(第4章)楽しいスキー授業

次のゴジラの自作小説です。

(第4章)楽しいスキー授業

伊達市船岡町の地下にある研究所では、5人の若い女性研究員が、
テレビのニュースで北海道沖を移動しているゴジラの様子を観ていた。
 黒髪の女性研究員はソファーに座り、飴玉の袋を開けながら
「へえ~これがゴジラなんだ……初めて見たわ!」
その隣に座っていた金髪の女性研究員は嬉しそうに
「なんか……すごくかっこいいわね!サンドラ!」
飴玉を舐めながらサンドラは
「うん!男前ね!人間は『怪獣の王様』って呼んでいるわ!シャラン!」
 ソファーに座っていたシャランという名前の金髪の女性は、
「王様?だから通りで堂々とした泳ぎ方をしているのね!」
すると別の方向から3つ網の女性が笑いながら
「怪獣の王様だけあって子供もたくましそうね!」
サンドラは
「実際、子供も親に負けず劣らず物凄くタフでとても強いらしいわ!レイ!」
レイと呼ばれた3つ網の女性研究員はため息をつきながら
「もし人間だったら絶対アタックしちゃうかな?どう?レベッカ?」
レイから3列目に立っていたレベッカと言う女性研究員は、
「でも……かなり危険らしいわよ!」
もう一人の黒髪の眼鏡をかけた女性研究員は
「長野ともう一人の生徒はどうなったのかしら?」
と言った。レイは
「うまくやっているわ!メイスン!」
レイは机の方に歩いて行き資料を持って来ると、
「皆!これを見て!」
とソファーの近くの机に置いた。
レベッカ
「これは?M塩基ね!」
レイは頷くと
「人間のDNAにはね!アデニン、グアニン、シトシン、
チミンの4つの塩基しかないんだけど!ミュータントにはね!4つ
の塩基の他にM塩基というのがあって!M塩基はテレパシーに
強く反応する物質で、ミュータントの中に何万分の一の確率で
生まれる『カイザー』は、この物質を持っている怪獣やミュータント達を
意のままにあやつる事が出来るらしいわ!」
サンドラは
「それじゃこのM塩基を利用すれば!ゴジラも?」
レイは
「いや!ゴジラはM塩基で支配出来無いらしいわ!ゴジラはM
塩基が突然変異したG塩基という物質を持っていて、M塩基の
テレパシーの支配を遮断する力とか、他にも宇宙から来た未知
の病原菌やウィルスから守る為の強い抗体を作り出したり出来
るらしいわ!」
レベッカ
「まさに!理想の物質!」
シャランは
「生命の強い味方!」
レイは
「もはや!X星のM塩基の支配技術はもはや時代遅れ!」
レベッカ
「これはいらないわね!」
と言うとM塩基について書かれたメモを丸めてゴミ箱に捨てた。

 翌朝、ニセコのスキー場では早速、凛のクラスはホテルの目の前にある
ゲレンデでスキー授業を始めた。
 凛と山岸はリフトに乗って初滑りを始めた。
凛と山岸は一緒にスキーで滑っていたが何度も途中で転んでいた。
それに引き換え、洋子と蓮は自分が制御できる範囲内でかなりスピードを出していた。
 凛は密かに隠し持っていたデジタルカメラを取り出し、滑っ
ている蓮と洋子を撮影した。洋子と蓮は最後の坂の途中にある、
ジャンプ台の方へ滑って行き、そのまま勢い良く
「キャー!」
「ヒャッホ!」
と大声を上げ、高くスキージャンプをした。
洋子は綺麗に着地したが、蓮はそのまま転がった。
その拍子に片方のスキー板が外れた。
するとたまたまジャンプ台の近くに居合わせた友紀が
すぐに急カーブして蓮のスキー板を手に取ると、あわてて蓮の
所へ向かった。友紀は
「大丈夫??」
蓮は笑いながら
「大丈夫!平気さ!」
と言いながら立ち上がった。
 その様子を上の方から唖然とデジタルカメラで撮影していた
凛は
「あたし達は……スキー板を八の字にして……ゆっくり降りましょうか?」
山岸はしばらく無言だったがやがて
「うん!そうしよう……凄いね!洋子ちゃんあんなにスキーがうまかったんだ!」
凛は
「蓮君や友紀ちゃんも凄いね!」
とそれぞれの顔を映し感想を録画した。
「シャ―」と音が聞こえ、友紀が滑って来る様子が映された。
「お二人さん!元気!!ねえ?蓮君と洋子ちゃんの滑り見た??」
凛は
「ええ……凄いわね!」
友紀は
「よかった洋子ちゃん!楽しそうで!」
凛はデジタルカメラを山岸に向け
「そうね……よかったわ!さあ!ここを滑り終えたら一回休憩しましょ!」
と言った。
 そして凛は記念に山岸と自分の八の字のスキー板を撮影し、
ハの字の解説を録画した。
ついでにゲレンデを颯爽と、下にあるリフトに向かって滑る友紀も撮影した。
そして凛はカメラの電源を切ると、再び山岸と共に八の字でゆっくりと滑り始めた。
 一方蓮と洋子はリフトに乗り、今度は中級コースを滑り始めた。
 一時間後、たちまち外は強い風と共に真っ白の粉吹雪が舞う
大吹雪になった。まるで南極にでも来たかのような大雪で全ク
ラスは目の前が真っ白で何も見えなかった。凛のクラスは無事
ホテルに着いて、我先にホテルの中へ入って行った。凛や山岸、
友紀の3人はホテルの中に入り、急いで自分の部屋に戻ると
スキーウェアーを脱ぎ捨て、ストーブで体を温め始めた。
 洋子と蓮が部屋に戻ろうとした途中、長野先生に出くわした。
長野先生は洋子に
「洋子さん!後で話がしたいの!あたしの部屋にいいかしら?」
と言うと洋子を連れて行ってしまった。蓮はその長野先生の態
度が気に食わず、自分は部屋に戻る振りをして、洋子と長野先
生が歩き始めたのを見計らい、こっそり尾行した。
しばらくすると、廊下でデジタルカメラを持って、
ばったり出会った友紀が
「何しているの?」
と聞いて来たので蓮は「しーっ」と指を唇に当てて静かにさせた。
 やがて2人が部屋に入ったのを見計らい、蓮と友紀がドアの
前に近づき部屋の中の声を聞こうと聞き耳を立てた。部屋の中
では長野先生の声が聞こえた。
「あなた好きな人がいるのね?」
さらに洋子の声が聞こえた。
「いや……気になる人はいるけど……どうして?」
長野先生は
「あなたに真実を話す時が来たわ!あなたが本当は誰なのか
 友紀はヒソヒソ声で蓮に
「何かしら?洋子ちゃんが誰って?」
蓮は再び「しーっ」とまた友紀を静かにさせた。

(第5章に続く)

では♪♪