(第29章)弱肉強食

(第29章)弱肉強食
 
ゾイがいる反対側の2階の柱のあるブーメラン形の廊下。
クエントと烈花は柱のあるブーメラン形の廊下の床で拾った
若村と思われる人物が書き残したメモを読んでいた。
「私は汚い大人!違う!違う!私は汚い大人!
私はメディアツールを抹殺して!
子供達の純粋な心を守るんだ!私は汚い大人!
私は汚い大人!違う!違う!違う!
止めろ!『R型』のクソガキ!私は汚い大人!私は汚い大人!
メディアツールを抹殺!メディアツールを抹殺!子供の宝を壊す盗人!
違う!私は子供の宝を壊していない!子供の宝を壊す盗人!
私は小汚い大人!違う!いい加減にしろ!
私の心の中に入って来るな!私の心の中に入って来るな!
あっち行け!あっち行け!あっち行け!止めろ!笑うな!笑うな!
メディアツールの排除!あっち行け!あっち行け!あっち行け!くそっ!」
「十分警戒して接触する必要があるな!」
「そう言う事ですよ!さあ先へ進みましょう!」
クエントと烈花はこの先に若村がいると考えた。
柱のあるブーメラン形の廊下の先にはまたしても茶色の扉があった。
更に2人が茶色の扉を開けて先へ進むと今度は短いT字型の廊下に出た。
T字型の廊下の先には小さな階段が見えた。
またT字型の廊下の上の部分の直線の
廊下の奥の部分に分厚い銀色の扉があった。
鋼鉄の扉にはドアノブが無く外側から開ける事は不可能だった。
代わりに銀色の鋼鉄の扉には何百万もの強化ガラスを
重ねて作り出した大きな窓があった。
また強化ガラスの窓越しからだけではとても
通路の長さを把握出来なかった。
そして壁に付けられた名札を見ると『二クル・クライス』と書いてあった。
更に果てし無く長い通路の奥は暗くて全く見えなかった。
間もなくして暗い通路の奥から全速力で
荒々しく息を切らせて走る若い女性が見えた。
どうやらハンガリー人らしいその若い女性は茶色の瞳を潤ませて
鋼鉄の分厚い扉の向こうにいるクエントと烈花を見つけた。
そして恐怖に凍りついた表情で金切り声を上げ、こう叫んだ。
「お願い!助けてえええええっ!早くそこを開けてええええっ!」
「生存者だ!さっき名札に書いてあった女性だ!」
「分りました!早く助けます!」
「おい……クエント!」
烈花は口を開けて慌てて強化ガラスを指さした。
クエントが見るとハンガリー人の女性二クル・クライスの背後を
ブブブブブブブッと大きな羽音と共に
高速で接近する青みが掛った黒い体色、
小ぶりな体格、真っ赤に輝く羽根を高速で
上下に振るわせて飛行する昆虫が見えた。
それが巨大化した蜂だと分かるのに時間は掛からなかった。
巨大な蜂は天井近くからまるで鷹の様に
急降下すると青みが掛ったお腹を大きく曲げた。
同時に二クルの背中にお腹の先端の太い針を高速でドスッ!と突き刺した。
「きゃああああああああああああっ!いったあああああいいいっ!!」
二クルは背中の激痛で絶叫した。
やがて麻酔作用のある蜂の毒が全身に回ると両掌と膝を付き、
四つん這いの姿勢のままその場から動けなくなった。
勿論、意識はあった。はっきりと。
やがて巨大なベッコウバチは細長い青みが掛った6対の脚で
はっきりと意識を持ち、神経が麻痺して動けない二クルの
白い肌に覆われた美しい全裸の身体を軽々と抱き上げ、持ち上げた。
巨大な蜂はブブブブッとまた羽音を立てて方向転換した。
巨大な蜂は恐怖で動けない二クルを
抱えたまままた暗い廊下の奥へ消えて行った。
暗い廊下の奥でブブブブブと大きな羽音が
聞えていたが徐々に小さくなり消えた。
間も無くして烈花は冷静に口を開いた。
「あれ?蜂だよな?間違いなく?」
「ええ、間違いありません!
恐らくB型Tエリクサーが二次感染した事でオオベッコウバチが
突然変異を起こして、巨大化したのでしょう。」
「あんなに小さい蜂がウィルスに感染して突然変異を
起こしただけであんなにすくすくとでかく成長するものなのか?」
「T-ウィルス、もといB型Tエリクサーウィルスに
感染した生物の遺伝子を組み替える作用があります!
実際、ジェームズ・マーカス博士が虫にT-ウィルスの原形の
始祖ウィルスを投与した結果、莫大なエネルギーによる
巨大化や攻撃向上を引き起こしたと彼のレポートに記録が残っています!
とは言え虫は太古の世界から生き続けている生命体故に
半ば進化の袋小路に達しており、それ以上の進化や変化は確認出来ず
虫をBOW(生物兵器)として
実用化するのは難しいと判断されたようです。」
「成程!制御出来ない訳か?」
「その通りです!実際、初期に開発製造されたプレイング・クローラー
と言う昆虫型BOW(生物兵器)開発中止と共に
廃棄処分されたのにも関わらず一部が廃棄処分を逃れて
人の手を離れて猛烈な勢いで繁殖していたようです!」
「虫は逞しいからな!ところで……あれ寄生バチだよな?」
烈花の静かな指摘にたちまちクエントの顔がサーッと青ざめた。
「そうですね!英語では『タランチュラホーク』と呼ばれ、
主にオオツチグモつまりタランチュラを狩りますが……。
あんなに巨大化したので卵から孵化した幼虫の獲物は人間に……。」
「なんとか助けてやりたいが巣が分からないんじゃ!
どうしようもないか?せめてここさえ通れれば!」
烈花は目の前の分厚い扉を見た。
「ドアノブが無いんじゃ!開けられないっ!」
「とにかくここは通れません!まずは若村を捕えましょう!
彼ならある程度の隠し通路や隠し部屋の
行き先について知っているのかも知れません!」
「ああ、先へ進もう……若村に色々聞きたいからな!」
クエントと烈花はT字型の廊下の直線にある小さな階段を昇った。
そして小さな階段の先にはまた茶色の扉があった。
 
巨大ベッコウバチのワプスクローラー麻酔で全身を
麻痺状態にさせて捕まえた二クルを本能的に
自分の巣へ運ぼうと小さな四角い部屋に辿りついた。
二クルは麻痺状態で一切動けずただ
ワプスクローラーに運ばれるがままだった。
しかも極限の恐怖で怯えた様にガクガクと全身を震わせていた。
ワプスクローラーは自分の巣の通り道である
四角い部屋のドアがない入口へ進んだ。
しかし突然、四角い部屋のドアが無い入口から
ニュルっと異形の怪物が出現した。
最初に姿を現したのが巨大な2対の角を持つ青い透明な頭部だった。
更に青い透明の頭部の左右には巨大な
オレンジ色の眼球がギョロギョロと動いていた。
やがてその巨大な2対の角を持つ頭部は大きくバカッと割れた。
やがて6本の青く輝く触手がまるでイソギンチャクの様に飛び出した。
続けて飛びだした6本の青く輝く触手は
青みが掛った6本の脚に瞬時に巻き付いた。
本能的に危険を感じたワプスクローラー
抱えていた二クルを床に落とした。
幸いにも二クルはそのまま四つん這いのまま床に落下した。
更に異形の怪物は6本の青い触手で捉えた
ワプスクローラーを軽々と持ち上げた。
6本の青みが掛った脚がプレス機の様に
バキバキと騒がしい音を立てて握り潰された。
異形の怪物は凄まじい怪力でワプスクローラー
4対の牙を持つ口内に引きずり込んだ。
弱ったワプスクローラーは真っ赤に輝く羽根を
高速でブンブンと振るわせ、抵抗した。
しかし抵抗虚しく異形の怪物はワプスクローラーの青みが掛った
分厚い背中の外骨格を4対の牙で噛み砕き、深々と喰い込ませた。
続けて異形の怪物は口内の4対の牙から消化液を
ワプスクローラー体内に注入した。
やがて青みが掛った分厚い外骨格の内部の
柔らかい肉の部分が消化されて行った。
異形の怪物は液化したワプスクローラー
柔らかい肉の部分を残らず吸い尽した。
その為、青みが掛った分厚い外骨格の内部は
まるで洞窟の様に空洞になった。
間も無くして異形の怪物は青みが掛った外骨格の身体に6本の脚。
そして輝きを失った赤い羽根を持つ、
ワプスクローラーの残骸をペッと吐き出した。
四つん這いになっている二クルの真上を通過し、
近くの白い壁に叩きつけられた。
食事を終えた異形の怪物は二クルにゆっくりと接近した。
蜂の毒で全身が麻痺して一歩も身動きが
取れない彼女は次に喰われるの自分だと思った。
異形の怪物は何故か青く透明な上半身を
大きく起こし、二クルを仰向けに押し倒した。
続けて6本の内、2本の青く輝く触手を
二クルの両脚に絡め、ゆっくりと左右に広げた。
異形の怪物は透明な下腹部の赤い臓器から
貝の生殖器に似た赤い器官を伸ばした。
同時に剥き出しの二クルの美しい白い肌の
両脚を通過し、股間にゆっくりと伸ばした。
続けて異形の怪物は赤い貝の生殖器
ゆっくりと伸縮させる運動を繰り返した。
二クルは強い性的興奮を感じ、徐々に両頬と深い胸の谷間を紅潮させた。
二クルは信じられない表情を浮かべ、
荒々しく息を吐き、甲高い声で喘ぎ続けた。
「あああっ!ああうううん!ああっ!
ああっ!ううん!あああっ!ああっ!あん!」
間も無くして二クルは気持ち良さそうに目をつぶった。
そして大きく口を開け、荒々しく息を吐き、甲高い声で喘ぎ続けた。
「んんっ!んんっ!ああっ!あああん!
あああん!ああああん!あん!あん!はっ!」
同時に二クルの柔らかく大きな丸い両乳房も
前後に徐々に早くブルブルと揺れ続けた。
更に異形の怪物は目にも止まらぬ速さで
赤い貝の生殖器を伸縮させる運動を繰り返した。
二クルのより一層、荒々しく息を吐き甲高い声で喘ぎ続けた。
「あああああああんんっ!ああああああん!ああん!あん!
あん!あんっ!いいいいいっ!ああああん!ああん!
ああん!うあああん!ああっ!あん!」
二クルの柔らかく大きな丸い両乳房は更に
目にも止まらぬ速さでブルブルと揺れ続けた。
間も無くして二クルの性的興奮が絶頂に達した。
同時に異形の怪物は二クルの胎内に大量の液体の塊をどんどん注ぎ込んだ。
それから二クルは性的快楽の余韻に浸るか
のように静かに瞼を閉じ、僅かに微笑んだ。
 
(第30章に続く)