(第20章)音楽の謎解き(前編)

(第20章)音楽の謎解き(前編)
 
洋館の大ホールに残ったクエントと烈花はとりあえず
新しい情報と例の殺人鬼クレーマータックについて報告する事にした。
勿論、『R型』の捜索はとりあえずその後にした。
「こちら!ジャッカス!どうぞ!」
「こちら!スティーブン!何か発見がありましたか?」
「はい!実は反メディア団体ケリヴァー。『R型』。
秘密組織ファミリーのスパイのゾイ・ベイカー。
HCFのスパイのリー・マーラ。
他に殺人鬼のクレーマータックが
潜伏している可能性が浮上しましたどうぞ!」
「クレーマータックですか……
確か11年前からキリスト系の福音派新興宗教
カルト教団の教祖や信者達をターゲットに何か物や人間を犠牲とした
残酷なゲームを強いる殺人鬼、いや正確には殺人をしていません。
彼はターゲットとなった人間にキリストや神や天使達の教えに
すがり、依存する際に捨てた家や物、家族、
親友を犠牲にしてまで神の王国へ行くか?
いわゆる道連れ死ですね。また逆にキリストや神や天使達の教えにすがり、
依存するのを止めて捨てた家や物、家族、親友を命懸けで守り、
自分自身も生き残り神の王国へ行くのを拒み、生存するか?
どちらかをゲームを通して選択させる。
それが彼の主な手口ですね。
世間では未だに話題になっています。
そして彼によって何百個もの福音派新興宗教カルト教団
信者の激減によって機能停止状態に追い込まれています。」
「ああ、それと例の『R型』が保有するT-エリクサーを
新型として報告書をジル・バレンタインが作成しました!」
間もなくしてクエントの端末機にデータが送信された。
クエントは直ぐに送信されたデータに目を通した。
送信されたデータはさっきマツダ代表が言っていた
T-エリクサーの区別についての報告書だった。
それは以下の通り。
(A型T-エリクサー。)
ジルの子宮をゲート(門)にしてジルの陰我に取り付いて出現した
賢者の石を全身の細胞に持つ外神ホラー・シュブ二グラスが赤い霧と名乗る
テロリストがバイオテロに使用しようとしていたT-ウィルスに感染した
女王ヒルを呑み込み、同化した事で
Tーウィルスと賢者の石が結びついて誕生した。
そしてウィルスでは有り得ない方法で感染させた。
それは自らの少女の姿を媒介にニューヨーク市内に住む
約一万人の人間の女性達に夢を通して感染させた。
発症すると甲高い耳鳴り、全身の筋肉の発熱や全身の筋肉が
引き裂かれるかのような痛みの後、意識を失う。
しかし現在、命に関わる重大な症状は起きていない。
感染から6年後のBSAA医療チームの極秘調査により、
A型T-エリクサーは一万人の人間の
女性の全身の細胞に無症状で潜伏していた。
さらに『生きたい』と言う動物的本能と
その場の善悪いずれかの強烈な感情により、
突然、黒い縞模様の異形の戦士に変身する現象が発生している。
変身が確認出来たのは以下の通り。
オリジナル・外神ホラー・シュブ二グラス。
芳賀真理(食屍ホラー・グール)。
アシュリー・グラハム(黒い縞模様の赤色の異形の戦士)
その他人物はまだ未覚醒のままである。

(A型T・Gーエリクサー)
何らかの理由で彼女の体内に微量に残っているGウィルスと
A型T-エリクサーが遺伝子交配し、変異した新型のウィルスであると推測される。
変身形態はアシュリーとジルに類似しているが気性が荒く精神不安定。
しかし現在はリハビリとジルとアシュリーの尽力によって現在精神は安定中。
シェリー・バーキン(黒い縞模様の青色の異形の戦士)。

(B型T-エリクサー)
御月製薬がアフリカの太陽の階段の土壌の奥深くから回収した
賢者の石をT-ウィルスと遺伝子交配させて人工的に創り出されたもの。
このB型T-エリクサーをこちら側(バイオ)の世界とは異なる生物
『魔獣ホラー』に投与する事によってMーBOW(魔獣生物兵器
が製造されるものの鋼牙やクレア、
モイラ等の人物の活躍によって全て駆逐される。
また魔獣ホラー以外にもハンターYにB型Tエリクサーを投与し、
乾燥による弱点を克服した『ハンターEY』。
更に実験的にプラント42の蔓にB型T-エリクサーを投与され、
誕生した『プラントE44』と人間の女性との交配によって
偶然誕生した『R型』が確認されている。
またB型T-エリクサーを無毒化して、伝染性を無くし、
ベクター(運び屋)として使用され
遺伝子操作による人体実験にも利用されていた。
人体改造を受けた人物は以下の2名確認。
ゾイ・ベイカー(ガドルT型)。
ダリン・ブラント。
この洋館事件により今後増える可能性有り。
またA型とB型の2種類のワクチンは
秘密組織ファミリーの手によって製造されている。
現在、両方ともBSAA北米支部保有
 
御月製薬がTウィルスを遺伝子交配する前に見つけた
賢者の石にオリジナルが存在している。
オリジナルは外神ホラー・ニャルラトホテプの化身ドラキュラ伯爵である。
更に賢者の石を保有し、緑の異形の戦士に変身する
私事、ジル・バレンタインもオリジナルである。

シャノン・カエデ・マルコヴィア
また変異型の賢者の石『賢者石バエル細胞』が
私と同じように全身の細胞内で増殖して寄生しているのでは無く、
特殊な消化液で消化して彼女の全身の細胞を養分として
取り込んで寄生同化したようである。
更に憎しみや怒り等の人間的感情を初め、
我が子を守りたいと言う本能的な感情の起因により
私の黒い縞模様の緑の異形の戦士とは異なる姿に変身した。
その姿は美しい女性らしいスレンダーな体を維持しつつも
どこか子供向けの全身が純白のキツネ型の機械人形に似た姿をしている。
頭部は純白のキツネの仮面に覆われている
両目は真っ赤にらんらんと輝いている。
また耳まで裂けた大口から鋸のように並んだ白い無数の牙が生えていた。
更に内側の口内にも鋸のように並んだ銀色の無数の牙が生えていた。
純白のキツネの口元には女性の真っ赤な口紅を付けている。
全身は純白の分厚い鎧に覆われていた。
更に胸部にはピンク色の丸い模様に覆われ、赤いネクタイを付けていた。
胸部の大きな丸い胸の真下の両脇腹の皮膚からは
2対の銀色の細長い無数の棘が並んだ触手を伸ばしている。
両手には10対の真っ白で鋭利な鉤爪が生えていた。
さらに全身をバラバラに分解する事で四方八方からの包囲攻撃を得意とする。
ただ私のように完全に変身出来たのは出産後、しばらく経ってからである。
理由は初変身当時彼女は妊娠中だった。
そして自らのお腹の中にいる胎児を育てる為に賢者の石の力が必要な為である。
また一人の人間としての自我と意志と子供を守り育てる本能は残っている模様。
シャノン本人以外の自我や意志は確認できず存在しない事が判明している。
現在BSAA北米支部の医療監視員と万が一の暴走に備え、
精神科医が厳重に監視中。以上」
「ちゃっかり自分の事まで書いていますね。シャノンさんの事も!
まあー彼女は元々あまり嘘を付けないんですよね?仕事柄と言うか……」
「まあー事実は事実だしな!シャノンの事を含めてな!」
「あと、ダリン・ブラントはどうしているのでしょう?」
「さあー少しは悔い改めて真人間になっているといいが……」
「まさかーどうなんでしょうね……」
クエントは烈花の答えにお茶を濁した発言をした。
その時、烈花は何かを思い出した。
「そう言えば!食堂の先のあのピンク色の扉!」
「あっ!さっきの謎のせいですっかり忘れていました!」
クエントはBSAAの懐から
剣の模様の鍵を取り出し、どうしようか?考えていた。
すると烈花は「食堂を通って長い廊下の先へ行こう」
と提案したのでクエントも彼女の提案を素直に受け入れた。
クエントもその提案を受け入れた。
そして烈花とクエントはまた食堂の先の長々と続く廊下を通り、
植物の蔓か大木か何かで塞がれた
茶色の扉の傍にあったピンク色の扉の前に立った。
そしてクエントはドアノブの方を再び良く見た。
続けてクエントは剣の鍵をピンク色の扉のカギ穴に入れて回した。
「カチャッ」と言う音と共に鍵が開いた。
烈花は静かにドアノブに手を伸ばした。
そして慎重に回した。
間も無くして扉が開いた。
烈花とクエントはそれぞれハンドガンを構えた。
2人は合図し、バン!とドアを開け、部屋の中に飛び込んだ。
そこはバーの様な部屋だった。
奥にはお酒や瓶、その他カクテル等が
並んだカウンターがあり、幾つもの赤い丸い椅子が置かれていた。
また部屋の右下の隅には立派な黒いグランドピアノが置かれていた。
グランドピアノの傍の奥にはカクテルが置かれた棚が置かれており、
その前には何故か不自然に中位の棚が置かれていた。
「これは?」
「何か不自然だな?」
クエントは烈花の指摘に「確かに?」と答えた。
2人はしばらく考え込んだ。
 
(第21章に続く)