(第40章)父親の血

こんばんわ畑内です。
久しぶりにシーズンⅣを載せます。

(第40章)父親の血

4人のテロリストによる網走厚病院の立てこもり事件が起こる数時間前。
その時、音無杏奈は地下の避難所のニュースで
『謎の巨大生物消失』に関する報道をしていた。
しかし避難していく途中に蓮と洋子を襲った怪獣化しつつある
サンドラに関してのニュースは出なかった。
 凛に右腕を噛まれサンドラが病室のガラスを破り、逃亡してから一時間が過ぎた。
 ニュースでレポーターの音無杏奈は
地球防衛軍はしばらく町周辺やオホーツク海を中心に警戒し
ていますが……今の所、ゴジラやさっき現れた怪獣が出現する
可能性は低いという見解を示し、避難警報は解除されました!」と報道した。
それから凛や蓮や他の生徒達も地下避難所から
無事に自分の病棟にされた。
他の患者も同じだった。
それが数時間後、網走市内にゴジラと怪獣化したサンドラが現れ、
すぐに「避難警報」が発令された。
凛達がトランプする準備をしている時、テレビのニュースに
ゴジラと謎の怪獣、上陸の恐れがあるとして避難警報が発令されました!』
と報道され、周りにいた医師や看護婦達がすぐに病室の患者達
に避難誘導を始める準備を始めた直後、4人のテログループに
よる立てこもり事件が発生し、50階付近の病棟にいる患者全
員が人質になり、避難させたくても出来無い状態になった。
4人のテロリストによる立て篭り時間から24時間後、
ジェレルは誘拐され、網走病院の凛達がいる病棟の、原田先生
や長野先生がいるすぐ隣の空き病室に監禁されていた。
しばらくレイは腕組みをしながら次の策略について考えていた。

 オホーツク海の流氷の上に墜落した轟天号でゴードン大佐は
「修理は終わったのか?」
と尋ねた。ニックは
「あともう少しです!」
しばらくして入口のハッチが開き、真っ白の人影が入って来た。
ニックは
「雪男か?」
「誰が雪男ですって!」
と女性の声が聞こえた。
人影をよく見るとヘルメットを外した杏子だった。
ニックは慌てふためき
「スマン……雪女だった!」
杏子は憤然とした態度でニックを睨みつけると防護服を脱ぎ、
自分の席に座った。そして巨大なスクリーンに網走で戦ってい
る怪獣サンドラとゴジラの様子を映し出した。
 サンドラは周りにあらゆるもの瞬時に凍らせる程の強烈な冷気を撒き散らしていた。
 やがてサンドラはヒグマの様な腕を振り回し、ゴジラに襲いかかった。
しかしゴジラは巧みにかわしその腕を掴むとそのまま背負い投げで地面に叩き付けた。
サンドラは素早く立ち上がり、ゴジラに向かって唸り声を上げた。
サンドラの身体に再び異変が起こった。
ワニの様な巨大な口の上下の顎の先端が徐々に鋭利に尖り始め、鳥に似たくちばしに変化して行った。
さらに背中のゴジラの背びれに似た巨大な漆黒のマントが2つに裂け、
ヒグマに似た太い両腕と鋭く長い爪と同化し、漆黒のプテラノドンに似た翼に変化した。
また胸から腹にかけてギザギザの棘が生えて来た。
しかしゴジラに似た尾は残った。
その様子を轟天号のスクリーンで見ていたニックは
「まさか?本気でゴジラを誘惑するつもりか?」
杏子は
ラドン化しているわ!」
ゴードン大佐は
「信じられない……」
と驚きと混乱の入り混じった複雑な表情で言った。
尾崎が
「このままじゃ!ゴジラが危ないぞ!」
ゴードン大佐は
「出撃できるか?」
と尋ねた。
ニックは
「メインエンジン点火!発進準備完了!」
ゴードン大佐は大声で
「よし!轟天号発進!」
そして轟天号は周りの流氷を溶かし、浮上するとゴジラとサン
ドラがいる網走市へ飛行を始めた。

 4人のテロリストに占拠された網走病院内の病棟の天井裏に
隠れていた蓮と洋子は、天井裏から狭い床下の通気口に通じる穴から降りた。
 蓮は
「もし階段で洋子ちゃんを襲った女がテロリストの仲間で、ゴジラ細胞やG塩基を使って
何か人体実験をしているとしたら?」
洋子は少し笑いながら
「何を言ってるの?冗談でしょ?」
しかし蓮は真剣な顔で
「それは強大で危険な力になる!このままほっておけば!急い
でテロリストの持っているデータを全て抹消しないと!大変な
事になるかも知れない!」
洋子は
「それはそうだけど……あたし達だけじゃ何も出来ないわ!
テロリストには武器があるのよ!」
しかし蓮は決心した表情で
「やれるさ!」
と言うと僅か数cmの通気口の穴を見た。
 その穴の先には光が洩れ、蓮の病室が僅かに見えた。
 そこにはテーブルに置かれた小さい紙切れらしきものが見えた。
蓮は嬉しそうな表情で
「だから!この道でよかったんだ!」
と言うと軽く通気口の網を叩いて外し、おもむろに片手の小指
を数cmの僅かな隙間に突っ込んだ。
洋子は
「何しているの?そんな所!全部入らないわよ!」
しかし蓮は
「多分……あの小さな紙切れが何か抹消する方法の手掛かりに
なるかも!大丈夫!父の血を受け継いでいる僕なら!」
洋子は驚きのあまり口を両手で塞ぎ、目を丸くしてその様子を眺めていた。
 蓮の小指はみるみる細くなり、しばらくして他4本の指も細
くなり、片手が軟体動物の様に通気口の穴にスッポリと入った。
片手はさらに伸びて行き、テーブルに置かれた小さな紙切れ
らしき物がある穴を突きぬけ、少しだけ元に戻り、その紙切れをしっかり掴んだ。
蓮は
「よし!掴んだ!」
しかし洋子は不安でたまらない様子で
「大丈夫なの??痛くないの??」
蓮は
「大丈夫さ!生まれつきだからね!」
と言った。

(第41章に続く)