(第2章)闇の森の神(前編)

(第2章)闇の森の神

ここは中国・上海ほど遠くないところにある山奥で
巨大で古いオオカミの形をした砦のような遺跡の中を
数人の中国人が、ろうそくの明かりを頼りに進んでいた。
名も知られず、他の人々が発見した事の無い遺跡だった。
やがて広い場所に出た。そこはホールのような空間だった。
その壁には巨大な黒い竜の絵が描かれていた。
さらに中国人達が良く見ると、頭部に長い角があり、
背中と肩に1993年に現れたスペースゴジラに類似した暁色の結晶が生えていた。
それはインファント島にあったある壁画にもよく似ていた。
その絵の下には漢文の長い文章があった。
中国人の一人がそれを読み始めた。
「闇の森の神…魂の一部を蘇らん…彼は…
東方の地で…とする…そしてモスラ一族に…」
その先の文章は何かに破壊されて全く読めなくなっていた。
もう一人の中国人が「これは?一体何でしょうか?」
その文章を読んでいた中国人は「恐らく…我々が探していた闇の森の神
の存在を示す重大な手がかかりになる!!」
と言った。果たして闇の森の神とは何なのか?

中国の上海にある研究所で、樟運唯蛙佑
中国人3人がG塩基について話し合っていた。
陳天来は
「G塩基は我々が調べたところ、M塩基が何らかの理由で突然変異したものらしく……」
とお茶をすすりながら話を続けた。
「G塩基が存在するのはゴジラモスラ、そして国連の分子生物学者のある親子だけだ!!」
すると高新一は
「そしてその分子生物学者の一人娘がターゲットだ!!我々はミュータントの
『カイザー』に次ぐ新しい存在として『カイザー02』と呼んでいる。正確な確率
は不明だが……『カイザー』より貴重かも知れ無いと我々は思っている」
中国人の張強は
「G塩基を持つ生物はどのような能力があるでしょうか?」
と尋ねた。

国連の娘の凛と強い因縁を持つ『甲殻類』との戦いから3年後の2023年。
破壊された東京やアメリカでは都市の復興計画が進んでいた。
しかしその『甲殻類』の群れが発生させた化学物質により、環境問題が深刻化し、
特に東京やアメリカの都市いたるところで砂漠化が発見され、
深刻な社会問題になっていた。
テレビで環境問題の専門家の意見では
「……数年後には東京の街やアメリカの街を始め、
地球上は砂漠化して埋もれてしまうでしょう」と語られた。
政府や国連は世界中の都市の砂漠化を防ぐために『例の甲殻類』の群れが発生さ
せた化学物質の残留地域などを調査したが、ほとんどの化学物質は何かに中和さ
れていて幸いにも無害だった。
それでも微量ではあるがその化学物質が残っている地域もあった。
現在ではその化学物質の除去対策を検討している。

中国の上海にある研究所では、G塩基について中国人の強張が樟運佑旅眇薫譴
「G塩基を持つ生物はどのような能力があるでしょうか?」と尋ねていた。
高新一は
「G塩基を持つ生物はまだ調査中の為、詳しくは不明だが……
分かった事は……」と言うと数枚の資料を取り出した。
楊国花は
「これは?」
高新一は「G塩基について調査中の資料だ!!」
その資料には
「1・G塩基を持つ生物は強力な自己再生能力を持つ」
「2・G塩基を持つ生物はテレパシーやコントロール電波の影響を受けず、
さらにテレパシーに影響を与えるM塩基を駆逐させることができる」
また、「操られているミュータントや怪獣達の脳内に強力な電磁パルスに良く似
た脳波を送りM塩基を破壊して、コントロールから解放させたり、他に感情が一時
的に高ぶり、自我を一時的に失うと、電磁パルスによく似た脳波を敵の脳内に直
接送り込むことにより、相手が攻撃する前に精神的にショックを与え、相手の戦
意を喪失させる事が出来る様である。」と書かれていた。
孫飛山は
「つまり……それが殺気の正体ですね……」と笑いながら言った。
高新一は
「それで……例の少女の研究をどう進めるご予定かな?」
と笑いながら言った。

(第3章に続く)