(第43章)創造物と密約

(第43章)創造物と密約
 
リー・マーラのパソコンのファイルがもたらした報告書を読んだ。
クエントと烈花は「成程」と頷いた。
「うむ、プラーガータイプ4に繁殖力があるのは
T-sedusa(シディユウサ)に含まれるGウィルスの力でしょう。
ですが『R型』はあまり興味が無かったようです。」
「自分が創造した生物以外の生物に関心がほとんどない……か……」
クエントと烈花はパソコンから情報を得た後、
さっき多数のプラントデッドや
ソルジャープラントデッドのいたT字型の通路に戻った。
2人はこの地下2階のクリオネ型BOW(生物兵器
が眠っている広い2階建ての部屋を目指した。
そんな中、烈花は自分の身体の中の設計図にそんな
遺伝子が存在していた事に驚きを隠せないでいた。
その時、ふと彼女は自分が拾ったスマートフォンの存在を思い出した。
烈花はピンク色のスマートフォンを取り出し、電源スイッチを押した。
間も無くして起動音と共にスマートフォンの画面に動画が2つ現われた。
すると烈花は何の迷いも無くひとつ目の動画を再生させた。
スマートフォンの画面には何処か広い部屋が映し出された。
その別の部屋の周囲には細長い蔓で両手首を縛られた多数の
反メディア団体ケリヴァーは全員女性で更に全裸だった。
酷い事にほとんどのメンバーは口から多量の血を吐き、
両足の太ももから大量に血を滴らせ、息絶えていた。
2人はそれをスマートフォンの画面を見て彼女達の
命を助けられなかった悲しさと悔しさを慌てて押し殺した。
また何処かの広い部屋はどうやら地下室らしい。
更に地下室の壁の小さな看板にはこう書いてあった。
『地下3階・食料と物品保管庫』と書かれていた。
間も無くして場面が変わった。
そこはどうやら2階の別の広い倉庫のようだ。
証拠に倉庫の壁に『地下2階倉庫』
とだけ書かれている小さな看板が見えたからだ。
やがてスマートフォンのカメラは一人の裸の女性の姿を捉えた。
再生された動画には四角い部屋に
反メディア団体ケリヴァーと思われる若い女性がいた。
しかもその顔と容姿はHCFのBOW(生物兵器)及びウィルス兵器
開発研究員主任のダ二ア・カルコザ博士と瓜二つだった。
壁には『ヘレン・カルコザ』と言う
名札が貼り付けられているのが確認できた。
ヘレン・カルコザはダ二アと同じ
20代位で両頬まで伸びた茶髪のショートヘアー
に茶色の瞳、白い肌をした丸い輪郭にやや幼い顔立ちをしていた。
スレンダーな腰にくびれのある美しい体形をしていた。
また彼女がハアハアと息する度に口が開き、
ピンク色の唇と白い歯がチラチラと見えた。
すると『R型』の声が聞えた。どうやらあの子が撮影しているようだ。
「良く撮って置かないと。ヘレンお姉ちゃんの裸を見るのは最後だからね。
そろそろ遊びを終わらせないとね。」
「どういう意味よ!お願い!『R型』を離してぇ……」
「あたしが一番やりたい事はこの小汚い大人達が
支配する世界をぶっ壊す事なの!
そろそろ真面目にやらないと!忙しいな!」
「ふざけないで!コディは?ビクトリアは?
キーガンは?スミスは何処なの?」
「コディお姉ちゃん!ビクトリア姉ちゃん!キーガンお兄ちゃんに!
スミスお兄ちゃんはみ-んなあたしの創った動物達の餌になっちゃった!」
ヘレンの顔から怒りの表情が消え、悲しみの表情となった。
「でもエリカお姉ちゃんはプラントデッドの
お医者さんに治療してあげるの!」
「いやっ!止めてっ!止めっ!背後に何かいるっ!何かいるのぉ……」
ヘレンは涙目で唇を震わせ、背後にいる
恐ろしい怪物の存在を必死に訴えた。
クエントと烈花が良く見ると確かに彼女の背後に突然変異したと思われる
筋肉質な体格のプラントデッドが不気味に蠢いているのが見えた。
そいつは剥離した全身の無数の蔦が複雑に絡んだ皮膚から新たに形成された
分厚く太いまるで木の幹を思わせる筋肉組織が露出していた。
また全身の骨格の変形は見られずどうやら
ブラッドショットと同じ二足歩行のようだ。
更に緑色の背中から6対の太い枝状の突起物が生えていた。
バカッと開いた無数の牙を持つ真っ赤に輝くつぼみの頭部の中央から
緑色の無数のイバラの棘の付いた細長い蔓に
似た舌が天井に向かって伸びていた。
クエントは十分な栄養を摂取する
内的要因による変異で誕生したのは容易に想像出来た。
『R型』がリサと同じくパチッと指を鳴らして合図した。
突然変異したプラントデッドは
太い木の幹に似た筋組織に覆われた股間の内部が
十字に割れて内部からゆっくりとオレンジ色の花のつぼみが伸びて来た。
やがてオレンジ色の花のつぼみがバカッと大きく開いた。
続けてバカッと開いたオレンジ色の花弁の中央から
長い管状の突起をヘレンの大きな丸いお尻の膣に挿入した。
やがてオレンジ色の花弁は閉じ、
ヘレンの大きな白い肌の丸いお尻を覆い尽した。
間も無くして突然変異プラントデッドは太い木の幹に似た筋組織に
覆われた腰を目にも止まらぬ速さでブルブルと前後に大きく揺らし続けた。
その度にヘレンの柔らかい大きな丸い両乳房とピンク色の乳輪と乳首は
上下に目にも止まらぬ速さでブルブルと大きく揺れ続けていた。
更に両頬と深い胸の谷間を紅潮させ、
荒々しく息を吐き、甲高い声で喘ぎ続けていた。
「あああっ!はあああっ!はああああっ!
はああああっ!ああああっ!いやあああん!」
さらにヘレンは荒々しく息を吐き、
甲高い声で喘ぎ続けながらこう口走った。
「いやっ!いやっ!卵になんかなりたくないっ!はあああん!はああっ!
あああん!はあああん!やめっ!やめっ!はああっ!あっ!はっ!
あああん!はああん!あああん!ああっ!はあああああん!あっ!」
ヘレンと突然変異プラントデッドの性的興奮が絶頂に達した。
同時にヘレンはくびれのある腰と
大きな丸い両乳房を何度も上下に激しく痙攣させた。
ヘレンは静かに目を瞑り、僅かに啜り泣いた後、
意識を失ってぐったりとなった。
突然変異プラントデッドは気絶したヘレンを優しく抱き寄せた。
続けて大きく開いた真っ赤な花弁を閉じ、ヘレンの顔を覆い尽した。
やがて突然変異プラントデッドが彼女の唾液を啜る音が響いた。
また既に役割を終えたオレンジ色のつぼみは太い木の幹に似た
筋組織に覆われた股間の内部に綺麗に収納されていた。
『R型』の「結婚の誓いのキス!おめでとう!うふふふ」
と笑った所で動画は停止した。
「まさか?ウィルスに感染して……人間の形を失って卵に変身したのか?」
「ゾンビの進化形のリッカーは攻撃力と
繁殖能力が高い事で知られていますが……」
「最悪だ……もう流石に想像したくないな……」
烈花は顔を真っ青にしながらそう答えた。
「私もです……想像したくありません……」
クエントもやはり顔を真っ青にして答えた。
2人はまたT字型の通路に戻った。
烈花は反対側の部屋が気になり、鉄の扉を開けて、
クエントと共に中に入った。
その部屋は四角い形をしていて奥には5つの扉があった。
ドアには右側の奥から01、02、03,
04,05の順番に番号が付けられていた。
どうやらそこは重度の精神病患者を閉じ込めておく、
隔離病棟のだったようだ。
2にんは01から順番に部屋を見た。
どの部屋の何処かにブラッディ・サイラス
がいる筈だが既に卵かが進んでおり、
人間の原形は留めておらず2人に全く判別出来なった。
しばらくして突然、緑色の床がビチビチと大きな音を立てて波打ち始めた。
その瞬間、20cmのプラントリーチの群体が一斉にY字型の口を
大きくバックリと開き、クエントと烈花に向かって襲い掛かって来た。
烈花とクエントはハンドガンやマシンガンで飛びかかって来る
プラントリーチを次々と撃ち落しながら後退し、
素早く出口のドアを開けて閉めた。
2人はT字通路の廊下に脱出した。
どうやらプラントリーチ達はそれ以上、追撃して来なかった。
恐らくシイナ事、女王ヒルがいなくなっても本能的に
自分の巣を守ろうとしたのだろうと烈花はそう思った。
それから階段を降り、また横に鉄の扉があった。
クエントはドアノブに手を伸ばしかけた。
その時、烈花は鉄の扉に白い張り紙があるのに気付いた。
「この処置室にいたリサ・アルミケラは我々秘密組織ファミリーの
スパイが発見し、栄養剤と輸血投与により超回復し、無事生存。
こちらで保護したのでこの先の調査は万事OK。
ジョン・C・シモンズ。クエントと烈花、親愛なる協力者より」
「ほっ!とにかくあの子の命は助かったようだ……」
「しかし『R型』が人体実験とは。
リサさんやヘレンさん、多数の女性を利用して。」
それから二人はT字型の通路の先の階段を降りた。
クエントはその先のエレベーターのボタンを押した。
間も無くして銀色の分厚い扉が開き、
クエントと烈花は天井を確認しつつも入った。
床の上には日記帳が落ちていたので拾ってみると
どうやらリー・マーラのものらしい。
「2010年。5月。HCFと秘密組織ファミリーと密約を結ぶ。
私とジョンのお陰、HCFはBOW(生物兵器)の運用に関する協力と
生物兵器闇市場(ブラックマーケット)の現状安定の協力。
秘密組織ファミリーはBOW(生物兵器)やウィルス兵器による
世界の崩壊に起因する不安定な世界を創り出さぬようワクチンや
治療などあるいは世界崩壊、不安定な世界を創り出す犯罪組織や
テロリストの壊滅の協力。そしてお互いの利害が一致し、密約を結ぶ」
「どうやらファミリーはBSAA以外にもHCFと協力関係を。
わりと世渡り上手ですね。正直羨ましいです。」
 
(第44章に続く)