(第3章)逃亡者

(第3章)逃亡者

CCI・真鶴特殊生物研究所―

東京の仮設研究所から強引に運び出された美雪は隔離された個室のベッドの上で目覚めた。
美雪は眩しくて顔を手で覆いながら
「ここは…どこ?」とつぶやいた。
やがて美雪の耳に研究員らしき声が別室から聞こえてきた。
「黄体ホルモンは活発に活躍しています。異常は無し」
美雪は「あたし…どうしたらいいの?」とつぶやいた。
「助けて…誰か…お願い…尾崎君…
ゴードン大佐…誰でもいいから…助けて…覇王君…」
その時、首にぶら下げていた十字架のインファント島のお守りが発光を始めた。
突然「バーン!!」と何かが破裂したような音が聞こえた。
美雪はビックリして飛び起き我に帰った。
見るとドアが破壊されていた。
美雪は「覇王君なの?」と言った。
そして美雪は何かに突き動かされるようにドアから出て行った。
警報が鳴り響き、周りの研究員たちは大騒ぎになった。
美雪はふらふらになりながら前へ前へ歩き続けた。
さらに爆発が起こり、今度は壁が砕けた。
研究所の本部では剣士が「一体何があった!?何!?爆発!?原因は?!
謎の高エネルギーが確認された?!まさか?!…それはまさか覇王か?!
えっ?!違う?全く別の固体だと!?」
とマイクで怒鳴っていた。
トオルは「きっと美雪さんの赤ちゃんから発せられていた可能性が高いのでは?」
と自説を展開しようとしたが剣士は「今それどこじゃない!!原因は後だ!!」
と言った。その後美雪は行方不明になった。
それはニュースや新聞で話題になった。
その後、その事件を聞いたM機関の尾崎、ゴードン大佐、ニック、グレンは
CCIの本部を訪れ、内閣官房長官の野中剣士と内閣官房副長官の金田トオル
彼女が覇王圭介少佐の子供を妊娠している事やその子供を使ってゴジラを倒す兵器
を開発する対ゴジラ兵器『神獣』計画の事を洗いざらい話した。
CCIの本部を訪れていたM機関の4人は地球防衛軍に戻り、ゴードン大佐は、内閣官房長官の野中剣士と内閣官房副長官の金田トオルから聞いた、美雪が覇王圭介少佐の子供を妊娠している事や、その子供を使ってゴジラを倒す兵器を開発する「対ゴジラ兵器『神獣』計画」の事を雷のごとく波川司令に説明した。
尾崎は証拠の「対ゴジラ兵器『神獣』計画」の書類を机に置いた。
波川司令は驚いたように「これをどこで?」と聞いた。
ニックは「CCIの書類棚から見つけました」
グレンは「俺達が隙を狙って取りました」
波川司令は「やれやれ…昔の盗みグセですか?」
と呆れたように言った。
2人「すいません…」と言って頭を下げた。
グレンは「昔の刑務所は勘弁してください」とお願いするように言った。
実は2人は南極のエリアGの監視兵になる前は
ロサンゼルスの街でスリを働いていたが、結局逮捕されて、刑務所にしばらくいて、出所した時、
地球防衛軍の関係者にスカウトされた。2人は大喜びしたが、そのまま南極のエリアGで氷の中に眠っているゴジラの監視をやるハメとなった訳である。
波川司令は「罰としてトイレ掃除を2ヶ月間。休まず毎日やりなさい!!」
2人は「了解!!」と言うと指令を出て行った。
その時ニックは「ゴジラの罰があたりませんように…」
とつぶやいていた。
波川司令は「行方不明になった音無美雪さんの捜索について…」
尾崎は「それはM機関の私達に!!」
波川司令は「分かりました。CCIより先に彼女を保護しなさい!!」
尾崎は喜んで「了解!!」と答えた。
M機関はCCIを追ってヘリコプターで真鶴の山奥の捜索を始めた。ヘリに乗っていたアヤノが
「あそこに人がいます!!」と大声で言った。
ジェレルが「あの崖の先端か!!」
とヘリの音に負けないほどの大声を張り上げた。
「CCIの人達が見える!!車も何台かも!!彼女を追い詰めたんだわ!!」とカンナ。
杏子は「早く助けないと!!」
ニックは「マズイぞ!!彼女は自殺する気だ!!」
「何とか彼女に近づける!?」とカンナ
「無理だ!!下手に近づけば危険だ!!」
とジェレル。
一方CCI局長であり内閣官房長官の金田トオル
「もう…逃げられませんよ!!あなたの後ろは断崖ですから!!」
美雪はフラフラになりながら「いや…来ないで!!これ以上近づくと死ぬわよ!!」
と両手を伸ばして少しずつ後ろへ下がって行った。
美雪の両脚は断崖から少しはみ出していた。
下は数10mの断崖で、落下すれば高さと荒波だから命はまず無い。
トオルは「バカなことはやめろ!!」
剣士は
「我々と一緒に来るんだ!!来れば水や食料がある!!君の体力はもう限界だ!!」
と大声で言ったが、
美雪は紫色に変色して乾ききった唇を動かし、
「自分の子供が…兵器として利用されるくらいならいっそうここで…」
とかすれた声で言って、身を後ろに傾け、目をつぶりながらジャンプした。
尾崎は「美雪!!」と絶叫した。
あやかも「美雪さん!!」
ジェレルは「クソ!!間に合え!!」
と叫ぶと力の限り操縦かんを右下に傾けて断崖に近づこうとした。
しかし美雪の体は海の中に水しぶきを上げて落下し沈んでいった。
ジェレルは「そんな…」
翔太は「どうしてなんだ…」
尾崎は「まだあきらめるな!!救命ボートだ!!」
アヤノは「でも…」
カンナが「何してるの!!急いで!!」
と大声で言った。

(第4章に続く)