(第33章)サラジア共和国のスパイ

おはようございます。
出勤前に自作小説を載せておきます。

(第33章)サラジア共和国のスパイ

再び地球防衛軍本部の会議室で、直充は
「特生自衛隊内の特殊生物研究所内に侵入したサラジアエージェントの身元や本
名をM機関の尾崎真一が特定しました。」
周りの人々はざわついた。
野中は
「サラジア共和国のエージェントは一体誰なんだ?!」
尾崎は
「それを推理する前に、真島瑞穂の協力で、
M機関の外部の人間を細かく調査したところ全員シロでした。
どうやら地球防衛軍内に裏切り者スパイがいると思われます!
実は特生自衛隊内に侵入したその人物の画像をアヤノに頼んで分析しました!
そしてそれが地球防衛軍のM機関の服を着ている事が分かりました」
波川司令は
「それでは容疑者は逮捕されたのですね?」
尾崎は
「もちろん!」
と言うと会議室のドアが開いた。
2人のインターポールに取り押さえられていた男が大声で
「どうなってるんだ!尾崎少尉!」
尾崎は冷静に
「今更……往生際が悪いぞ……」
しばらく会議室は全員シーンとなったがやがて尾崎はひときわ大声で
「覇王圭介少尉!」
と言った。
地球防衛軍の会議室で美雪は証言台に立って
「それはありえません!彼が犯人なんて!」
しかし尾崎は
「しかし一つ質問する!このときお前は何をしていた!」
覇王は
「俺は途中買い物をしていただけだ!深夜12時だがな!」
と大声で答えた。
しかし尾崎は
「それには何の証拠もない!」
覇王は「何故だ?」
尾崎は
「一人の目撃証言があったからだ!研究員の一人が、M機関の人物で髪を金色に
染めた男が見られるとすぐに立ち去ったと言っている!彼は覇王というネームを
目撃している!」
覇王は
「俺はただそこを通りかかっただけだ!」
尾崎は
「嘘をつけ!元々怪しいと思っていたんだ!初めて会った時から!
その盗んだゴジラ細胞や他の怪獣のDNAをサラジア共和国の軍事企業に高く売り付けてたんだろ!」
覇王は怒って
「でたらめを言うな!」
美雪も昨日の夜に喧嘩したばかりなのにも関わらず必死に弁解した。
しかし状況は変わらず、覇王は地球防衛軍の独房に閉じ込められた。
彼は牢屋ごしに
「俺は違う!」
と無実を訴え続けた。
会議の後、美雪は携帯電話で
「これでいいの?」
すると今まで話した男とは別の男が
「そうだ……これからお前はあの男と面会に行け!」
美雪は
「それで?……」
男は
「この後は私が彼を独房から出す!」
美雪は
「あたしは?」
男は
「後で連絡する!」
そして電話は切れた。
美雪は微笑を浮かべながら
「やっぱり彼は分かっていたのね!これもあの生物の力かしら?」
と言った。

その後、美雪は姉の杏奈に頼みこみ、杏奈は波川司令に
「1分だけでも……」
と面会を頼み込んだ。
そして波川司令は許可した。
地下の独房で彼は「ファウスト」の本を読んでいた。
「『永いこと忘れていた戦慄が己を捉える。人間の一切の苦しみが己を捉える。
この陰気な壁の向こうにあれがいるのだ」か?」
面会に来た美雪は
「覇王君!」
と呼びかけた。
「俺はスパイじゃない!信じてくれ!」
と覇王の目に涙がこぼれた。
美雪は優しく彼の涙を拭いた。
「もちろん信じるあなたを!」
その様子を監視カメラを通して尾崎とゴードン大佐が見ていた。
ゴードン大佐は
「本当にあいつがスパイだとは!今だに信じられないな……」
しかし尾崎は無言だった。
美雪が帰ってから3時間後、波川司令の声がアナウンスされた。
「全員会議室へ!」
その時、尾崎の携帯電話が突如として鳴り出した。

(第34章に続く)