(第24楽章)協奏曲・新たな命の誕生と消え行く男達と恐怖の記憶と前世の記憶

(第24楽章)協奏曲・新たな命の誕生と消え行く男達と恐怖の記憶と前世の記憶
 
翌朝、シャノンはソファーの上で静かに目を開けた。
更に彼女のは上半身を起こした。
それから間もなくして急に気持ち悪くなった。
えっ?何?これ?ううっ!ううっ!ヤバい!ヤバい!
シャノンはあたふたと近くに置いてあったゴミ箱の中にうげええっ!と吐いた。
間も無くしてペッと唾を吐いた。
これって?まさか?妊娠している?
気になったシャノンは慌ててバタバタとガレージの階段を昇り、
妊娠検査薬を持ってトイレに籠った。
間も無くしてシャノンは便座に座ったまま妊娠検査薬結果が出ていることを確認した。
その瞬間、シャノンは驚きの余り、片手で口を覆った。
「そんな!赤いセダンに化けられる男の子とあたしの子?
まっ!まさか?有り得ないわよね?えっ?どういう事?」
シャノンは状況を飲み込めず一人トイレの中で困惑した。
彼女は昨日の出来事を思い出した。
そう、あの時、あの赤いセダンにプロポーズされて。
それから赤いセダンの正体が15歳の男の子で彼を愛して抱いて……そうよ!
一方、さっきからガレージの中で赤いセダンに擬態して
今も眠っているアレックスもしっかりと覚えていた。
昨日の夜、シャノンとのセックスを終えた
アレックスは両頬を紅潮させ、うつ伏せにガレージの床に倒れて
小さく息をハアハア吐き続けている様子を上から見ていた。
アレックスはシャノンを正面から見ると彼女の大きな白い肌の
丸い両乳房は自らの身体とガレージの床で挟まれていて。
まるでハンバーグの様に潰れていた。
気が付くとアレックス事、俺はこのままだとシャノンが
風邪を引くと考えて近くのソファーにうつ伏せに寝かせた。
そしてシャノンの身体に毛布をかぶせた。
俺もシャノンもさっきのせいで全身が汗だくだった。
しかし昨日は暑い日だった事をようやく思い出した。
ひょっとしたら?余計暑い思いをさせたかも知れない。
しかし残念ながら昨日はシャノンとのセックスで体力を使い果たしてしまい。
頭がうまく回らなかったので俺はまた元の位置に戻ってアレックスの姿から
赤いセダンに変身した後に眠っちまった。
あと!そう言えば!あのシャノンともう二人の日本人女性の細胞を乗っ取って
寄生された『新生されし俺その1』と『新生されし俺その2』
はどうなっちゃったんだろう?
一人目の『新生されし俺その1』は
ニューヨーク市警の日本人の婦人警官で名前は大林愛佳だったな。
俺は3日前に彼女に酷い暴行とレイプされかけたところを
アメリカ人の男をぶちのめして。そのあとはー。
俺は自分の体内であの最初の異変を感じたんだ。
それで俺はついつい愛佳にキスをしたんだ。
とても柔らかく気持ちよかったな。そして俺は背後からセックスをして。
初めて俺の体内で誕生した『新生されし俺その1』を彼女の胎内に流し込んだ。
それからしばらく俺は彼女を観察して見たがめぼしい変化は全く無かった。
次に『新生されし俺その2』が俺の体内で誕生してー。
あのチャイナータウンで空手道場をしている七瀬アイルから
同じ日本人の悪ガキをぶちのめして追い払って。
それでまた背後からセックスをしてー。
『新性されし俺その2』を彼女の胎内に注入した。
でもしばらく観察しても何にも変化はなかった。
もしかしたら?妊娠しているかも知れないな?
あったとしてもせいぜいその位か?うーむ!
 
BSAA北米支部内。
ジルと鋼牙はマツダBSAA代表からの報告を会議室内の机に座り聞いていた。
マツダBSAA代表によるとー。
最近、3日連続で4人の若い男性が相次いで失踪する事件が発生していると言う。
すると鋼牙とジルはお互い意見を交し合った。
「多分、4人の若い男性が失踪する事件はきっと……」
「もしかしたら?1年前にジルの子宮を利用した寄る辺の女神による
魔獣転生によって賢者の石との強大な力を得て
転生した新生され魔獣の子らの仕業かも知れん。」
「もしかしたら!ニューヨーク市内に住む5001人もの若い女性達を
一斉に妊娠させた事件にも何か深い関わりがあるかも知れん!」
そして鋼牙とジルとザルバは早速、
4人の若い男性達の連続失踪事件について調べ始めた。
 
シャノンの隣の空き家。
自らの存在について悩める青年アヴドゥルは昨日の深夜に
仲間が完全に眠ったのを良い事にこっそり空き家を出て散歩していた。
それから夜の涼しい風に吹かれて涼んでいるとふとシャノンの家が気になった。
彼はシャノンのガレージの僅かな隙間からこっそり覗いていた。
その時、クラマとシャノンが口論し、更にクラマはシャノンの右頬を叩いたり、
腹にパンチを食らわせて暴行を加えていた。
アヴドゥルはそれを見て思わず怒りを感じ、両手で固く拳を握った。
立ち上がってシャノンを助けようと一瞬考えた。
しかし自分がシャノンやクラマに顔や姿を見られてしまったらー。
俺のせいで他の仲間達の爆弾テロが発覚してしまうかも?
そう考えてしまい、彼は助けに一歩を踏み出す事が出来なかった。
更に見ているとクラマは鉄パイプで赤いセダンを壊そうと振り回していた。
しかしなかなか壊れずクラマは今度は壊れない事に苛立ち、
クラマは後部座席に乗り込んだ途端いきなり車のドアが勝手に閉まり、
車内へ閉じ込められたクラマがやがて右手だけ溶けて白骨化して
消失するところまでアヴドゥルは目撃してしまった。
恐怖の余りアヴドゥルは顔を真っ青にした。
両目を大きく見開き、魚のように口をパクパクさせた。
更にシャノンの目の前で赤いセダンから15歳の少年の姿に
変身した事で更に驚いてしまった。
しかも15歳の少年はシャノンを背中からセックスしていた。
更に15歳の少年はシャノンと共に性的興奮が絶頂に達した。
同時に15歳の少年の口がビリビリと耳まで裂けた。
続けて下顎も真っ二つに裂けて4対の牙が生えていた。
更に2対の太く長い触肢を伸ばし、背中の皮膚が裂けて
太い蜘蛛の脚が2対生えてくる様子もアヴドゥルは
自分の目ではっきりと目撃してしまったのである。
そしてアヴドゥルはその悪夢のような光景を偶然目撃して事で
ただただ恐怖を感じていたのを昨日の事のように覚えていた。
とにかく恐ろしかった。未だにあの光景が脳裏に焼き付いて離れない。
実際、思い出す度にアヴドゥルの額に大粒の冷や汗を流し、ガタガタ震えていた。
そしてー俺はー。あれは?もしかしたら?僕達とは違うテロリストで。
あれはきっとバイオテロニューヨーク市内で企んでいるのかも?
だったら警察やBSAAに通報すべきだな!
アヴドゥルは仲間が作業をしている合間を縫って木の机の隅の電話に目を向けた。
いや、あれで電話したら仲間にバレてしまう!やはりここはっ!
アヴドゥルは自分のズボンからスマートフォンを取り出そうと手を伸ばしかけた。
その時、はっ!と我に返った。
いやっ!駄目だ!駄目だ!そんな事をしたら!
我々の聖なる戦略のひとつである『聖なる爆弾作戦』(爆弾テロ)が発覚してしまう!
そうなれば俺が仲間に処刑されてしまう!!
アヴドゥルは自分が処刑されるのを想像してしまった。
その瞬間、血の気が引き、真っ青になった。
彼はしばらく悩んだ末に昨日の夜に自分が見た悪夢は
仲間にもBSAAにも警察にも話さず自分の胸にしまっておこう!!
そうしょう!そうだ!それがいい!忘れてしまおう!!
 
BSAA北米支部
鋼牙とザルバは何事か話していた。
「いいのか?まだ隠し通す気か?いつまでも隠し通せるとは!」
「思っていない!それはカオルの時で十分に懲りたさ!」
「だったら!そのコートの中の日記を見せるべきじゃないのか?」
「紅魔館の大図書館にこんなものがあったとはな……」
鋼牙は白いコートの赤い内側から一冊の古びた日記を取り出した。
日記は羊皮紙で出来ていて。
文字はフランス語で書かれているらしい。
書いた人物は。フランス語で『ジャンヌ・ダルク』と書かれていた。
鋼牙は考えつつも再びジャンヌ・ダルクの日記を白いコートの赤い内側にしまった。
それは別の人から見ればまるで手品のようだった。
数分後。鋼牙とジルは早速、ニューヨーク市内の店や道を監視している
防犯カメラを利用して怪しい人物や不審な人物や物体を探そうと
ニューヨーク市内に協力を呼び掛ける事をした。
間も無くしてOKの返事が返ってきたので早速ニューヨーク市警へ車で向かった。
その途中、ジルはふと思い出しように尋ねた。
「そういえば3か月前、一度留守にしていたわよね?
あの日は一体?何処に行っていたの?」
「ああ、3ケ月前か?用事があったのさ!怪しい所へは行っていない!」
「聞かなくてもわかるわよ!それで?」
鋼牙は更にジルに追及され、ふーつと息を吐いた。
「あーあの日は東方の幻想郷の紅魔館へ行っていた。」
「幻想郷?あたし達の世界とは違うの?」
「そうだ!人間と妖怪と獣と幽霊が共存し合う世界だ!」
「そうだぜ!俺様と鋼牙はその紅魔館の主に会った」
「何!きっと名前は覚えている筈だろう……」
「どう言う事かしら?」
疑問に思うジルに対して鋼牙は静かに口を開いた。
「紅魔館の主の名前は吸血鬼のレミリア・スカーレット!」
ジルは鋼牙からその名前を聞いた途端、初めてここで聞く名前にも
関わらず何処かで聞いた名前だと思った。
いや!知っている!そしてレミリアが何者かも!全て知っていた。
知らないのに。酷く懐かしい名前。まるで昔の知り合いのような。
私は人生で二度目のデジャヴに襲われていた。
これは?デジャヴ?と言う事は?これは?自分の前世の記憶?
 
(第25楽章に続く)