(第30章)烈花の鉄拳制裁

(第30章)烈花の鉄拳制裁
 
烈花は早速小さな階段の先の茶色の扉の
ドアノブを回したが鍵が掛っていた。
クエントは冷静に鍵が掛って開かない茶色のドアの
ドアノブを確認すると盾の模様が刻まれていた。
「盾の鍵が必要ですね!」
そう言うとクエントはまた盾の鍵を取り出した。
続けてカチャッと茶色の扉の鍵を開けた。
恐らくこの先に若村が隠れていると思われる
屋根裏部屋があるだろうと烈花とクエントは思った。
そして屋根裏部屋に続くと思われる茶色のドアノブを回した。
更にギイイッと軋ませ、ゆっくりと開けた。
クエントは両手にマシンガンを構え、中へ入った。
烈花も両手でハンドガンを構え、中へ入って行った。
屋根裏はかなり広い部屋で入口近くには茶色の棚が置いてあった。
その先には一列に太い木の柱があり、
一番端には大きな木箱が置かれていた。
また部屋の隅にも木箱があった。
2人が先へ進むとまた大きな木箱に細長い壁がL字型にあった。
間も無くしてクエントがL字型の
壁の先の四角い木の床にある空間へ入った。
その瞬間、突然、四角い空間の奥の
分厚い白いコンクリートの壁をバコオオオン!
と騒がしい音を立てて穴を空けて
黒髪のオールバックに筋肉隆々の大きな男が出現した。
「お前らあっ!あれか?メディアツールの申し子かああっ!
駄目だ!駄目だ!早くそんなものは捨てちまえ!身体に毒だあああっ!」
男はそう大声で喚き散らすといきなりクエントの胸倉を掴んだ。
男はクエントに組みつくと大きく頭を前後に振り、
頭突きをクエントに炸裂させた。
クエントは額の激痛に耐えられず
両手で額を押さえ、うずくまりそうになった。
するとさっき若村と思われる男の頭突きによってクエントの全身が
激しく前後に痙攣したと同時にボトリと衝撃でBSAAの服に中に
隠し持っていたT-エリクサーの
ワクチンが入ったケースが木の床に落ちた。
それに気付いた若村は無造作にそれを拾った。
「駄目だ!駄目だ!今こんなものを『R型』に使ったら!
俺の計画が全て駄目になる!メディアツールを排除する!」
若村はブツブツとそう言うとT-エリクサーの
ワクチンの入ったケースを勢い良く床に叩き付けた。
叩きつけられたと同時に鋼鉄の箱はバリッと粉々になった。
そして中から数本のT-エリクサーワクチンの
入った試験管がコロコロ転がった。
更に若村は膝を曲げ、大きく脚を上げた。
「まっ!待って下さい!」とクエントが止めようとした。
しかし無情にも若村は「ふん!」と声を上げ、
脚を勢いよく振り降ろし、パキィン!と数本のT-エリクサーの
ワクチンの入った試験管を何度も何度も執拗に踏みつけた後、
茶色の靴の履いた足を左右にギリギリと踏みにじった。
「あっ……T-エリクサーワクチンが……」
クエントが思わず茫然とした表情でそう呟いた。
その若村の乱暴な行為を見た烈花はたちまち激昂した。
「貴様ああああまあああああああああっ!」
彼女はそう絶叫すると若村に向かって走り出した。
若村は何処からか隠し持っていた銀のスコップを取り出した。
そして両腕を右斜めに振り上げて烈花の肩目掛けて振り降ろした。
しかし烈花は目にも止まらぬ速さで
自らの身体を大きく左側に移動させ、回避した。
空振りして振り降ろされたスコップは
屋根裏部屋の木の机に深々と突き刺さった。
「うっ!うああっ!」と声を上げ、再びスコップを床から
引き抜くと両手で構え、スコップをまた振り上げた。
次の瞬間、烈花は目にも止まらない
早業で硬く握りしめた拳を若村の顔面に叩き付けた。
大男である若村は細身で華奢な烈花にそのまま殴り飛ばされた。
烈花に殴り飛ばされ、吹っ飛ばされた
若村は木の隅の木箱に叩きつけられた。
木箱は粉々になり、若村は大量の木の破片に下敷きになった。
しかし若村は大量の木の破片を吹き飛ばして立ち上がった。
「くそっ!くそっ!俺は!俺は!強くなったんだ!」
若村は鬼のような形相で烈花に近づいた。
それから若村はブツブツと何か呟き始めた。
「そうそう!俺の計画に協力すればあの子の母親にしてやろう!
そうしよう!そうしよう!そうしよう!フフフン!フフフン!」
若村は再び烈花のBSAAの服の胸倉を掴んだ。
そして若村は素早く右腕を前後させ、烈花の顔面に向かって
拳を真っ直ぐに伸ばし、殴りつけようとした。
しかし若村の拳が烈花の鼻先に当たる直前。
憤怒の表情のまま今度は目にも止まらぬ速さで若村の顔面を殴り付けた。
若村は再びそのまま吹っ飛ばされ、木の柱にしたたかに背中を激突させた。
静かに烈花はこう言った。彼女の茶色の瞳は憤怒で
満ち溢れており、視線は狼よりも鋭かった。
「黙れ!耳障りだ!」
若村はさっきの烈花の怒りの一撃により、失神したのか?
木の柱に座りこみ、ぐったりして動かなかった。
クエントがこうつぶやいた。
「貴方ならあのジャック・ベイカーとも互角、
いや、それ以上に闘えますね」
間も無くして「うううっ」と若村は大きく唸った。
やがてゴホゴホと咳をして正気に戻った若村は殺気を感じたのか?
ビクンと全身を振るわせ、烈花を見た。
「あっ!ううっ!くそっ!『R型』め!俺を操りやがって!」
若村は首を左右に振り、歯ぎしりをした。
クエントは静かに烈花にこう言った。
「如何やら正気を取り戻したようです。
ですから烈花さんも落ち着いて下さい」と。
すると烈花は憤怒から解放され、我に返ると思わず罰の悪い表情になった。
「うううっ。ああマズイ……一般人を殴っちまった……」
それから『R型』に精神を操られていた若村をどうにか正気に戻した。
と言うより『R型』を助ける為に使用される筈だった
T-エリクサーのワクチンが若村に破壊されたので
激昂した烈花が『R型』に洗脳され、T-エリクサーで
肉体強化された若村を完全に素手であっさりと制圧したからであるが。
それから烈花とクエントは正気を取り戻した若村に事情を聞いた。
「一体?何があったんですか?何故?バイオテロを仕掛ける筈だった
貴方が暴走した『R型』に攻撃され、支配された理由はなんでしょう?」
「・・・・・・・・・・・」
若村は口を固く閉じて黙りこんだ。
しかし烈花が口を開き掛けた時、若村が口を開いた。
「俺は悪くないっ!俺は悪くないっ!Rが悪いんだ!
あいつは俺や他のメンバーに隠れてテレビやDVDを観ていたんだ!
俺はそれを止めさせただけだっ!
俺は悪くないっ!隠れて見る方が悪いっ!」
「本当にお前は悪く無いのか?何故?
『R型』は大人を汚れた存在だと決めつけ!
死を強要している!本当にお前のやり方に問題は無かったんだろうな??」
烈花は歯ぎしりをして激しく唸るようにそう言った。
まだ彼女の茶色の瞳は怒りで満ちていた。
若村は烈花の突き刺す様な視線に思わず身をすくませた。
「落ち着いて下さい!さっきのは『R型』
に洗脳されて操られていただけです!
彼自身の意志ではありません!とにかくちゃんと話を聞きましょう!」
クエントにやや厳しい口調で指摘され、
また烈花は罰悪い渋い表情になった。
「ああ」と小さく返事をすると黙った。
 
洋館の大ホールの反対側の2階の階段の近くにある青く四角い部屋。
ゾイは青く四角い部屋の壁に大きなハートマークが
刻印されているのを見つけた。
同時にゾイは右拳でハートマークが
刻印されている青い壁を渾身の力で殴りつけた。
するとコンクリートの青い壁はかなり薄かったのだろう。
彼女のパンチの一撃で粉々になり、青い床の上に瓦礫の山となった。
先には大きな穴が出来き、別の四角い部屋が
現われたので躊躇せず中に入った。
別の四角い部屋は赤い壁と天井に覆われていた。
どうやらまだ使用されていない物置部屋のようだ。
物置部屋の中央の木の床ではシイナ・カペラが何故か四つん這いとなり、
苦悶の表情を浮かべ、両目を大きく見開き、甲高い声で喘いでいた。
間も無くして彼女の白い肌に覆われた全身の皮膚が次々と裂けて行った。
更に多量の赤い血液と小さな細胞片が
無数の裂けた皮膚の傷口から噴き出した。
その度に激痛で凄まじくも甲高い声で
悲鳴を上げ、獣のような咆哮を上げた。
更にバキバキと骨格を僅かに変形させた。
やがて美しい白い肌の覆われた柔らかく形の
整った小さな両乳房は急檄に成長した。
結果、まるで豊胸したかのような
重量感溢れる巨大な丸い両乳房に変化した。
更に小さな形の整った丸いお尻も急檄に成長した。
熟れた果実を思わせる大きな丸い豊かなお尻となっていた。
更に彼女のスレンダーな体形の身体も変異前よりも
肉付きが良くなり、更に身体は引き締まっていた。
 
(第31章に続く)