(第39章)二重の危機!!

(第39章)二重の危機!!

遺跡の地下にある巨大なホールの天井や壁を縦横無尽に
駆け回るバガンを撃ち落とそうとゴジラは放射熱線で攻撃した。
しかしバガンは物凄いスピードでかわしながら壁から天井に登り、
真上から再び舌を伸ばし、攻撃して来た。
ゴジラは間一髪その頭上から襲って来た舌をかわした。
バガンの舌は鋭い矢のように床に突き刺さった。
遺跡の地下では凛の行方と遺跡を調査するチームが突然、激しい地震に襲われ、
全員よろめいてバランスを崩し何人か転倒した。
何とか壁や柱に掴まって立っていたゴードン大佐は
「一体何だ!この地震は?」
と大声を上げた。
しばらくして尾崎は先程頭から全身ずぶぬれで入って来た
金髪の女子高生の顔を見て
「凛ちゃん!無事だったのか?」
凛は近くの柱に捕まりながら
「尾崎さん!良かった!」
と嬉しそうに言った。
米軍の1人が
「一緒にいるのは凛ちゃんの友達かい?」
凛はうなずいた。
もう一人の米軍のカプライと言う男が
その黒髪の女子高生に向かって
「何で友達がこんな危険な所にいるんだ?」
と言った時、突然、凛が真上の天井を見上げ
「危ない!みんなよけて!」
と大声を上げると、カプライと友紀を女子高生とは思えない力で突き飛ばした。
その瞬間、天井を突き破り暁色の長いドリルの様なものが現れた。
友紀は大量の埃を浴び、激しく咳込んだ。
大量の埃の中からぼんやり暁色の舌の様なものが床に突き刺さり蠢いていた。
するとアメリカのミュータント兵らしき声が聞こえた。
「なんなんだ!これは?」
「クソ!これでも食らいやがれ!」
激しい爆発音が聞こえた。
凛は大量の埃のせいで視界がはっきりしない中、
大声で
「早く!逃げなきゃ!」
また
「早く!元来た道を戻れ!」
と尾崎。
「早く避難しろ!急げ!」
とゴードン大佐。
その暁色の舌の様なものは痛みに部屋中を蛇のようにのた打ち回り暴れ回った末、
天井の穴に引っ込んだ。
すると誰かの
「この!ざまあみろ!」
と言う怒鳴り声が聞こえた。
凛は手探りで尾崎と友紀らしき手を掴み、
どこかの入り口に向かって走って行った。
CCI本部の休憩室で、ベンチに座っていたCCIの関係者らしき男が
「それで見つかったのか?」
と隣に座っている男に聞いた。
すると隣に座っていた男が
「見つかった!しかし……それだけで
彼女が妊娠したかどうかは今の段階では何とも言えない……」
と答えた。
一方狼の様な形をした遺跡の付近に停泊している救助艇ではジェレルが
ゴジラとジュニア、バガンは遺跡の地下にある
巨大なホールらしき場所で戦闘を続けています!」
またジェレルは尾崎達の現在位置を調べていた。
やがてジェレルは
「現在の位置を特定しました!……ちょっと待てよ!……
調査チームは3体の怪獣がいる巨大ホールの真下の迷路のような廊下にいます!」
アヤノは
「知らせなきゃ!」
とすぐにマイクのスイッチを押した。
その直後、「ジー」とノイズが聞こえた。
アヤノは
「駄目です!電波障害を受けて連絡がとれません!」
別の米軍の関係者は
「そんな!これは全く電波障害を受けない最新の無線機だぞ!」
と大声を上げた。
遺跡の地下ではゴジラとジュニアが互いに協力して、天井や壁を駆け回るバガン
をようやく長い尾で両足を縛り、捕まえると壁から引きずり降ろした。しかしバ
ガンは暴れ回り、ゴジラとジュニアの胸を長いかぎ爪で何度も切り裂いた。
2体はその痛みに耐えながらバガンをそのままねじ伏せ、
超合金の床に叩きつけたと同時に放射熱線を放った。
そのままバガンは放射熱線を受け、分厚い超合金の床が
バリバリバリと音を立てて凹み始めた。

(第40章に続く)