(第24章)ラブレター

(第24章)ラブレター

港街で凛はしばらく無言だったがやがて
「でも……確かに山岸君の言う通りよ!……分からない……
でも憎いのにあのゴジラが!分からない……自分が……」
と言うと突然泣きだした。
山岸は凛を不気用にやさしく抱きよせた。
凛は
「あたしって何のために生まれたの?」
山岸はテレビアニメで覚えたセリフを思い出し言った。
「その答えは自分で見つければいいさ!ゆっくり時間かけて!」
と言った。凛は頷くと
「それで……」
と手紙を取り出した。
山岸は「俺にラブレター?」と胸が躍ったが、
その相手の名前は山岸でも他の生徒でも無かった。
差出人の名前は「音無凛」と書かれ、
そして相手は「ゴジラジュニア」と書かれていた。
山岸は驚きのあまり口をポカンと開けていた。
凛は
「あたしって……馬鹿よね!分かりあえるはず無いのに……憎いんだけど……好
き見たい……虫が良すぎるわね!こんなの書いて……」
と苦笑しながら言った。山岸は
「うん……確かにそうだけどでもいつか分かりあう日が来るんじゃないか?僕を含めてさ!」
凛は
「それも虫が良が過ぎないかしら?」
山岸は
「そうかな?夢があっていいと思うよ!」
と笑いながら言った。凛もつられて笑った。
地球防衛軍の本部ではアヤノが
デストロイア八重洲に出現!」
カンナが
デストロイア!合体しています!」
八重洲のビル内で大爆発が起こり、周りの建物や地面が液化して吹き飛ばされた。
その中から悪魔の様な生き物が5枚の深紅の翼を広げた。
その姿は1995年の完全体と酷似していた。
顔はおぞましく両肩から長いトゲ状の鞭の様な触手が伸びていた。
両手にはハサミの様に4つの爪を持っており、頭部は1本角で、2重の口を持っていた。
その完全体となったデストロイアは天に向かって咆哮を上げた。
港街で凛は
「あっ!」
と声を上げた。
すると山岸が
「どうしたの?」
と聞いた。
凛が
デストロイア八重洲に現れたわ!」
山岸は
「どうして分かるの?」
と聞いた。
凛は
「行かなきゃ!倒さなきゃ!」
と走り出そうとした。
山岸が
「落ち着いて!大体どうやって倒すんだよ?」
と止めた。凛は
「御免なさい……倒す方法が無いんだった……あたしどうかしているわ!」
と言う少し片手で頭を抱えて山岸の顔を見た。
そして凛は
「友紀ちゃんはどうしたの?」
山岸は
「えっ?今は良く分からないけど……未知のウィルスに感染してしばらく面会謝
絶にされて、Gメ―サー治療を受けているって!医者が言うにはGメ―サーの副
作用で気持ち悪くなる事があるらしいけど、しばらく治療を続けていれば治るって!
それからカウンセラーの治療を始めてるけど、精神的ダメージが大きくて、立ち直れるか?
全く見通しが立たないらしいよ」
と説明した。
凛はため息をつきながら
「そう……あたしの知らない所でゴジラが人を救っていたんだ」
しばらくして凛は
「もう行かなきゃ!用事があるから!」
と言うと
「じゃあね!」
と歩き去った。
山岸はすかさずカメラを取り出して凛の写真を10枚一気に撮った。
凛が自宅に帰ると
「お邪魔しています!」
と若い男の声が聞こえた。
その若い男は眼鏡をかけていた。
その男は
「初めてじゃないけど!こんにちは!僕はGフォースでゴジラの研究をしている
山根健太郎です!」
凛は少し嬉しそうに「やっぱり!」
と言った。すると美雪が
「あなたに合わせたい人がいるの」
と切り出した。凛は
「伊集院研作博士の研究所に行くのね?」
と言った。そして3人は国連の車に乗ってその伊集院博士の研究所に向かった。

(第25章に続く)