(第35章)闇世界へようこそ!

(第35章)闇世界へようこそ!

凜の体に異変が起こっていた。
尾崎や美雪、ゴードン大佐や医師達が集まった。
凛の病室の中は光に包まれていたので、
全員眩しくて中の様子が全く見えなかった。
光が収まり、凛のベッドを見たとき美雪は驚きの声を上げた。
「凛がいない!」
と尾崎はあわててクリーンウェアーとマスクを着け
「どうなっている??」
と大声で言いながら病室に入った。
美雪も同じく
「りーん!どこ?」
とあわてて捜し回ったが中はもぬけの殻だった。
ゴードン大佐は
「一体?どうなっている??」
と混乱した様に言った。
医師達も
「どうしたんだ!どこに消えたんだ!」
と言いながらあわてで救助艇の船内を探し回ったが凛は影も形も見つからなかった。
凛の護衛も
「いなくなった?それはどういう事だ?」
と大声を上げた。しかしオペレージョン室でジェレルが
「遺跡の地下で2つの謎の弱エネルギーを確認!」
アヤノは
「1つはあのインファント島の小さな鏡のお守りからです!」
ジェレルは
「もう1つは分析しても分かりませんでした!」
凛の護衛は
「まさか?凛は遺跡の中へ?」
美雪は
「多分『あの時』見たいに……その遺跡の中へ瞬間移動したんだわ!」
と言った。
尾崎は
「そうかも知れない!」
と答えた。
凛は目を静かに開けた。
そして恐る恐る起き上がって右肩や胸を見て驚いた。
なんとあの暁色のアメーバの様なものは消失していた。
ぼんやりと周りを見渡すとそこは円形の部屋で、何かの遺跡らしい。
天井を見上げると蛍光灯の様なものがパチパチと光っていた。
彼女は一人ぼっちの強い不安感に襲われ、何故か左のズボンのポケットを探した。
そこからは偶然小さなパンフレットの様なものが出てきた。
彼女は強い不安感をぬぐい去ろうとそのパンフレットを読み始めた。
「特殊生物情報部、特殊生物犯罪調査部、」
凛はその「特殊生物犯罪調査部」の矢印をなぞり、
その先には「特殊生物密輸取り締まり局」と書かれていた。
また「特殊生物病院」、「特殊生物医療機関」もあった。
ちなみに「特殊生物病院内」一覧にある「特殊生物カウセリングセンター」には赤丸印が付いていた。
凛はそのパンフレットをポケットにしまうと、丸い石から立ち上がり恐る恐る歩き出した。
しばらく歩いていた凛は一瞬だけ見えた黒い龍や助けを求める男性らしき声について考えていた。

CIAの兵器化学情報局の職員やCCIの職員、アメリカのバイオメジャー達と
ジュン・ハートにビリーハイブスは『ガタン!』と言う
大きな音を聞きつけて、その場所に向かっていた。
やがてそれぞれ懐中電灯で壁を探っている内に大人が
一人入れる位の穴を見つけた。
ビリーは懐中電灯で穴の周りを照らした。
壁には「闇世界の入口」と書かれていた。
ジュンは
「何でしょう?闇世界の入口?」
ビリーは
「穴に入ってみるぞ!」
と言うとその穴に入って行った。
やがて全員その穴に入るとホールは再び静かになり暗闇に包まれた。
友紀は首にかけていた凛の小さな鏡の発光する方向を頼りに
森の奥へ草根を掻き分けて進んでいたが、
やがて巨大な狼の形をした遺跡を見つけた。

(第36章に続く)