(第12楽章)魔人フランドールの必殺仕事人

(第12楽章)魔人フランドールの必殺仕事人
 
ニューヨーク市内にあるキリスト教の教会。
ちなみにこの教会はチェルシー地区の外れに位置していた。
そしてその教会の中で一番大きく広い礼拝堂の多数の椅子が
並んだ四角い奥のイエスキリストが磔にされた石像の中央に大天使アズラエルがいた。
大天使アズラエルは赤い帽子を被った2つの頭部。
額には死を象徴する髑髏が埋め込まれ、2つの頭部に
付いている顔は大人びた青い死人のような肌をしていて、両瞳は紫色に輝いていた。
また胸部にも巨大な長い緑の髪と口髭を生やした
中年男性の顔があり、両眼は紫色だった。
下半身は白い布に巻かれた飾りが付いた金色のスカートを履いていた。
両足は地面に浮いていた。背中には青い鳥のような巨大な翼が4対生えていた。
また片手には緑色の髪をした中年男性の頭が先端に付いた細長い銀の杖を持っていた。
やがて教会の扉が開き、誰かが入って来た。
そして小さな声で大天使アズラエルに声を掛けた。
「山田カナさんの遺体を運んで来ました!」と。
すると大天使アズラエルはしめしめと笑い、こう返した。
「ごくろう!ごくろう!早速!神殺しとして生き返らせよう!」
しかしそこに現れたのは魔人フランドールだった。
「きっ!貴様っ!魔人フランドール!魔王ベルゼビュートのッ!」
大天使アズラエルは紫色の6つの眼をカッと見開いた。
次の瞬間、ドアアアン!と言う爆発音と共に巨大な赤とオレンジ色の
混じった炎が魔人フランドールの全身を包んだ。
「貴様は!人間と悪魔の混血!忌まわしき存在!この!
この汚れ切った魂と肉体を持つ忌まわしき生き物っ!
この刹那すら生かしておけぬっ!ケガレ中のケガレの禁忌の存在め!」
大天使アズラエルはさっき攻撃によって魔人フランドールの
身体は完全に焼き尽くされて消滅したと思っていた。
間も無くして灰色の煙と炎は消え去った。
しかしそこにはさっき爆発を受けたのにも関わらず
傷一を負う事無く堂々と魔人フランドールが立っていた。
そしてまた大天使アズラエルに唆されて動いた人間の男3人と
悪質なアイドルグループの『ジョーカー』を全員殺した時と
同じように無表情で真っ赤に輝く眼光を放ち、大天使アズラエル
厳しく冷たい鋭い視線を向けていた。
すると大天使アズラエルは驚き、悔しそうに口を歪めた。
「くそっ!ならば!聖なる光で滅せよ!」
魔人フランドールの周囲に3つのひし形の光が現れた。
同時に3つのひし形は十字架に変わった。
そして凄まじくまばゆい光が魔人フランドールの身体を覆い尽くしたが
全く、何も、全然、これっぽっちもダメージを受けていた。
「くそっ!審判をもたらす私の光が効かぬだとっ!」
続けて大天使アズラエルの紫色の4つの眼の他に全身の無数の
紫色の眼が青い瞼を閉じて開き、一斉に瞬きした。
続けて紫色の4つの眼と全身の眼から巨大な紫色の眼が
青い瞼を閉じて開き、一斉に瞬きした。
続けて紫色の4つの眼と全身の眼から巨大な黒紫色に輝く死の呪いを象った
ギザギザの蛇の形をした刻印が放たれたがそれを魔人フランドールは
目にも止まらぬ速さでオレンジ色に輝く両刃の長剣にして燃え盛る神の大剣
『レーヴァティン』で死の刻印を一刀両断した。
続けて魔人フランドールは走り出した。
大天使アズラエルは慌てて円形に輝く円形の鏡を形成した。
しかし魔人フランドールは躊躇なく燃え盛る大剣『レーヴァティン』
の鋭利な先端を真っ赤に輝く円形の鏡に叩き付けた。
同時に赤く輝く円形に鏡をいとも簡単にガラスのようにパリンと砕けた後に
大天使アズラエルの胸部の長い緑色の口髭を生やした
中年男性の男の顔面を一瞬で刺し貫いた。
「うぐおおおおっ!バカなっ!私は死の天使だぞ!何故っ!私がッ!」
魔人フランドールは無表情で真っ赤に輝く眼光を大天使アズラエルに向けた。
続けて口をゆっくりと開き、冷たい口調でこう言った。
「この刹那すら生かしちゃ置けねぇのは。お・ま・え・だ・よ!」
更に魔人フランドールは燃え盛る大剣『レーヴァティン』を
更に深々と大天使アズラエルの胸部に突き刺した。
「ぐうぼおおおっ!がああっ!はっ!」
大天使アズラエルは息絶える直前、魔人フランドールの
言葉を聞き、悔しそうに顔を激しく歪ませながら全身が
ガラスのように粉々に砕け散り、完全に消滅した。
「残念だったわね!神殺しのアイドル来たらずよ!」
魔人フランドールは燃え盛る神の大剣『レーヴァティン』を消失させた。
その後、何食わぬ顔で静かに教会を後にした。
数時間後。ニューヨーク市内のチェルシー地区の上空を
飛行中の魔人フランドールは山田真帆の命を狙った3人の男を。
教会で大天使アズラエルも首尾良く始末して仕事がつつがなく
完了した事を携帯型の魔道具を尖った耳に当てて
依頼主のジョン・C・シモンズに報告した。
「もしもし?ジョン!仕事は完了よ!ちゃんと取引の大量の人間の血液と
ニューヨークで一番有名な高価なチョコパフェを用意するのを忘れないでよ!」
「ああ!分かっているさ!君は屋敷に戻って食堂で待っていたまえ!
こちらの大事な仕事が終わったらそちらへ行く!」
「大事な仕事って?」
その時、魔人フランドールの携帯型の魔道具を通じてカラカラと台車が動く音や
何人かのスタッフやカメラマンと思わしき人々の声が聞こえて来た。
「なに?なんか特撮とかでもやるの?」
「いやいや、そうじゃないさ!真面目な仕事さ!
いよいよ僕の野望が動き出そうとしている。僕達の意志を。
少々マルセロ博士の協力で一時的にテレビをジャックする!」
「例の魔獣新生多神連合の宣伝??」
「まあーそうさ!楽しみにしてくれたまえ!」
「ええ、分かったわ。楽しみにしてあげる」
『政治はショービジネスさ!最高のショーを見せよう!』
 
(END)