(第46章)GO TEL AUHT RHOAY(ローディ叔母さんに言いに行きな)

(第46章)GO TEL AUHT RHOAY(ローディ叔母さんに言いに行きな)
 
R型』は2階建ての広い洞窟を利用した広大な部屋の2階部分から
必死に応戦するクエントと烈花を見てくすくすと笑い見ていた。
やがて『R型』は不意に「今のあたしの心情を歌ってあげる!」
やがて『R型』は愛らしい声で歌い始めた。
日本語と英語を交えて独自にアレンジされて。
「結んで♪開いて♪手を打って♪結んで♪まーた開いて♪
手を打って♪その手を頭に♪
GO TEL AUHT RHOAY(ローディ叔母さんに言いに行きな)
GO TEL  AUHT  RHOAY(ローディ叔母さんに言いに行きな)
GO TEL AUHT RHOAY(ローディ叔母さんに言いに行きな)
誰ーもがDEAD(死んだってね)
私は大好きなテレビ番組と共に育てられた
でも囚人に仮釈放なんてない
小汚い大人達は私を閉じ込め、魂さえ奪っていった♪♪
(大好きなテレビ番組を奪った奴らは恥だと言うのに)
私が呼んだら彼はやって来るだろおーっ♪♪
彼女は彼に例の奴らだと答えてやるんだあーっ
結んで♪開いて♪手を打って♪結んで♪
まーた開いて手を打って♪その手を両腕に♪
済んだ時には、彼の両腕はめいいっぱい伸ばされてバラーバラに引き裂くんだ
GO TEL TUHT RHOAY(ローディ叔母さんに言いに行きな)
GO TEL TUHT RHOAY(ローディ叔母さんに言いに行きな)
GO TEL TUHT RHOAY(ローディ叔母さんに言いに行きな)
そしてだーれもがーあっDEAD(死んだってね)
結んで♪開いて♪手を打って♪結んで♪
まーた開いて、手を打って♪その手を両胸に♪
小汚い大人達の身体はめいいっぱい風船のように膨らんで次々と破裂して死ぬんだ
GO TEL TUHT RHOAY(ローディ叔母さんに言いに行きな)
GO TEL TUHT RHOAY(ローディ叔母さんに言いに行きな)
だーれもが♪みーんな♪みーんな♪みーんな♪
DEAD(死んだってね)
GO TEL TUHT RHOAY(ローディ叔母さんに言いに行きな)
GO TEL TUHT RHOAY(ローディ叔母さんに言いに行きな)
GO TEL TUHT RHOAY(ローディ叔母さんに言いに行きな)
そこで『R型』は歌うのを止めた。
R型』はしばらく黙り込んでいた。
「それがあんたの今の心情だな?」
烈花は両腕を組み、2階の高台にいる『R型』を見上げた。
「大人に対する憎悪や怒りが込められていますね」
クエントも深刻な表情で言った。
「ああ……そうだな……だが!」
烈花は目をつぶり、再び開いた。
彼女の脳裏にクレーマー・タック事、
シイナ・カペラが残したテープの内容を思い出した。
「ハロー烈花!ゲームをしよう!
君はかつて偶然にも『R型』を産み、その母親となった。
そして君は今この洋館で反メディア団体ケリヴァーの酷い仕打ちによって
暴走し、この洋館は地獄と化した。
君は自分が真の母親故に『R型』を殺したくないと思っている。
君のゲームはすでに大人に対する信用を失い、復讐の権化と化した
R型』を説得し、真の母親だと伝える事だ!
R型』を信用させ、母親の愛情を与える事が出来るか?
R型』を生かすか殺すかは選択は君次第だ!」
ああ……そうだ……俺は!あの子の母親だ!俺があの子を止めないと!
ああ……そうだ……。でも……俺は俺はっ!」
烈花は決意したかのように2階の高台にいる『R型』を見上げた。
「今!そっちに行くぞ!」
烈花は茶色の瞳で『R型』をしっかりと見た。
そして指をさし、こう叫んだ。
「まってろ!すぐにそっちに行ってやる!」
烈花はBSAAの服の内側のポケットとから一本の筆を取り出した。
そして烈花は筆の穂先を見た。
これは魔戒法師達が使う魔導筆と呼ばれるものである。
(いわゆる有名なハリーポッターの魔法使いや魔女が使う魔法の杖に当たるもの)
しかし本来、魔戒法師は人知れず魔獣ホラーと戦い続ける存在であり、
一般人には知られてはいけない。
その為、法術(ハリーポッターで言う魔法に当たる能力)
を人前で使用する事は原則として禁じられている。
さらに自分の正体を晒す事も原則禁止されている。
だからあくまでも魔戒法師としての素性を一般人や
世間から隠す為、あくまでもBSAAエージェントとしてここにいるのである。
だが烈花は階段も梯子もない高台にある2階部分を見た。
彼女はその2階建ての部屋内にHCFが仕掛けた
監視カメラがあるのは薄々感付いていた。
烈花は魔導筆を岩の床に向けた。
そして岩の上に『飛跳』という文字を書いた。
同時にハアッ!と気合を入れた。
するとドーンという大きな音と共に烈花の身体はあっという間に空高く舞い上がった。
続けて前転しながら高台の2階部分に四角い岩の床にストンと着地した。
少なくとも20mは飛んだだろう。そして烈花は目の前にいる『R型』と向き合った。
R型』と烈花の距離は10m程で四角い廊下の直線を走ればすぐに辿り着きそうだ。
『R型』はこちら側に来て欲しくないようだ。
「こっちに来ないで!近づいたら!殺す!」
『R型』は唸るようにそう言った。
「やめるんだ!『R型』こんな事をしても何にもならないっ!
怒りや憎しみからは何も生まれやしないんだ!」
「生まれるもん!怒りと憎しみで小汚い大人達が消え去り!
この世界は浄化されるのよ!純粋な子供達の大事な宝物を盗み、
壊し奪う行動しかしない大人達の存在はあたしの脳みその中に入っている
軍用AI(人工知能)があらゆる手段を用いて
全て排除していいって言っているのよ!」
「うん??AI(人工知能)が??」
烈花は訳が分からず無線機でクエンとに尋ねた。
シルトクエンとは一階でエロースの青く透明な触手の
多数連続攻撃を回避しながらこう答えた。
「恐らく『R型』の脳の一部に移植された軍用AI(人工知能
には予め『自らを脅かす存在、あるいはそのような行動を取る敵を
あらゆる手段を用いて排除するようにプログラムされているのかも知れません!
ただAI(人工知能)は高度な知能はあっても人間の感情も意志もありません!
恐らく生身の人間の脳を持つ『R型』の人間の感情と意志とAI(人工知能
の高い知能が結びついて異常な暴走を引き起こして……おっと!うわっ!
危ない!危ない!ですからまず!『R型』の感情と意志を鎮める必要があります!
のわっ!うわわわっ!どわあああっ!」
「おい!大丈夫か?生きているのか?」
「生きてますよ!何とか……多分!グローバルメディア企業は
『R型』や『リー・マーラ』あるいは『R-003』の脳の一部に移植した
軍用AI(人工知能)チップが複数の集積回路(IC)を組み合わせた
チップセットだとしたら?無闇に軍用AI(人工知能)の機能を停止させたら?
生身の『R型』の脳の神経回路に悪影響を及ぼすかも知れません!
ちゃんと専門家に軍用AI(人工知能)を詳しくきちんと調べないと!
とにかく!『R型』を説得してみて下さい!以上です!頑張ってください!」
「分かった!やるだけやってみる!以上だ!」
烈花は無線機をBSAAの服の内側にしまった。
「相談は終わった?でーも何をしても無駄よ!」
「いや!『R型』無駄にはさせない!何とかしてあんたを止める!」
「どうして?そこまでやるの?あたしの脳の中のAI(人工知能)も
止められないのに!あたしを殺しちゃうの?
その前にあなたを殺すわ!死んでしまえばいいっ!」
『R型』は天使のような悪魔の笑顔を浮かべた。
 
(第47章に続く)