(第11楽章)魔人フランドールの必殺仕事人(序曲)

(第11楽章)魔人フランドールの必殺仕事人(序曲)
 
再び秘密組織ファミリーの本部に当たる大きな屋敷。
ジョン・C・シモンズは自室に幻想郷の魔人であり、
MSS(魔人保安警察)の一人、魔人フランドールを呼んだ。
魔人フランドールはジョンに「依頼は?」と尋ねた。
するとジョンは静かに切り出した。
「そうだ!現在、ニューヨーク市内で活躍中の日本のアイドルグループ
『NYK48』メンバーの山田真帆と
言う人間の女が大天使アズラエルに狙われている。
彼らは大天使カズフェルが計画していたジル・バレンタインか?
あるいはその娘アリス・トリニティ・バレンタインを神殺しとして
天界の東のミカド国(真女神転生Ⅳファイナルロウルート)
に連れ出す計画は見事失敗した。
そして連中は次の目標としてその山田真帆を狙っている。
彼女は最近、他のメンバーと悪質なアイドルグループの男が流出させた
個人情報や住所や時間が原因で男二人に暴行されかけている。
しかも2人がわざわざ住所を特定して家まで押しかけたそうだ。」
「まさか?裏で大天使アズラエルが操っていたと?」
「この部分は違う。しかし大天使アズラエルは山田真帆の暴行事件に便乗して
その彼女に暴行したファン、でも実際はファンでは無く
彼女と対立していたメンバーの太客だったと言われている。
そして大天使アズラエルはその3人を唆して彼女の殺害後に遺体を
大天使アズラエルの元に運び、大天使や天使達の神殺しとして復活させるつもりだ。」
「酷い話ね。トラウマの上に更にトラウマを植え付けるなんて」
「もちろん我々としてもそのような事は好ましくない。特に僕はね。」
「そう言えば大君主様もNYK48の山田真帆のファンでしたっけ?
CDとか?握手会に出て握手したとか?」
魔人フランドールの指摘にジョンは恥ずかしそうに顔を赤くした。
「まっ!まあね!」と照れ臭そうに笑って見せた。
魔人フランドールはフフフッ!と笑い、口を開いた。
「まあーいーわー人間の方も?」
「始末してくれ!人間2人。悪質なアイドルグループのリーダーの男。
大天使アズラエルだ!」
「OK引き受けたわ!」
魔人フランドールはジョンの依頼をニューヨークで一番有名な
高価なチョコパフェと大量の血を報酬に引き受けたのだった。
 
昼頃。例の数日前の暴行事件の被害者となった山田真帆は聖ミカエル病院の
精神科に2人の男に暴行された傷を癒すべくアシュリー・グラハム先生による
カウセリングを受けていた。それからカウセリングが終わった後は
聖ミカエル病院をあとにした。
そして彼女は病院を出て帰り道の道路を歩いている時、
彼女のすぐうしろの道路の曲がり角には白い車があった。
更に白い車には運転席に一人、また後部のトラックの中に2人の男が乗っていた。
山田真帆は周囲に気を配りながらもギョッとしつつも持っていた
白い鞄の紐をしっかりと掴み、神経質に全身を硬くした。
更につかつか歩き続けて、時々、後ろを振り向いた。
僅かな道路の角に白い車らしきものが見えた。
真帆は怯え切った表情をした。
彼女は自分がちゃんと守られているとは思えず、服のポケットから
NYK48の運営から支給された防犯ベルを取り出そうと手を突っ込んだ。
そしてただ歩き続けた。
一方、白い車は背後で真帆をゆっくりと追っていた。
真帆は帰り道の街中のトンネル近くまで来た。更に白い車を追っていた。
真帆は何を思ったのか?道を変えるようにトンネルの方を無視して
道を大きく右側に曲げた。白い車の大きく右側に道を曲げて真帆の後を追った。
その時、いきなり白い車の前の前に一人の10歳未満の女の子が
現れたので大慌てでブレーキして停車した。
その間にもカナは更に左側の道を通り歩き去った。
10歳未満の女の子は両手を眼元に当てて泣いていた。
「ひっくひっくえぐっえぐっ」と。
そして白い車に乗っていた3人の男は車の外へ出た。
「おいおいっ!あんた!このガキ!」
「邪魔しやがって!こんの!」
2人の男は怒って手を挙げようとした。
しかしリーダー格の男は怒り出した二人の男の子をなだめた。
「まあままあまあ。相手は所詮何もできないガキさ!」
リーダー格の男は白いスーツをピシリと決めた。
そして金髪のリーダー格の男はえっぐえっぐと泣きじゃぐっている
10歳未満の女の子の前にしゃがみこんだ。
「こらこら。お嬢さん!泣いているだけじゃ!分からないよ!
どうしたんだい?何があったんだい??」
金髪のリーダー格の男はニッコリと笑った。
すると10歳未満の女の子は泣きじゃぐりつつも
右手を近くの暗闇の方に向け、必死に声を上げ、こう言った。
「あっ!あっ!あっちにっ!あっちに!怖い人がいるのをーつ!」
「なんだ!怖い人?」
怖い人ね?うーんどこだろう?」
「お嬢ちゃん!怖い人なんてどこにも……ぐはあっ!」
ブシュウウウウッ!と言う音が響いた。
金髪にリーダー格の男は胸部に鋭い痛みを感じた。
両眼を見開き、自分の胸部を見た。
10歳未満の女の子はいつの間にか神の小太刀『ウラーヌス』の
真っ青に輝く刀身がその金髪のリーダー格の男の胸部をやすやすと
衣服と皮膚を貫いていた。更に10歳未満の女の子はさっきまで
泣き虫だった表情は一変し、無表情で真っ赤に輝く眼球で金髪の
リーダー格の男に厳しく鋭い視線を向けた。
続いて静かにこう言った。
怖い人が何処にいるか教えてやろうか?おめえの目の前だよ!」
続けて10歳未満の女の子、そう魔人フランドールは更に神の小太刀『ウラーヌス』
の真っ赤に輝く刀身で更に金髪のリーダー格の男の男の胸部を深々と刺し貫いた。
ブシュウッ!と更に大きな音が響いた。
「ぐぼおっ!がっ!ぐっ!がっ!」
間も無くして金髪のリーダー格の男は魔人フランドールによって
心臓を一気に刺し貫かれ、そして息絶えた。
やがて金髪のリーダー格の男は魔人フランドールが神の小太刀『ウラーヌス』
を突き破った胸部から引き抜かれたと同時に仰向けに大の字に倒れた。
生きていた男二人は顔を真っ青にして慌てて白い車に乗ろうと一斉に走り出した。
しかし魔人フランドールがみすみす見逃す筈は無かった。
魔人フランドールは再び神の小太刀『ウラーヌス』を両手でしっかりと握りしめた。
同時に魔人フランドールは走路のアスファルト
力強く踏みしめて大きくジャンプした。
続けて魔人フランドールは素早く神の小太刀『ウラーヌス』を持っていない右手を
もう一人の顔面を掴み、一気にアスファルトの道路に仰向けに強引に叩きつけた。
もう一人の男は顔面を魔人フランドールに掴まれ、両手足をジタバタと
上下に無様に振り回した。もう一人の男は魔人フランドールの小さな手によって
もはや10歳未満の女の子とは思えない万力でもう一人の男の顔面を
しっかりとアスファルトの道路に押さえつけられ、何も身動きが出来なくなっていた。
彼な泣き叫びたいと思ったが魔人フランドールの小さな右手によって口を塞がれて
モゴモゴと必死に命乞いをしようとも声を上げられなかった。
魔人フランドールはそんな無様なもう一人の男を真っ赤な瞳で
見つめながら無表情でこう言った。
「これがあの山田真帆に与えた絶望と恐怖だ!よく噛みしめてから逝きな!」
続けてもう一人の男の胸部に神の小太刀
『ウラーヌス』をズブリッ!と深々と突き刺した。
「ぐぼばあっ!がっ!ぐっ!ごおっ!」
更に魔人フランドールは更にもう一人の男に止めを刺すべく更に深々と突き刺した。
「ぐばああっ!ぐぼおおっ!ぐっ!」
そしてもう一人の男は完全に息絶えた。
最後の一人は悲鳴を上げて車の中に入ろうとした。
しかし魔人フランドールは素早く移動し、今度は最後の男の背中に
神の小太刀『ウラーヌス』を突き刺した。
「ぐっ!がああっ!ごおおっ!」
魔人フランドールはより深々と神の小太刀『ウラーヌス』を
更にどんどん深く最後の一人の男の背中に突き刺し、
やがて青く輝く刀身は心臓を貫き、胸部を貫いた。
「うっ!がっ!ごっ!」
魔人フランドールは徐々に生命を失い、冷たくなりつつある
最後の男に静かに冷たい声でこう言った。
「なーにがアイドルのファングループよ!聞いて呆れるわね!」
魔人フランドールは最後の男が完全に息絶えた事を確認すると
素早く真っ青に輝く神の小太刀『ウラーヌス』を最後の男の背中から引き抜いた。
最後の男は開きっぱなしの白い車の運転席の
椅子にうつ伏せに倒れ込み、完全に死んだ。
魔人フランドールは青く輝く神の小太刀『ウラーヌス』をヒュッと
上下に軽く振り、血払いすると消失した。
魔人フランドールは静かに音も無く空高く舞い上がり、完全に消失した。
そして残ったのは刺殺されて倒れている男3人と白い車が残されていた。
間も無くして魔人フランドールによって殺害された男3人の遺体は
近所を散歩していたおじいちゃんによって発見され、警察に通報された。
そして昼のトップニュースになった。
昼のニュースではその何者かに殺害された男3人の遺体の司法解剖の結果。
共通して心臓を一撃で貫かれてほぼ即死の事からこれは物盗りや単なる
通り魔では無くプロの殺し屋の犯行と断定され、世間に公表された。
そしてネットではお祭り騒ぎになった。
一部では男3人を殺害した犯人は運営が雇った殺し屋説。
ファンの権力者が雇った殺し屋説。
運営が対処しない代わりに誰かが対処した説。
色々な噂がネットの中で飛び交ったがどれも真相ははっきりとせず殺害現場に
被害者の血痕は残っているものの犯人の指紋はおろか髪の毛一つも残っていなかった。
とにかくプロの殺し屋である事は確かだった。
 
(第12章に続く)