(第3章)洋子の悪夢

こんばんわ畑内です。ゴジラの自作小説です。

(第3章)洋子の悪夢

「地球外寄生生物および未知の伝染病対策会議」で、
米国生物多種多様性センターの関係者の一人は
「ええ……我々は地球外から来た寄生生物が起こしたとされる
事件を始め、未知のウィルスやバクテリアによる伝染病の調査
を長年続けていました!特に最近は、鹿狩りが盛んなアメリ
の田舎町で、犬や猫、家畜の牛が大量に殺されることがありました。
調査の末、何かに寄生された1匹の猫と、男女合わせて
数百人の死体を回収しました。それはアメリカの地球防衛軍
部の「特殊生物保管庫」に厳重に管理されています!
また、環境会議センターの建設予定地付近の下水道内に未知の細菌が現
れた事も分かりました。2人の生存者の証言では『幻覚で人を殺す』との事です!」
と説明した。
波川司令は
「よろしい!」
と答えた。
分子生物学者の音無美雪は
「また北海道で発見された多数の怪獣の凍死体に関連して……」
と言うと巨大なスクリーンに何かを映し出した。
5体の人間のサイズの蛇と蜘蛛を掛け合わせた生物の抜け殻で、
身体は青色で頭部には2本の触角があり、また下顎だけが二つに裂けていた。
「この生物はカナダで回収され、『特殊生物保管庫』に保存されていた物です!
この抜け殻から出た5体の生物は、最近の調査では、
人間に変身してこの日本に潜伏していると思われます!」
と説明した。
M機関の尾崎はスクリーンに、擬態している可能性が高い人物
の名前の一覧を映し出した。
尾崎は
「凛ちゃんと同じ高校に通う生徒や先生も含まれています!」
美雪は
「この生物はカナダの大学でも同様の手口を使っています!」
と説明した。

北海道ニセコのホテルのベッドで眠っていた洋子は夢を見ていた。
(どこか狭く暗い場所にいた。)
(やがて抜け出し僅かな太陽を見た。)
場面が変わり途切れ途切れに
(夕日)……(青い車)……
(自宅の近くの通学路)……
(5人の若い女性の一斉にゾッとするような冷たい微笑)
洋子は
「あなた達?なんなの?」
と混乱した様子で言った。
夢の中の女性達は一斉に黒い影になり、蛇と蜘蛛掛け合わせた
何かが……
そこで洋子は
「キャアアアッ!」
と悲鳴を上げて飛び起きた。
隣のベッドに寝ているふりをしながら、洋子の寝顔を録画して
いた蓮が驚いた表情で飛び起き、画面が激しく上下に揺れた。
丁度見回りに来ていた長野先生が慌てふためいた様子で部屋へ入って来るなり
「どうしたの?」
と聞いた。
蓮はそのまま暗闇でも見える機能でデジタルビデオの撮影を続けた。
カメラを洋子の方に向けると、洋子は何かにおびえた
様子で泣きはらした顔を黙って下に向けていた。
そのまま洋子を映していると、長野先生が優しく
「怖い夢を見たの?もう高校生だから??」
と言った。
蓮はその言葉を聞いて腹が立ったが、余計な混乱は
避けたいのでわき上がった怒りを我慢した。
その代償に怒りで体が震え、しばらくデジタルカメラが上下に激しく揺れた。
長野先生がドアを開けて去る様子を映すとすぐに、蓮はテーブ
ルにカメラを置き部屋の電気を付け、水を入れた
コップを彼女に渡す様子が少し斜めの角度で録画された。
洋子は
「ありがとう……だいぶ落ち着いたわ……」
と感謝の言葉を言うと、蓮に空のコップを手渡した。
蓮は安心した顔で
「そう……良かった!また例の悪夢を?」
と聞いた。
洋子は黙って頷いた。
蓮は
「大丈夫!僕と友紀が付いているよ!」
と笑顔で言った。
洋子が
「本当にありがとう……」
と再び感謝の言葉を述べた瞬間、デジタルカメラのバッテリー
が切れ、画面が真っ暗になった。
その後2人は就寝した。

東京の練馬区特殊生物研究所では、洋子の両親と国連の関係者
が何事かを話していた。国連の関係者の一人は
「もう一度確認して置きます……『洋子さんは実の両親は分か
らず、あなた達がカナダに旅行に言った時、身寄りのない彼女
を引き取った』これは間違いないですね?」
洋子の母親はかなり苛立った様子で
「はい!間違いありません!」
と答えた。さらに国連の関係者は
「あともう一つ確認させて頂きます!洋子さんは……」
と言い掛けた時、洋子の父親が怒った様子で
「いい加減にして下さい!大体なんなんですか?いきなり私達
を呼び出して!」
と声を荒げた。しかし国連の関係者は冷静に
「落ち着いて下さい!これは重要な事です!お願いですから!
最後まで協力して下さい!」
となだめた。洋子の父親は
茶色のサングラスで国連の関係者を睨みつけると椅子に座った。
国連の関係者は
「洋子さんは毎夜悪夢を見ているらしいですが……具体的にど
んな夢か教えていただけませんか?」
と言うと紙とペンを差し出した。しかし両親は洋子が見たその
夢の内容には「知らない!」の一点張りで答えた。
やがて質問が終わり、両親は家へ帰された。

(第4章に続く)

今後の展開に期待して下さい♪♪