノの血液検査の資料を否定した。
しかしゴードン上級大佐
「何も……彼女が『敵』だとはまだ決まっちゃおらんよ!」
と左の資料を指さした。
「実は特殊生物犯罪調査部がアヤノの過去を調べた結果、興味深い事実が判明した!」
「一体なんですか?」
と資料を手に取り、おずおずとゴードン上級大佐尋ねた。
「彼女は過去にアブダクションの経験があると彼女の両親から話を聞く事が出来た!」
「と言う事は?彼女はまさか?何かの人体実験のクローンだとかに利用されたんですか?」
「恐らく……レイは多分!アヤノのクローンである可能性が高いだろう!」
「そんな荒唐無稽な話を誰が信じるんですか?
まさかロシア人に変装していたとでも言いたいんですか?」
ととうとうジェレルは我慢できず、思わず声を荒げた。
「その可能性はある……もしかしたら?特殊メイクか何かかもしれん!」
とゴードン上級大佐は冷静に答えた。
それでもジェレルはアヤノとレイのDNAが一致したという事実を頑なに否定し続けた。

 凛は、ボルチモアに行く前に、急用で東京のビル内で謎の会合に参加した事を思い出していた。
カナダ地球防衛軍代表らしき白髪のカナダ人に
「良く来た!音無凛さん!」
と挨拶され、更にロシア地球防衛軍代表の若いロシア人が
「会えてうれしいよ!」
凛とそのロシア人と握手をした。
「では!早速だが!君には!ノスフェラトゥ
テロリスト達が誘拐した君の母親の美雪さんの救出に加え、
もう一つやってもらいたい事がある!」
「裏で彼らがG血清を悪用して作り出したM塩基破壊兵器に関する証拠を全て隠蔽して欲しい!」
「君自身の安全やゴジラや他の怪獣の安全が確保されるし!報酬もある!」
 凛はタバコの葉巻らしき物を取り出し、それを吸った。
ただしそれはタバコでは無くハーブで作られた紙巻きでニコチンが
無い、ハ―バル・シガ―レットである。
「あたし!お金はいいの!それより!ゴジラや怪獣達の
安全が確保出来ればそれでいいわ!ゴジラを初め、
怪獣達の力を悪用されないようにするのがあたしの人生の目的よ!
この仕事が成功したら、今後も対怪獣や
ゴジラ兵器の隠ぺいや妨害工作に積極的に参加させてくれるでしょ?」
「ああ……そうだ!約束しよう!」
とロシアとカナダの地球防衛軍代表は答えた。

(第72章に続く)

では♪♪