(第42章)愛と憎しみの感情それが人間。

(第42章)愛と憎しみの感情それが人間。

シャランは見て
「凄い……国連はまだこの場所を見つけていなのかしら?」
サンドラは洞窟の周辺を調べながら
「どうやらそのようね!」
レベッカ
「ここはあたし達だけの秘密の場所ね!」
と言いながらシャラン、メイスン、レベッカの3人が洞窟周辺
をじっくりと見渡すと、洞窟内の一部は何者かに破壊され、巨大な穴が開いていた。
その穴から幾つもの星が輝いていた。
 洞窟の壁や床の表面に大量の巨大なクレーターが見えた。
シャランはふと「酷い……有様ね……」
とロシア語でつぶやいた。そして奥の洞窟へ入って行った。
 洞窟の奥には何かに寄生されて形が僅かに不自然なバガンや、
キングギドラの頭蓋骨や翼や腕の化石が発見された。
またその幾つもの化石には数えきれない程の噛み砕かれた歯型や切り裂かれた、
と言うより綺麗に切断された傷跡が鮮明に残っていた。
それは肉から骨まで激しく損傷する程の凄まじい戦いが行われた何よりの証拠だった。
また何かで粉砕された頭蓋骨の破片や完全に真っ黒の灰と化した肋骨や各部の骨も見つかった。
これは光線や熱線の攻撃によるものだった。
 またその黒こげの骨から僅かな放射線が検出された。
間違い無いこれはゴジラの放射熱線だと
3人誰一人疑う者はいなかった。
 また何かの力で叩きつけられ破壊された各部の骨をみるなり
シャランは
「きっと!キングギドラの引力光線だわ!」
と言った。
 詳しい調査の結果、「デス・バガンバクテリア」に寄生されたバガンキングギドラ
この洞窟のほとんどを占めている事が分かった。寄生されていないバガン
キングギドラの個体は非常に少なく、さらに先に進むと
今まで見た中で一番巨大なクレーターが広がり、地底湖になっていた。
 3人は偶然見つけた手のひらサイズの黄金、暁、漆黒の混じった
『デス・バガンバクテリア変異体』、暁、深紅、茶、黒、赤や新たに緑色をした
謎の破片のサンプルを注意深く採取すると、
国連の関係者達が来ない内にその場から研究所のある北海道へ帰って行った。

病棟の廊下で我に返ったメイスンは
「大丈夫よ!レイやシャランに悟られない内にそのウィルスで
変異したサンドラのデータを頂きましょう!」
レベッカ
「横取りね!それからどうするの?」
メイスンは
「シャランの計略は危険過ぎるわ!だからその
サンドラウィルスのデータを盗んで……危険な部分を取り除かなきゃ!」
と妖艶な笑みを浮かべながら言った。
レベッカは彼女に微笑み返し
「ええ……いつまでもシャランやレイの子分はもう御免こうむりたいわ!
小心者を演じるのも疲れたし……」
と言い、シャランと別れてしばらくしてレベッカ
「さて……ひとまずはシャランの計略に協力してサンドラを裏切って怪獣化させたデータがあるし、
頭脳明晰のメイスンはいずれ長野側に裏切るかも知れないから、
そうなる前にやる事はやっておかなきゃ!
まあ……邪魔な殺し屋のほうはうまい策略で消えたしね!」
とブツブツとロシア語で話していた。
 その2人の会話やレベッカの独り言を病棟の廊下の角に隠れて聞いていた凛は
「殺し屋?策略?一体どう言う事?」
とつぶやいた。

 蓮と洋子は狭い通気口の中を進んでいたが、
その通気口の角から白い手が見えた。
洋子は
「誰かしら?」
蓮は
「仲間かもしれない…マズイな…」
しかし洋子は
「でも?なんかおかしくない?」
蓮は
「確かに……」
と言って蓮は恐る恐る白い手のある通気口の角に近づいてその男性らしき顔を見た。
 その顔はまさしくあの高という名前の中国人、実際にはX星人の凍死体だった。
良く見ると何か鈍器で殴られた跡があった。
蓮は洋子が近付く気配を感じ
「君は来ちゃ!駄目だ!死んでる……」
と大声で言った。
洋子は遠くで
「えっ?なんなの?」
と聞き返した。
どうやらあまり聞こえなかったらしい。
蓮は近くの壁の方に「CAK」と書かれた文字を見つけた。
その文字はあの小さい紙切れのと同じだった。
蓮は
「まさか?サンドラが殺したのか?」
とつぶやいた。
洋子は
「行きましょ!見つかるとヤバいから!」
と言うと元来た道を戻る為、2人はバックを始めた。
 高は手の中に何か白い紙を握っていた。
蓮は慎重にその紙を取った。
しかし途中で誤って破いてしまった。
洋子は不安な表情で
「あたし達!本当に助かるかな?」
しかし蓮は
「大丈夫だよ!なんとか脱出方法を考えよう!」
と励ました。
洋子は安心した様子だったが、
ふと思い出したように険しい顔になった。
蓮は心配して
「どうしたの?」
洋子は
「どうして殺し合うのかしら?あのロシア人の女性とサラジアの男性だって……同じ人間なのに……」
と言ってすすり泣いた。
蓮は
「推理ドラマのセリフでこんなのがあるんだ!」
洋子は
「何?」
蓮は
「人間はね……『他人が好きであればある程、憎くて憎くて仕方無くなる』時があるらしいよ……」
洋子は
「人って悲しい生き物ね……」
蓮は「愛と憎しみの感情があるからこそ人間なんですよ……とさ。
僕にはよく分からないけど」
洋子は思わず考え込んだ。

(第43章に続く)