(第41章)C・A・K

(第41章)C・A・K

 ラドン化したサンドラはプテラノドンに似た巨大な翼を広げ、
まるでジェット機の如く飛び上がった。
ゴジラは宙を見上げ、飛び上がったサンドラを睨みつけた。
 やがてジェット機の「キーン!」と周りの空気を切り裂く音が聞こえ、
サンドラが急降下しながら口から青い球を何度も放った。
ゴジラは横飛びをして、その青い球をかわして行った。
青い球は壊れかけた電柱や建物に当たり、
それらはたちまち凍りつき、まるでガラスの様に粉砕された。
ゴジラはしゃがんだまま、頭を持ち上げた。
すると超音速で突っ込んで来る紫色のサンドラの姿が見え、ゴジラは「かわせない」
と判断したのか冷静に両手を組んでガードの姿勢に入った。
 しばらくして「ドーン!」と大きな音が聞こえ、周りの建物
や降り続けている粉雪を衝撃波で吹き飛ばしながらあらゆる建物やビルをなぎ倒し、
2体の怪獣は視界から消えた。

蓮は狭い隙間から小さな紙切れを掴み、器用にまた腕や指を
変形させてひっこめ、その紙切れを手に入れた。
洋子は感心して
「凄いわ!蓮君!」
蓮は得意満面な表情で
「まあね!チョロイもんさ!!」
と笑いながら言った。
洋子は
「その紙切れには何が書いてあるの?」
と尋ねた。
蓮は
「さあ……分からないね!」
と言いながらその小さな紙切れを広げた。
その紙切れにはロシア語で
「レイ!シャラン!レベッカ!メイスン!良くもあたしを裏切ったわね!
この恨みは必ず晴らしてやる!C・A・K」
と書かれていた。
蓮は
「何だ……CAKって?」
洋子は
「さあ……分からないけど……何かの頭文字かしら?
Cはロシア語ではSだけど。多分!裏切り者がいたのよ!きっと!」
蓮は小さい紙切れを裏返すと
「ここにも何か書いてある!」
そこには誰かの電話番号が書いてあった。その電話番号の下に
はロシア語で「ジュリア」と書かれていた。
蓮は
「ジュリアって誰だろう?」
洋子は思わず考え込み
「さあ……テロリストの名前かな?」
蓮は
「じゃ?彼女が内部の裏切り者なのかな?」
洋子は
「まだ良く分からないわ!」
そして蓮はその小さな紙切れをポケットにしまい再び脱出しよ
うと狭い床下の通気口の中を進み始めた。

ガーニャ達をはじめ、国際警察や機動隊が4人のテロリストに
占領された凛達の病棟の非常ドアの前で待機していた。
 そこに凛の護衛と男が先頭に立った。
 凛の護衛はその男に向かって
「協力感謝します!」
するとその男は
「礼には及ばないよ!FBIを退職して以来の事件だし!
今回は宇宙人も絡んでいるからね!元FBIの同僚は美雪さんの
手伝いも任せておいたし……」
凛の護衛は
「私が突撃の合図を送る!」
その男や機動隊、国際警察達は
「了解!」
と英語で答えた。

美雪と神宮寺博士はウィルス対策のワクチンを作り出す為、
サンプルの分析を始めた。
美雪の隣にいた女性研究員は
「ウィルスのサンプルは今!分析に回したわ!」
美雪は
「でも!今回はどうしてここに?」
その女性研究員は
「医者としてよ!あたし病院に勤務しているの!」
美雪は
「また助けて頂いてありがとうございます!」
その女性研究員は
「いいわよ!それより早くワクチンを作らなきゃ!」
と答えた。美雪も無言で頷いた。

 凛と山岸の病室に監禁されていた凛のクラスでは、凛と他の
生徒達が何やら揉めていた。凛は何かに突き動かされるように
「あたし……行かなきゃ!」
と言って立ち上がろうとした。
しかし中山がその手を、自分の折れていない手でしっかりと掴み、
「駄目だよ!さっき友紀ちゃんに拳銃を向けていたんだよ!」
と必死に引き止めようとした。
山岸の隣にいた小野さんも
「そんな!危ない事はしちゃダメよ!」
と止めようと必死に小さい声で凛に囁いた。
しかし凛は
「でも……あたしの本能がそう囁いているの!」
山岸は怪訝な顔で
「本能ってどんな?」
凛は
「怪獣化したサンドラが『助けて!』って呼んでいるの……」
と言うと、止めに入った小野さんと中山の手を振りほどき
病室を出て走り出した。

病棟内にいる蓮と洋子を探していたレベッカとメイスンは
この事件が起こる前のある出来事を思い出していた。
 サンドラ、シャラン、レベッカの3人は、
中国の深い森で発見された黄金の砂と化した遺跡の調査を調査していた。
シャランは
「あったわ!」
と言うと錆に覆われた鉄の扉を無理矢理こじ開け、
2人は宇宙服を着て中へ入って行った。
地下は巨大な洞窟だった。その暗い洞窟を歩いて行くと、
2人は驚くべき光景を目の当たりにした。
 その巨大な洞窟には大量のキングギドラバガンの頭蓋骨、
黄金や漆黒の鱗の破片が散らばっていた。

(第42章に続く)

今日の変更はここまでです。
では♪♪